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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第5章》誕生と終焉と。
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144話.鉱山都市デルタ(1)

カル達は、魔王国の捕虜にかかるお金を工面するため、鉱山都市デルタにやって来ました。


城塞都市ラプラスと妖精の国は、魔王国軍の捕虜の返還について合意した。


それは一見すると平和的な交渉による解決に見えたが、裏では魔王国は妖精の国と城塞都市ラプラスに対する制裁に乗り出す迄の時間稼ぎであった。


そもそも魔王国内に勝手に作られた妖精の国などいうものを、魔王国もその国の王である魔王も認めるはずがない。さらにその妖精の国と友好関係にある城塞都市ラプラスも同様である。


魔王国からは、妖精の国がどんな国なのかどの様な戦力を有しているのかを調査分析するために複数の偵察部隊が魔王国軍から派遣された。


さらに城塞都市ラプラスに対しても商人や冒険者に扮した調査団が多数送り込まれ、それらは領主の館の職員らに接触して城塞都市の内情調査が現在進行形で行われている。


元々、城塞都市ラプラスの職員の殆どがルル達が領主になる以前から職員として働いている者ばかりである。そういった者達は、多かれ少なかれ魔王国との繋がりが多い。


逆にそういった職員を排除してしまうと城塞都市の運営はできないのだ。


結局、妖精の国に捕虜の宿舎を建設し、彼らが魔王国に返還される迄の間の食料を供給し続けなければならなくなったカルは、その金を捻出するために奔走する。


返還する捕虜達を馬車で城塞都市ガンドロワへと送るにしても相当の日数を要するため、その資金をどこから捻出するかで悩んでいた。


魔王国軍の兵士達が装備している武具を売ってその資金に充ててはいるいが、その程度でどうにかなる様な話ではない。また、その資金を魔王国に請求する事も考えたが、もめ事の種を作り戦争が再発する事を避けたいカルにとっては、言い出せない話であった。




城塞都市は、税収的には赤字運営を続けていてそれをカルの個人資産でなんとか賄っている状態である。


今まではミスリル鉱山から採掘したミスリルやラピリア酒(薬)の販売で何とかやっていたが、ミスリルもそれ程市場規模が大きくはない。


最近になってカルが作り始めたマンドラゴラのラピリア酒漬けは、売れてはいるがこれも市場規模からしても大して城塞都市の税収増に貢献できない。


そんな時カルは、ルルからある情報を得た。


「城塞都市アグニⅠのお隣りにある城塞都市デルタは、別名鉱山都市と呼ばれている。こそは、砂漠の中に鉱山を有しており不思議といろいろな鉱石が採掘できるらしい」


一呼吸置いたあとルルは、話を続ける。


「そこで採掘できる鉱石の中に金も含まれているという話だ。金であれば市場規模も大きいから何処の商家にでも持ち込める」


ルルは、城塞都市アグニⅡの領主の館にある自身の執務室でカルにそう告げた。


実は、鬼人族であるルル、リオ、レオは、小さな事業体をいくつか運営しており、そこで人を雇い利益を得て城塞都市の運営資金に充てていた。


だが、その規模は微々たるものでカルが採掘したミスリルやラピリア酒(薬)の販売で得られる税収には遥かに及ばない。


ルル達も必死に知恵を絞り城塞都市の運営に貢献できる何かを探し試策を行ってはいる。だが、それらが花を咲かせ実を結ぶ迄は長い年月がかかるのだ。


今は、ただカルの腕にすがる他なく副領主としてもどかしい毎日を送っていた。そこにきて魔王国との対立である。


さらにルル達も妖精の国の城や城壁の建設に尽力してしまったため後戻りもできずにいた。そこにカルがやって来ての相談事である。カルの盾があればミスリルと同様に何の問題もなく金が採掘できる。


ルルは、以前からそれをどうやって言い出そうかと悩んでいた。結局のところカルが採掘した金は全てカルの個人資産となる。それを城塞都市の運営資金に充てろとは口が裂けても言えないのだ。


「では、その鉱山都市で金を掘る事ができれば、城塞都市の運営資金にも充てられるし、妖精の国の捕虜の生活費も出せるね」


カルの話を聞きながらルルの表情はぴくりともしない。だが、心の中で拳を振り上げて喜んでいた。


自身が金の採掘などに手を出したところで痛い目を見るのは明らかである。だが、カルであれば、それが”絶対成功する”と断言できるのだ。カルは、それ程の武具を有しておりそれを使いこなせる唯一無二の存在なのだ。


「話によると鉱山の鉱区を週単位で借り、そこから出た鉱石を精錬して一定の税を払えば全てその鉱区を借りた者の所有物に出来るらしい」


「へえ、なら僕の大盾があればいくらでも金が掘り放題だね」


「ただ、良い話ばかりではない。大金を手にした者がその鉱山都市から出て来た話は少ないのだ」


「それって採掘した物を奪われたり・・・」


「殺される者も多いらしい」


「つまり金を採掘できても身を守る術を持たない者は生きて帰れないという事ですね」


「恐らくな。ただ、カルはゴーレムのカルロスもいるしメデューサのメリルもいる。さらにカルの大盾に宿る魔人達の力を以ってすれば、城塞都市のひとつと戦ったとしても問題にならんだろう」


「ルルさん有益な情報ありがとうございます。これから城塞都市デルタに行ってきます」


「ああ、気を付けて行ってこい。何ならリオの浮遊城で城塞都市デルタ迄送らせる・・・」


「僕にはカルロスⅡ世がいます。そこまでルルさんやリオさんに甘えられませんよ」


「・・・そうか」


カルは、意気揚々とルルの執務室を後にした。


ルルにとってカルは城塞都市を営む共同経営という立場である。そして魔王国の子爵待遇という貴族でもある。まあ、貴族というのは建前的な部分が大きいがそれでいてカルとルルはライバルでもある。


カルはそう思っていなくてもルルは、そう考えている。さらにカルは、ルルの思い人である。以前、カルに対して酔った勢いで結婚という言葉を口にしたルルであったが、歳が若いという理由で断られた事があった。


それ以来、その事を口にしていないルル。仲間達と領主の館を後にするカルの背中を窓から見つめる。


徐々にカルの存在が遠くなる様に思えて来たルルは、この先どうすればよいのか尽きない悩みに悶々とした日々を送っていた。




カルロスⅡ世の肩に乗り城塞都市デルタに到着したカル達。


カルロスⅡ世は、カルの盾のダンジョンでドロップした魔石と液体金属により金属の神である剣爺が作ったゴーレムである。


だが、魔石と液体金属の相性が悪いようでカルロスⅡ世にかけられた魔法の効きがいまいちであった。


そのため魔石をカルの飼っている地龍達のうんち・・・地龍の魔石に置き換えてもらったところ魔法の効きが抜群によくなったと剣爺が喜んでいた。


ただ、地龍の魔石をそのまま使った訳ではなく剣爺が魔石にかなり手を入れたとのこと。


城塞都市デルタから茫漠の地を進み砂漠の淵に来ると、そこから先はサンドワームの住処である。


砂漠には、大きな岩が運び込まれそこを足場に丸太で橋や道が作られている。


まだ、砂漠が浅いせいもあり体の小さなサンドワームが砂の中から姿を見せるくらいだが、砂漠に落ちればサンドワーム達の餌食となり骨さえ残ることはない。


丸太で組まれた橋や道を進むカル達。カルロスⅡ世で砂漠を渡ってしまえば簡単なのだが、初めて来た城塞都市デルタである。いろいろ満喫しなければとはしゃぐカル。対してライラからは悲鳴しか聞こえてこない。


「こんな怖い橋の上なんて歩けません」


手すりすらない丸太が縦に並べられただけの橋がいくつも連なり、その橋の上でしゃがんだまま震えて動けなくなるメリル。


「こんな橋くらいなんですか。カル様が戦っている敵の事を考えたら大した試練ではないはすです」


対して丸太の橋の上を平然と歩くメリル。


「ライラさん僕の大盾の中で待ってる?」


「そうさせてください」


思わずライラに甘い言葉を投げかけるカル。それに甘えるライラ。


「本当に精霊治癒魔法士は使えませんね。もしカル様に何かあったらどうするんですか」


「カルさんに何かある前に私がサンドワームに食べられてしまいます」


いそいそとカルの大盾の内側にある扉を開け、その中に四つん這いになりながら入っていくライラ。


「いいです。カル様は、私が守ります」


そう宣言してカルの手を引いて丸太の橋の上をスタスタと歩くメリル。


砂漠の砂の上に巨大な岩の島が浮いている様な姿をさらすデルタ鉱山。その入り口には、採掘された鉱石の屑がいくつもの巨大な山を築いていた。


そこには、こんな看板が掲げられていた。


”ゴミ捨て場。もしかしたら宝の山。自由に持って行け!”。


「へえ、掘った鉱石を廃棄するゴミ捨て場だから何をしてもいいんだ。なら・・・」


カルは、鉱石の屑が山となった場所に大盾を構えると金の糸を出して鉱石の屑の中へと広げていく。


「カル様。こんなゴミの山から何か出るんですか」


カルの行動に不思議そうな顔をするメリル。


「そうですよ。ゴミなんですから何も出ないんじゃないですか」


大盾の裏扉を開けてそこから這い出て来たライラも、ゴミの山の看板を見て呆れ顔だ。


「でもね。僕の感が正しければこの山は宝の山だよ」


先程から鉱山からひっきりなしに人が出て来ては、鞄の中から鉱石の屑を吐き出していく。


この鉱山で働く魔術師の多くは、カルと同じアイテムバック持ちである。ここは、市場よりもかなり稼げる場所であるため、世の中のアイテムバック持ちが集まる場所となっていた。


カルは、大盾の前に灰色の大きな布を広げてじっと金の糸から伝わる感覚に神経を研ぎ澄ます。


「あった。かなりの金がとれそう」


そう言った途端、大盾の前に広げられた布の上には、小さな金の粒がポロポロと零れ落ちる。その粒は、みるみるうちに大きくなり小さな樽程の山となった。


「えっ、このゴミの山だけでこんなに金が取れるんですか」


思わず目をキラキラさせるライラ。


「金に大した価値などありません」


対して金に全く興味を示さないメリル。


カルが鉱石の屑の山から大盾の金の糸を使って金を取り出した。だが、それは目の前にあるたったひとつの鉱石のゴミの山だけでの出来事である。


カルの前には、数十もの鉱石の屑が山となっている。この山に同じだけの金が眠っているとしたら、それだけで城塞都市を運営できる資金が手に入るのだ。


だが、金の価値をあまり理解していないカルは、どれくらいの金を持ち帰ればよいのか全く理解していない。


鉱石の屑を捨てに来た魔術師達は、ゴミの山の前で大盾を構えて何やらやっているカルの姿を遠巻きに見ていたが、その大盾の前に広げられた布には、金が小山を作っている。


「おい、なんだよあれ」


「金、まさか金がまだ眠っているのか」


「そっ、そんなはずはねえ。この鉱石屑からはどう頑張っても金を精錬できねえ」


カルの大盾の前に広げられた金の小山を見て勢いづく採掘を生業とする魔術師達。


だが、いくら精錬の魔法を放っても本当に小さな金の粒が数個程ある程度である。


「くそ。あいつ何者だ」


「どうやったらあんな芸当ができるんだ」


だんだんといら立ちを覚える魔術師達。


「カル様。なんだか周囲の雰囲気がおかしいです。そろそろこの場所を離れましょう」


ライラが周囲に集まる人達のおかしな雰囲気を察してカルに注意を促す。


「・・・なんだか皆の目が血走ってるね」


カルは、大盾の前に広げた布を金の小山ごと腰にぶら下げたアイテムバックにしまい込みそそくさとその場を後にする。


その場に集まった魔術師達は、必死になって鉱石の屑の山から金が精錬できないかと必死になった。だが結局のところ無駄足に終わってしまう。




「では、このデルタ鉱山への入山税として金貨10枚だ。それと採掘した物には税金が課せられるから嘘を吐かずに申告するんだぞ」


デルタ鉱山の坑道の入り口には、狭い道の両脇に何軒もの宿屋や飲み屋が並ぶ。


その最奥に広大な広さの事務所が広がり、何人ものドワーフ族が鎮座して棚から鉱山の鉱区の地図を書き記した帳簿を探していた。


「それで、あんたらどの鉱区にするね。鉱区の数はざっと1000はある。金が採掘できる鉱区もあればミスリルが採掘できる鉱区もある。だがよい鉱石が採掘できる鉱区は高いぞ」


カルの目の前には、紙に書かれた鉱区の一覧の束が置かれている。


「横線が引いてある鉱区は、借用済や予約済みだ。★の数が多い鉱区ほど採掘の実績が多い鉱区になる」


一覧を見ていくと★が多い鉱区は、殆ど横線が引いてあり既に借用済みであった。


「そうだな、この★3辺りならまだ金が出るかもな。ただ、量は期待するな」


ドワーフの言葉を聞きながら鉱区の一覧を見て行くカル。


「そうじゃな。887鉱区辺りがよさそうじゃ」


そう言葉を発したのは、カルが腰にぶら下げているアイテムバックに仕舞い込まれた短剣に宿る金属の神である剣爺だ。


「あっ、剣爺。えーと887鉱区?ここがいいの」


剣爺が示した887鉱区は、★の記載すらない。さらに注釈欄には水没と書かれている。


「そうじゃ。実はなその大盾の能力があれば、どこを掘っても金は出るのじゃ。多少の労力の違いだけじゃ」


「ありがとう剣爺」


「採掘が始まったらまた呼ぶのじゃ」


そういうと、剣爺はアイテムバックの短剣の中へと姿を消していく。


「じゃあ、この887鉱区にする」


「・・・まじか。ここは半分水没しておるぞ。しかも一度たりとも有望な鉱脈が見つかっておらん。それでもよいのか」


無言で首を大きく縦に振るカル。


「お前さんがよいと言うのならわしは何も言わんがな。この鉱区なら金貨1枚じゃ」


「金貨1枚・・・1週間分の借用契約金だよね」


「何を言っておる。それは1ヵ月分じゃよ。そこはそれくらい価値の無い鉱区だ」


「そう・・・だったら1年分の金貨12枚を払っておく」


「・・・お前さん正気か?まあ、払うのは自由じゃからな」


「そうじゃ。金貨100枚を払えば99年間の永久使用権を買えるがどうするね」


「金貨100枚か・・・なら100枚でその権利を買う!」


「おう。これでこの887鉱区は、99年間はお前さんのもんだ」


ドワーフは、2通の権利証を用意するとカルにサインを書かせ、1通を金庫の中にしまい込む。


「それとここからが大事な話だ。このデルタ鉱山では、鉱山ギルドに加入しているパーティ最低1組を雇うルールになっておる。それを破ったらこの鉱山から出入り禁止になるからな。忘れるな」


ドワーフからいくつかの注意事項を聞き終わったカル達は、採掘や精錬を行う魔術パーティーを雇うべく鉱山ギルドの館へと向かう。


鉱山ギルドに登録しているパーティに所属する魔術師達は、主に採掘、精錬、それと精錬が終わった鉱石の屑を鉱山の外に運び出すためのアイテムバック持ちで構成される。


鉱山ギルドのパーティも冒険者ギルドのパーティと同様で、その能力によりFランクからAランクに分類される。


当然の様に上位ランクのパーティの方が鉱脈の発見率も高く採掘した鉱石から精錬できる鉱物も多くなる。


そしてランクの高いパーティは、雇う金もそれなりに高価である。


鉱山ギルドの館に入ると壁一面にパーティの売りが書かれた紙がランク毎に所狭しと張り出されていて、その金額も様相である。


「へえー、以外と高いんですね」


「Cランク1週間で金貨10枚・・・えっ、ひとり分で」


壁に張り出されパーティの売りが書かれた紙を見ながら、あまりのパーティの雇い賃の高さに項垂れるカル達。


「どうせカル様が精錬されるのなら一番安いFランクで良いのではないですか」


「そうですよ。彼らには、横でちまちまやってもらって後はカル様がちゃちゃと」


メリルとライラの面倒そうな顔を見ながら考えこむカル。


「そうですね。それじゃこのFランクの・・・あれ、Fランクは1枚しかないや」


壁に張り出されたパーティを紹介する紙は、Fランクのものは1枚しかなかった。


それは、FランクからDランクのパーティは、上位のパーティの下働きをするのが普通であるからだ。下位のパーティは、雇われる事がまずないためパーティをアピールする紙を貼り出す事などしないのが普通である。


「えーと、パーティ名”ゴールドスノー”さんか」


カルは、その紙を壁から剥がすと鉱山ギルドの受付へと持ち込む。


「すみません。このパーティを雇いたいんです。期間は1年間でお願いします」


受付に座り笑顔を絶やさないお姉さんは、カルがカウンターに出した紙を見るなり眉間にしわを寄せる。


「あのー、悪い事は言いません。このパーティはダメです。他のパーティにしませんか」


受付嬢の眉間には、相変わらずしわが寄っている。


「いえ、このパーティで問題ないです。おいくらになりますか」


「・・・あなたがよいと言うなら。月額金貨4枚。3人だから月額12枚。さらに1年・・・1年も雇うんですか」


「ダメですか」


「Fランクを1年も雇ったところで何も出ませんよ」


「ええ。それは理解しています」


「本当にいいいんですか」


「はい!」


満面の笑みで答えるカル。対して綺麗な顔の眉間にずっとしわを寄せる受付嬢。


「えーとですね。全部で金貨144枚になります」


カルは、そそくさと皮袋から金貨144枚を取り出すとそれを受付嬢へと差し出す。


「契約完了となります。契約の解除となると違約金の支払い義務が生じます」


カルは、受付嬢からいくつかの注意事項を聞いた後、「ゴールドスノー」が鉱山ギルドの最奥のテーブル席で座っていると説明を受けその場所へと向かう。


受付嬢が教えてくれたテーブル席には、3人の少女が座っていた。だが、なぜか3人とも血色の悪い顔をしていて体も痩せ細っていて身動きすらしていない。


「あのーゴールドスノーの方達ですか」


カルの問いかけに何も答えない面々。ただ、微かに何かをしきりに口走っている。


「・・・ご・・・ごは・・・んが食べたい」


誰にも雇われず金もなく食事すら取っていなかったゴールドスノーの面々。


「僕達、貴方達を雇う契約を結んできました」


目はうつろで生きているのがやっとといった表情を浮かべるゴールドスノーの面々。だが、その言葉を耳にした途端、カルの顔を覗き込み気持ちの悪い笑顔をふりまき始める。


「しーごーとーだー」


カルは、慌てて鉱山ギルドの食堂から食べ物と飲み物を買ってくるとゴールドスノーの面々の前へと差し出した。だが彼らは、目の前に置かれた食べ物を手に取る体力すら残されていなかった。


ライラは、慌ててゴールドスノーの面々に精霊治癒魔法をかける。さらにカルは、ラピリア酒(薬)が入った小瓶を取り出すとゴールドスノーの面々の口へと流し込んでいく。


カル達は、とんでもないパーティを雇ってしまったようだ。


なんだか今にも死にそうな危ない連中を雇ってしまったカル達。


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