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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第5章》誕生と終焉と。
214/218

214話.次なる手

すみません。後半は、説明回です。ちょっと難しい話になってます。


お猫サマダンサーズに卵に帰された氷龍とスノーワームの群れ。


既に氷龍とスノーワームは、数える事ができる程までに姿を減らし、逆にお猫サマダンサーズの方はというと遥かに多く密集状態となっていた。


「嘘、嘘、嘘。スノーワームが全滅する。10000体のスノーワームがほんの数分で・・・」


焦りの表情を浮かべる黒いドレスを着た少女は、懐から小さな魔石を盗り出すと、それを天高く掲げた。


「私のスノーワーム。出て来なさい!」


そして現れた巨大スノーワーム。だが出した場所が悪かった。デルタ鉱山の遥か地下深くに広がる巨大なフロア。


とはいえ、いくら巨大で天井が高いとはいえ、巨大ワームが暴れるには、少々というかかなり狭い・・・全く以って狭すぎた。


巨大スノーワームの体は、天井にぶつかり身動きするにも無理があった。


「スノーワーム。あの頭が変な踊ってばかりいる獣人達を食べてしまいなさい」


黒いドレスを着た少女の命令に全く身動きすらしない巨大スノーワーム。


「なっ、何をしているのです。早く行きなさい!」


だがやはりというべきか巨大スノーワームは、全く動かない。


それを創生クリスタル近くの雪洞の中で見守るカル達。


「あのスノーワームは、天井につっかえて動く事ができないみたいですね」


「ワームというくらいですから天井とか壁を突き破るくらいの力がありそうですが」


「もしかしてあの黒いドレスを着た女の子は、あまり周囲の状況を見ていないのかな」


「「あっ・・・」」


メリルとライラの会話にカルがボソッと呟く。どうも答えが出てしまった様だ。


床と天井に挟まれ身動きのとれない巨大スノーワーム。その周囲に踊りながらお猫サマダンサーズ達が集まり一斉に巨大スノーワームの体に触れていく。


すると巨大ワームの体が光り出し、ひとつの小さな光の塊となって降り積もる雪の上へと落ちていく。


「そっ、そんな。私のスノーワームが簡単に倒されるなんて・・・」


黒いドレスを着た少女は、奥の手である巨大なスノーワームがいとも簡単に倒されてしまった事に頭が真っ白になっていた。


そして少女の周囲に集まるお猫サマダンサーズ10万人。


「どうするにゃ。お猫サマは、これ以上の戦いは望まないにゃ」


「くっ、覚えていなさい。次は、絶対に創生クリスタルを改修してうやるんだから!」


そう言い残して黒いドレスを着た少女は姿を消していく。


「なんだかこの世界の終わりの決戦という感じだった割には、以外と簡単に決着したにゃ」


お猫サマは、カルの元へと降り立つとカルに話しかける。


「精霊神様に言われてここまで来たにゃ。精霊神様は、この世界の終わりが来ると言ってにゃ。でも簡単に終わったにゃ」


何だか拍子抜けといった表情を浮かべる精霊神お猫サマ。


「お疲れ様です。先ほど神獣なめくじ精霊さんが来て創生クリスタルを直して行かれました」


「神獣なめくじ精霊も精霊神様に呼ばれたにゃ。詳しい事は、精霊界への扉の所に来たら話すにゃ」


「ありがとうございます。後ほどお酒を持ってお伺いしますね」


「お酒・・・待ってるにゃ。それに積み残した”らのべ”がいっぱいにゃ。早く帰って続きを読むにゃ」


中級精霊お猫サマは、カルの”お酒を持って”という言葉に既に酔っている感じでふらふらと宙を飛び空中に浮かぶ巨大魔法陣の中に姿を消していく。


お猫サマダンサーズもお猫サマの後を追い、空中に浮かぶ魔法陣の中へと入っていく。


やがて10万のお猫サマダンサーズが姿を消すと空中に浮いていた巨大な魔法陣も消滅していった。


カル達の目の前には、岩の上にいくつもの小さな創生クリスタルが並び、淡い光を放っている。


「へえ、これが世界の”ことわり”を行うとい創生クリスタルなんだ」


「スノーワームを生む黒い魔石と変わらないですね」


「スノーワームを生む魔石が元々創生クリスタルという話だからね」


「これが世界中に4096ヶ所もあるなんて信じられませんね」


「まさか、城塞都市ラプラスにもあったりして・・・」


「そんな都合のいい話なんて無いですよ」


「そうですよね」


そんな会話をするカル達であったが、どこからか現れた1体の妖精がカルの元へと飛んで来た。


そして紙にこんな事を書いてカルに見せた。


”さっきいた黒いドレスを着た少女。あれが闇の精霊でその居場所が分かった”


「ホント!」


”それで相談があるから浮遊城に戻って欲しい。時期にこの場所も入れなくなるから”


「入れなくなる?」


「そう。ここは、元々デルタ鉱山の地下にある場所じゃない。たまたまデルタ鉱山の地下の扉と繋がっただけ」


「ふーん、そうなんだ・・・」


妖精の言葉がいまいち飲み込めないカル。そしてふと周囲を見渡すとあちこちに何かの卵らしきものが降り積もった雪の上に散乱している。


それをいくつか手に取り眺めていると。


”それは、氷龍の卵。そっちは、スノーワームの卵。恐らく孵化すると思う”。


「孵化ってこの卵から生まれるってこと?」


”そう、精霊神お猫サマは、氷龍とスノーワーム達の時間を逆行させた。それで卵に戻った。だから孵化させれば生まれる”。


妖精の言葉を聞いたカルの目が途端に輝き出すと、降り積もった雪の上に散乱する卵を集め始めた。


「僕も氷龍さんが欲しい」


必死に卵を集めるカルの姿を見てため息を付くメリルやライラ達。


「仕方ないですね。私達も集めますから」


”早くしないとこの場所から出られななくなる。あの扉の前で待ってる”。


いつの間にか雪洞の横に置かれた小さな扉。カル達がなんとか腹ばいになって通れる程の扉。


その前で、やれやれといった表情を浮かべる妖精。


カル達は、降り積もった雪の上に落ちている無数の氷龍の卵とスノーワームの卵を集め、カルが腰にぶら下げている鞄の中へ集める。


もし氷龍を孵す事ができれば、城塞都市ラプラスの守り手として使えると考えたカル。


だが氷龍・・・いや、龍の寿命を考えて欲しい。数百年の時を生きる龍族である。


カルが城塞都市ラプラスの守り手として氷龍を孵した場合、恐らくカルの寿命の何倍もの年月を生きる事になる。


カルは、その事を意識していない。それは、土龍であるレリアとクレアもそうである。


この世界が精霊ホワイトローズにより破壊されるかは不明だが、もしこの世界が平和に維持出来たとすると、いったい彼らの面倒を誰が見るのだろうか。


幸いにして城塞都市ラプラスの近くには、龍の国が建国途中である。もしかするとカルが居なくなった魔王国は、いつか龍の国と妖精の国との連合国になるのかも知れない。


「急ぐのじゃ。まもなくこの場所が消えるのじゃ」


カルの肩に乗る剣爺に促され、降り積もる雪の上に散らばる無数の卵。


後ろ髪を引かれながら妖精の扉をくぐりこの場を後にする。


妖精の扉が閉じた後、徐々に存在が曖昧になりデルタ鉱山の地下から姿を消した創生クリスタル。




さて、盾のダンジョンの最奥に戻った精霊ホワイトローズはというと・・・。


以前、この世界を破壊すると宣言しそれを実行した。その時は、全てを神の見えざる手により阻まれ失敗に終わった。


それから精霊ホワイトローズも黙って次元の狭間に存在するこのダンジョンの最奥に身を隠し何もせずにじっと時を過ごしていた訳ではない。


また、自身の命でもある霊樹をダンジョンの最奥にただ置いておく訳もなかった。


妖精達や闇の双子が反旗を翻した事は、想定外ではあったが全く考えていなかった訳でもない。


やはり、自身以外を信用してはいけないという事だ。


精霊ホワイトローズは、他の世界に存在するダンジョン主に魔獣を売っている。


その魔獣は、この世界だったり他の世界に存在する魔獣の遺伝子を解析し、そこに手を加える事で魔獣の性能を向上させたり逆に性能を落とす事で品ぞろえを増やしていた。


魔獣の遺伝子解析と再設計には、生きた妖精達の脳を使った分散システムを使用していたがそのシステムは、それ以外にも使われていた。


それは、神界とこの世界を結ぶ次元回廊の解析である。


神々が住む神界とこの世界は、次元回廊を通じて繋がれていた。次元回廊は、何もひとつだけではない。


それは、他の世界とも繋がれており脳神経の様に無数の道が形作られている。


当然、神々の住む神界に神々以外の者が侵入できない様にその道には、いくつものゲートウェイが設けられている。


精霊ホワイトローズは、この世界を破壊するにあたり神々の見えざる手の介入を阻止、または遅らせるためにそのゲートウェイを停止させるべく妖精達の脳を使った分散システムでゲートウェイの解析を数百年間に渡り行って来た。


そこで分かったのは、この世界とを行き来するために繋がれた次元回廊は、たったひとつしかないという事。


ところがこの世界に行き来するための次元回廊自体は、バックアップを含めていくつも存在する。


そのいくつもある次元回廊は、存在するものの神々でも通れる様にはなっていない。


なぜかというと、情報が迷路の中を好き勝手に行き交いループが発生しない様に次元回廊の経路をひとつに絞っているからだ。


それがスパニングツリーである。これにより次元回廊の迷路の中を同じ情報がループしない構造になっていた。


そして次元回廊に不都合が生じて通れなくなった場合、ゲートウェイから別系統の次元回廊を瞬時に接続し、次元回廊の経路を確保する。


この次元回廊のゲートウェイを破壊ないしは、混乱させることができれば、神の見えざる手の介入をおくらせる事ができる。


恐らく僅かな時間ではあるが星をひとつ破壊するには、十分な時間だと精霊ホワイトローズは考えていた。


そして精霊ホワイトローズは、次元回廊にあるいくつかのゲートウェイで構成されているスパニングツリーを複数同時に停止させる鍵の解析に成功した。


それをするには、公開鍵と暗号鍵が必要であった。


精霊ホワイトローズは、スパニングツリーを停止させるべく、ゲートウェイに侵入し神のみが操作を許された暗号鍵を解析し、それの復号化に成功していた。


さらにその痕跡を残さない方法も確立していた。


だが、一度でもゲートウェイに痕跡を残せば、すぐに暗号鍵を変えられてしまう。


つまり事を起こす時は、一発勝負という訳である。


盾のダンジョンが存在する次元の狭間。そのとある場所で精霊ホワイトローズは、創生クリスタルの所在を探索していた。


これも妖精達の脳を用いた分散システムにより解析済みであった。


だが、それがいつの間にか増えていた。しかも現在確認されているだけで、この惑星上に1024ヶ所もあるのだ。


以前は、たった12ヶ所しか無かった。そして闇の精霊と言われるあの黒いドレスを着た少女が、そのいくつかをわが物として改修していた。


元々の計画では、地上への破壊活動と同時に創生クリスタルに過度な情報を故意に送り込み創生クリスタルが行える処理を溢れさせ、創生クリスタルの活動を制限させるつもりでいた。


その創生クリスタルが1024にも増えてしまい想定を超える自体となった。


だが、考え方を変えて見るとある事に気が付いた。次元回廊を流れる情報量を分析したところ次元回廊自体を流れる情報量の総量自体は何も変わっていなかった。


つまり創生クリスタルが今迄以上に増えたとしても、そこを繋ぐ次元回廊自体に流せる情報量自体が変わらないのであれば、基幹になる次元回廊のみで情報を溢れさせれば済む話しだ。


精霊ホワイトローズは、それを効率よく行える次元回廊の箇所を慎重に探していく。そして候補となる箇所をいくつか見つける事が出来た。


後は、いつそれを実行するかである。


自身の霊樹は、いつでもどうにでもなる。精霊ホワイトローズの霊樹は、何もひとつとは限らない。


創生クリスタルがそうである様に、精霊ホワイトローズの霊樹もクラスタ構成なのだ。問題が生じれば自身と霊樹を結ぶ回路を瞬時に切り替えればよいだけの話。


妖精達と闇の双子が組んだところで精霊ホワイトローズの敵ではない。


精霊ホワイトローズの目の前には、巨大な空間に神界とカル達が住む世界を繋ぐ次元回廊のネットワークを図式化した絵が網の目の様に描かれている。


「もうすぐなの。この世界を破壊できるまで、あと少しなの」


不敵な笑いを浮かべながら、星の数程の次元回廊に目を向ける精霊ホワイトローズ。


「今更、あんな精霊神を投入して私をどうにか出来るなんて思う方が間違っているの」


だが、精霊ホワイトローズは、ある事を想定していなかった。それは、中級精霊神お猫サマは、”やらかす神”である事を・・・。


さて、何だか話が終わりませんね。まるでドラ〇ンボールのアニメの様です。



神界とカル達の住む世界を繋ぐ次元回廊。社内ネットワークと同じ様なネットワーク構成で神界とカル達の住む末端の世界が繋がっているという想定で書きました。


その方が分かり易いと思いました。とはいえ私は、ネットワーク屋さんではないので、詳しい事はよく分かっていません。


毎回、ネットワークチームが作ったネットワーク図を見て「ふんふんこうなってるのね」

と納得している程度です。


その辺りは温かく見守ってやってください。


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