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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第4章》ふたつの世界。繋がる世界。
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104話.精霊界(1)

精霊界への扉を召喚した精霊達は、その扉をくぐり精霊界へと向かいます。


精霊界へと繋がる扉を召喚した精霊達は、精霊界へとやって来ていた。


精霊界には、ぱっと見て城塞都市ラプラスの様な都市が存在する訳ではない。さらに馬車の様な交通機関も存在しない。


精霊達が召喚した扉の向こう側には、いくつかの扉が並びその扉の前には、硝子の様な透明なプレートに精霊語で行先が書かれている。その透明なプレートに書かれた行先地の精霊語を指でなぞり扉へと入っていく。


これが精霊界の交通機関と言えるシステムである。実は、個々の精霊はどこへでも自由に行き来ができる指輪を装備している。だが公共の場ではそれを使わないルールになっている。


それは、自由勝手に行き来をするとトラブルの原因となるためだ。最低限の社会ルールが存在しそれを守る様に定められていた。




扉をいくつかくぐりながら目的地のとある森へとたどり着いた精霊達。


そこには、城塞都市を囲う城壁の外周程もあ巨大な木がいくつも立ち並び、まるで裁定の木が生い茂る森の様である。


そう、精霊達は、生きた巨大な木の中に多層構造の街を作っていた。なので街というよりも巨木の森にしか見えないのだ。


森の前には、無数の扉と硝子の様な透明なプレートが並び、その硝子の様な透明なプレートに手を置き、行先を思い浮かべると目の前の扉と目的地の扉が繋がる。


この扉は、カルがラドリア王国のリガの街の倉庫とサラブ村の砦跡を繋げているゲート空間移送システムの上位版である。


皆さんは既にお気づきだと思うが、最初からこの目的地に扉を繋げられれば、何度も扉を通る必要はないと考えだろう。


実は、安全保障上の理由からいくつもの手順を踏んで目的地に向かわせているのだ。さらに扉を通る度に誰がいつ何処に向かったかを全て記録している。


そのため、おかしな行動をとると別の場所にある扉へと誘導され、そこには治安部隊が待ち構えていて拘束される事となる。


さて精霊達は、とある巨大な木の中にある一室へと通される。部屋の中央には、小さな硝子の様なプレートといくつかの椅子のみが置かれ、白を基調とした装飾のない簡素な作りとなっていた。




ここから先は、何処か別の場所へと繋がる扉はなく部屋の奥に自らの手で開ける扉がひとつあるだけである。


精霊は、小さな硝子の様なプレートにトに手を置くと、今回の出来事を完結に思考から入力していく。


他の精霊たちは、手持ち無沙汰の様で部屋に置いてある椅子に座ると、雑談に花をさかせていた。




しばらくすると部屋の奥の扉が開き、中から男の精霊が現れた。


「お待たせして申し訳ありません。他世界から精霊界への扉が召喚されたのは、実に150年ぶりなものですから、諸々の申請を探すのに手間取りました」


他にも数名の女性の精霊が現れると扉の両側へと並ぶ。


「では、こちらへどうぞ」


男性の精霊に案内されるがままに扉をくぐると長い通路の奥にある会議室へと通された。


会議室の中央には、精霊界の女王。その両隣りには秘書官と数名の護衛が居並ぶ。


「よくぞ精霊界に戻って来てくれた。聞いているとは思うが精霊界への扉は、150年間も召喚される事がなったのでな。私が精霊女王になってから初めてなので少し興奮ぎみだ」


精霊たちは、気さくな物腰の精霊女王に安堵したのか、事の経緯を余すことなく伝えていく。


最初、精霊の森が30もあったこと。


それがつい最近では、7つにまで減少したこと。


ある人族の少年のおかげて命拾いしたこと。


人族の少年と少女のおかげで精霊の森が大きくなったこと。


その少年が造った薬で妖精が精霊に進化したこと。


さらにその薬で意図せず裁定の木の精霊を呼び出してしまったこと。


「つまりその世界にいる人族の少年と少女のおかげで精霊界への扉が召喚できたという訳か」


「そうなの。これがその薬なの」


城塞都市ラプラスの精霊の森の精霊が机の上に小瓶を並べていく。


黄色の液体の入った小さな薬瓶。


赤色の液体の入った小さな薬瓶。


最後に取り出した小さな薬瓶には、紅色の液体がほんの少しだけ入っていた。


「この薬を調べれば、精霊界の危機を少しだけでも救える手助けができるかもしれないの」


「そうだな。あの件は、どうにもならないと思っていたが、その薬でなんとかなる事を祈るしかないな」


精霊女王は、秘書官に3つの小瓶を持たせると、担当部署へと運ぶ様に指示を出す。




秘書官が部屋を出た後、精霊女王は目の前に並ぶ5霊の精霊をじっと見つめ、先ほど運ばせた薬の話を始める。


「お前達を見ていると生命力が溢れているのがよく分かる。この生命力はあの薬のせ力なのか」


「そうなの。あの薬・・・いえお酒なの。あのお酒を毎晩飲んでるの。妖精達も一緒に飲んでるの。凄く楽しいの」


「そうか酒でもあり薬でもあるのか。それは楽しみだ」


その後、精霊達と妖精女王は、時間の許す限りこの精霊界の未来について意見を言い合った。




精霊の森の精霊が精霊界に持ち込んだラピリア酒(薬)は、研究所に持ち込まれそこで薬の成分が分析された。


数日の後、1回目の分析結果を見た担当官は、驚きを隠せなかった。


精霊界には、精霊樹というこの精霊界に力を供給する源となる樹が存在する。


だが、その樹は1000年ほど前から衰えがはじまり徐々に枯れていった。


今では精霊界に数本の精霊樹が残るだけである。しかも最後に花を咲かせて実を成らせたのは、500年も前の事である。


精霊界は、精霊樹の衰えとともに衰退を始めた。精霊樹の衰退と共に精霊の力も徐々に衰えを見せ始め、この精霊界は消滅の危機に瀕していた。


研究所には、500年前に採取した最後の実が瞬間冷凍状態で保存されていたが、実の種を植えても芽を出すことはなく、数個の種は永久保存されることになった。


そしてラピリア酒の分析結果は、精霊樹の実の成分に非常に近い値を示し、さらに紅色のラピリア酒(薬)の成分は、精霊樹の実を遥かに超える数値を現していた。


ラピリア酒(薬)の分析は、慎重に何度も行われたが結果は全て同じ値を示しており、それは直に精霊女王の元へと知らされる事になる。


「こっ、この分析結果を信用して良いのだな」


「はい。実は、ひとつ試したい事があります」


「なんだ。言ってみよ」


「その酒を精霊樹の根本にかけたらどうなるかと…」


ラピリア酒(薬)を分析した研究所の研究員は、分析の結果からどうなるかをほぼ予測していた。だが、この精霊界に数本しか残っていない精霊樹をもし枯らせてしまった場合、誰も責任を取る事ができない程の惨事を巻き起こす可能性が”大”なのだ。


「お前は、どう思う」


「私の口からは、お答えできません。ですが薬になる前の実を分析できれば、もっと確実な事がいえると思います」


「そうか。ならば、あの精霊達をここに呼んでまいれ。あの酒の原料になった果実も持ってこさせろ。これは、最優先事項だ。この精霊界の命運がかかっている、いそげ!」


精霊女王の命により精霊界から、カル達が住む世界に多数の精霊が向かった。精霊界の命運をかけて。


そんな事とは知らないカルは、魔力切れから復活して水龍を放流すべく馬車でセスタール湖へと向かっていた。


精霊界の危機を救うかもしれないラピリアの果実。


ですがその果実は、妖精さんの御飯であり、酔っ払い龍達の酒の材料でもあります。


ラピリアの実は、今後どうなるのでしょう。


※体調があまりかんばしくありません。最悪の場合、周2回の投稿回数を減らすかもしれません。ご了承ください。


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