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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第5章》誕生と終焉と。
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180話.砂漠の街に降る雪(2)

鉱山都市デルタに向かったカル達。そして・・・。


浮遊城から地上に降りたカルは、近くで警備をする兵に訪ねた。


「領主のルルさんは、どこにいますか」


「あっ、なんだって?」


警備兵には、城壁から放たれる攻撃魔法の爆音でカルの言葉が全く聞こえない。


「ルルさんはどこ?」


「ルル様?ああ城壁の上でリオ様と共に戦ってるよ!」


警備兵が指を差す方向を見ると城壁の上でいくつもの閃光が走る。


「だが、あそこは警備隊しか入れないぞ!」


するとメリルが兵の襟元を掴み顔を近づける。


「あんた。城塞都市ラプラスの領主であるカル様の顔も知らないの」


メリルの目が赤く光り髪の毛が無数の蛇へと変わる。


「ひぃぃぃ。メッ、メデューサ」


「石像になりたくなければ、ルル様のところに案内しないさい!」


兵士は、恐怖のあまり股間を少し濡らしながらカル達を城壁の上へと案内する。


城壁の上では、数百人の弓兵が矢を放ち、数十人の魔術師が攻撃魔法を放つ。


その中にルルとリオがいた。


「ワームの第3波が来る。今度の数は、今までの3倍だ。心してかかれ!」


ルルが激を飛ばす傍らでリオが黄色い液体の入った小瓶をラッパ飲みしている。


「ルルさ~ま。もうラピリア酒を飲み過ぎて~酔いが回っています。これ以上飲めません」


「分かってる。だがMPを回復するには、そのラピリア酒が一番効率がいい。この城塞都市デルタで最も強力な攻撃魔法が放てるのは、今はリオしかいないんだ」


「わ~てます。わ~てますよ。でもお酒でMP回復って~つ~ら~いで~す」


ろれつが回らない口で、何やら話しながらカルから贈られた魔法杖を握るリオ。


「それれ~は、いきま~ふ」


お酒を飲んで足元がフラフラのリオ。それを女性兵士がふたりがかりで補助をする。


「で~は、いっけ~!」


リオがそう言い放った瞬間。目の前に眩い閃光が走り、目の前で爆炎魔法がさく裂する。


いくつもの炎の火柱が立ち上り、ワームの群れが一瞬で蒸発していく。


「リオを少し休ませてやれ。今ので第3波の半分くらいは消滅させる事が出来た」


リオにつきそうふたりの兵士が、ルルの言葉にうなづきながら用意した椅子の上にリオを座らせ、上から毛布を掛けていく。


その間も雪は絶え間なく降り続く。


その雪がリオの体の上に降り積もらない様にとつきそう兵士は、傘をさしてリオを守る。


その間にも城壁の外には、ワームの群れがいくつもの波となって押し寄せる。


「矢の補充を怠るな!魔術師は、MPの枯渇に注意しろ。ラピリア酒は、いくらでもあるからな。今日は、仕事中だがいくら飲んでも構わん。これは、領主命令だ!」


ルルの言葉に思わず苦笑いをするカル。


「ルルさん。お疲れ様です」


「んっ、カッ、カルではないか。どうしてこんな所に」


「城塞都市を周って来ました。どの城塞都市も精霊の力でスノーワームから守られていました」


「そうだな。その件は、リオから聞いた。だから城塞都市アグニⅠとアグニⅡの守りは、レオに任せた」


「ここは、精霊の森がないから厳しいですね」


「そうだな。まさかこんな魔獣の群れに襲われるとは思ってもみなかった」


「精霊の森には、僕が植えたトレントラピリアもいます。彼らの協力もあって戦いを有利に進められています」


「そうだな。だが、この城塞都市デルタには、そのラピリアトレントもいない」


「この戦いが終わったら城塞都市デルタにも精霊の森を作りましょう」


「そうしてくれると助かる」


「スノーワームの群れですが、恐らく砂漠の何処かにスノーワームを生み出す魔石があるはずです。それを探しに行こうと思います」


「そういえば、さっきからワームの事をスノーワームと呼んでいるな」


「はい。実は、極地大陸でこのスノーワームの群れと戦いました」


「なっ、なんだと」


「そこでスノーワームを生み出す魔石がある事を知り、それを無力化する方法を見つけました」


「それは、本当なのか」


「このままだと、恐らくですが無限にスノーワームが生み出され続けます。それを阻止しないと城塞都市デルタは、スノーワームに食い付くされます」


「分かった。ここは、私とリオで何とかする。カルは、その魔石を探してくれ!」


「はい、ルルさんもお気を付けて」


するとルルの表情が和ぎ、カルの唇に自身の唇を重ねる。


しばしの時が流れ、そして・・・。


「死にはしないさ」


カルを見つめるルルの表情が一瞬だけ和らぐ。


だが次の瞬間、ルルの表情が女から戦士へと変わり兵士達に指示を出す。


「疲れた魔術師達を交代させろ。ワームを・・・スノーワームを城壁に入れるなよ!」


カルの前で兵士達に指示を飛ばすルルは、カルの目にとても勇ましく見えた。


ルル達が戦う戦場からカルを乗せた浮遊城が飛び立つ。




浮遊城の制御室では、妖精達が無数に設置された硝子板に映し出される文字や数字を見ながらスノーワームがどこから湧いているのかを探っていた。


衛星軌道上の探査機の画像、赤外線画像、物体の移動情報を解析しながら、少しずつ的を絞って行く。


渦を巻く雪雲の映像がいくつもの色に塗り分けられ、それらの映像から雲の映像が取り除かれる。


すると、スノーワームの群れが渦を巻きながら湧いている場所が特定された。


”カル。スノーワームが湧く場所が分かった”。


妖精が書きなぐったメモ書きがカルに手渡される。


制御室に設置された硝子板に映し出された地図には、スノーワームが湧き地点と浮遊城の現在地点が映し出される。


浮遊城の魔石にメリルが魔力を送り込み、殆ど視界の無い吹雪の中を進む浮遊城。


やがて硝子板に映し出された地点の上空にやってきた。


メリルは、ゆっくりと浮遊城を地上へと降下させていく。


するとさっきまで吹き荒れていた吹雪がいきなり静かになる。


ゆっくりと砂漠に降下していく浮遊城の真下の映像を写す硝子板には、砂漠の真ん中に大きな岩が映し出され、その上に大小いくつもの魔石の様なものが置かれている映像が映し出されていた。


「それじゃ、行ってみようか」


「「私達もいく」」


レリアとクレアが同時に同じ言葉を発する。


「私も行きます」


「私もです」


精霊エレノアとライラもカルの後に続く。


雪が降り積もった浮遊城の階段を下りていくと、大きな岩よりも1mほど高い位置で階段は終わっていた。


そこから岩の上に飛び降りたカル達。


そこには、極地大陸で見た魔石と同じ魔石が置かれていた。


ただ、いくつか違う事があった。それは、闇属性の魔石が6個に増えていたこと。


もうひとつは、6個の魔石の中央にひときわ大きな魔石が置かれていた事だ。


ライラが鑑定魔法で全ての魔石を調べていくと・・・。


「6個の魔石は、極地大陸で見たスノーワームを生み出した魔石と同じだと思います。ですが、中央に置かれた大きな魔石は、氷属性の魔石です」


「氷属性の魔石?」


「恐らくですが、この氷属性の大きな魔石がこの吹雪を生み出していると思われます」


「へえ、この魔石で砂漠に吹雪が生み出せるんだ。凄いね」


ライラの鑑定結果に思わず関心するカル。


「やはり極地大陸で見た魔石と同じ嫌な感じがします。でも中央の大きな魔石からは、嫌な感じはしません」


精霊エレノアが魔石を見ながらそうつぶやく。


カルは、腰にぶら下げた鞄から大きな杯とラピリア酒、それに洞窟の泉の水を取り出すと、いそいそと杯の中で混ぜ合わせる。


すると以前と同様に液体が虹色に輝き出した。


闇属性の6個の魔石は、黒い瘴気の様な煙を発しており、見ていて気持ちの良いものではない。


カルは、その液体を少しずつ闇属性の魔石の上からかけていく。


すると闇属性の魔石から立ち上る黒い瘴気が徐々に消えていき虹色に変化していく。


ひとつ、またひとつと黒い瘴気を放つ魔石に虹色に輝く液体をかけていく。


やがて6個の魔石に虹色の液体がかけ終わると、全ての魔石から湧き上がる黒い瘴気が止まった。


だが、相変わらず雪雲は残ったままであり、以前として凍える様な寒さであった。


「やっぱり、この大きな魔石にもこの液体をかけないと吹雪は、止まらないのかな」


「恐らくそうだと思います。今もこの魔石は動き続けています」


ライラは、鑑定魔法で白い大きな魔石を鑑定し続けている。


カルは、大きな杯に残った虹色に輝く液体を大きな魔石の上からかけていく。


すると白く輝いていた大きな魔石から輝きが消えていき、周囲に立ち込めていた霧が徐々にはれていく。


周囲に立ち込めていた霧が晴れ、空を覆い渦を巻いていた雪雲が徐々に消えていき、晴れ渡る空が広がっていく。


「やった。やっ・・・」


カルがそう言いかけた時、砂漠の真ん中に立つ大岩の周囲は、無数のスノーワームの群れで埋め尽くされていた。


雪雲が晴れたとはいえ、砂漠の上には未だに雪が積もり気温も氷点下である。スノーワームが活動する環境は、十分に整っていた。


さらに魔石が活動を停止した事により、魔石の周囲に張り巡らされていた防壁の様なものが消えた事により岩の上へと上り始めるスノーワーム達。


「これって・・・」


「逃げた方がよさそうです」


「「カル、カル。こんな数を相手にはとても戦えない」」


カルがレイラがレリアとクレアが岩によじ登るスノーワームの群れに恐れおののく。


「とにかく浮遊城に戻ろう!」


慌てて浮遊城への階段に向かうカル達。


その時、ふと岩の上に置かれた魔石が目に入る。


足を止め岩の上に置かれた魔石を鞄の中に放り込むカル。


「何をしているんですか。スノーワームがすぐ後ろにいます」


既に浮遊城へ上がる階段に避難したレイラ、レリア、クレア。


魔石の回収で逃げ遅れたカル。そしてその横で呑気に棒立ちをする精霊エレノア。


カルは、白い大きな魔石を持ち上げると鞄の中へとしまい込もうとする・・・が。


「この白い魔石が重くて・・・動かない」


「カル様。何をやっているんです」


精霊エレノアがそう言うと両手から魔法蔦を伸ばし一方をカルと魔石に絡ませ、もう一方を浮遊城の階段の手すりへ絡ませる。


ゆっくりと浮き上がる浮遊城。


精霊エレノアは、魔法蔦を徐々に短くしていくとカルと白い大きな魔石を浮遊城の階段へと引き寄せた。


「ありがとうエレノア」


「どういたしまして。でも、さっきあの女と口づけをしましたね。エレノアは、やきもちを焼いてしまました」


そういうとエレノアは、魔法蔦でカルの両手両足の自由を奪う。


「えっ、エレノア。何を・・・」


「だからエレノアは、やきもちを焼いてしまったんです」


浮遊城へ上がる階段で魔法蔦で身動きの取れなくなったカルを抱き寄せると、カルの唇を奪うエレノア。


「ふう。一度では許しません」


そういうと、またカルの唇を奪うエレノア。


エレノアの強制的な口づけの真下では、大岩の上に溢れるスノーワームの群れが渦を巻いていた。


魔石を回収したカル達。ですが雪の降り積もった砂漠には、スノーワームの群れがいます。


※ここまで来たら200話まで書いてみたい。


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