雨瓦END
ダメ元で雨瓦君のペンダントについて調べようと自宅の書斎を見にいく。
手当たり次第に全部探すとあまり植物の研究には関係なさそうな表紙の本を見つけた。
まず出だしから読み始める。
今から30年前、ある研究所では、森に住まう古の妖精を模造する為、植物と霊魂で人を産み出す実験があった。
少女は生まれた日から、妖精の姫のうつし鏡のようだった。
そう書いてあり。
次のページにて、その少女が異国の青年と恋に落ち姿を眩ませた。
その後少女の代わりに新たな妖精姫を作る計画が進められたという。
しかし、次の妖精姫については破りとられていた。
次のページには丁度、あのペンダントのことがのっていた。
ペンダントは妖精姫の生命維持に作られたもので、宝石が人からエナジーを吸うことで妖精姫が生き延びると書いてあった。
必然的に妖精姫が恋に落ちた異国の青年は雨瓦君の父親であるマスターなのだと察した。
ペンダントは彼女のものであること、つまりペンダントを持つ雨瓦君は、妖精姫である母親からそれを受け継いでいる。
マスターが人でも妖精姫は完全な人ではなく、妖精姫が生きるには人のエナジーを必要としていることから、雨瓦君にもエナジーが要るのか…。
だから、私は雨瓦君と話した後に疲れたんだ。
謎が解けてすっきり、とまではいかない。
雨瓦君はエナジーを奪っていたことを自覚していたのだろうか…。
それとなく本人に尋ねよう。
葉陽斗に詳細地図を書いてもらい、喫茶店に向かった。
「あれ園崎さんどうしたの?」
雨瓦君は今丁度帰宅したようで、学校用の鞄を持っている。
「妖精姫を知っている?」
「絵本かなにかの話?」
きょとりとした顔をしている。
この様子では母親について知らないのだろう。
「おや、園崎さん」
店から出てきたのはマスターだ。
「…こんばんは」
「こんばんは丁度閉店しましたので、お話しなら中でどうぞ」
にこり、静かに微笑んだ。
雨瓦君はお茶を飲みながらうとうとしてついには眠りに落ちた。
「園崎さん…いや、第2の妖精姫よ」
「え?」
何気なく雨瓦君の寝顔を眺めていると、急にカウンターの声をかけられて、マスターの方に振り向く。
私が妖精姫―――?
「その様子だと、自分の正体に気がついていなかったようだね
…今日はどうしてここに来たのかね?」
マスターが仮面をつけて顔を隠し、金の口髭を撫でている。
「今日家にあった本を読んだら、そのペンダントが乗っていて、人の生命エネルギーを吸うと書いてあったから、きっとそうではないかと思って…」
さすがに怖くなり、うまく話をまとめられない。
「君には藤檎を完全に人に変えるため、生け贄になってもらう」
「人に…?」
やっぱり、半分はバイオテクノロジーで作った妖精だから身体が弱かったのか。
最近学校に来ていたのは、吸収したエネルギーがあったから…と考えれば、エネルギーがなければ雨瓦君は衰弱してしまう。
だけど私にはどうしてあげることも出来ない。
いくらなんでも命まで捨てたくはないからだ。
「生け贄にはならないけど、雨瓦君を助けたい…」
私は研究所にいる両親に雨瓦君の事を話した。
するとどうにかしてみるという返事がきた。
期待は出来ないが、一時的な凌ぎにはなるだろう。
「雨瓦君、また明日」
あれから一週間後。
「おはよう園崎さん」
「元気そうでよかった」
雨瓦君は毎日元気に学校に来ている。




