闇夜に彼岸花
破り取った原稿用紙の切れ端に
思うがまま乱れた走り書きで綴る
「僕はもう総て終わりにしたい」
そしてそれを握り潰してゴミ箱へ放り投げる
毎日そんな生活を送るだけな底辺の僕
生きていたくもないのに死ぬ事も出来なくて
その中間で呼吸するのは息苦しくて
もう僕は涙を流せないから
誰かが代わりに泣いてくれないかな
鬱々と怒りも悲しみも呟き続けた懺悔の壁は
溢れる言葉を受け止めきれずに汚く染まり
あちこち散った真っ赤な彼岸花
黒い闇に咲く赤い花の美しいコントラスト
真っ白なペンキぶちまけて
全部全部塗り潰したい
胸一杯に蝋梅の香りを吸い込んで満たされた僕の手の中
淡い波の上を月光が滑り落ちる
「もうたくさんだ」と星に呟いて
僕はうなだれるように睡りについた