第二章 ②
「アキは学校があるんだから、邪魔しちゃだめよ?」
「・・はぁい。」
少し老けてはいるが、母だった。子供の頃、俺を生んでくれた、その人だった。
「・・アキ?」
「あ、・・・いや、なんでもない。」
姉ちゃん~・・・。
無言で睨みつけると姉は、ニヤニヤと笑って俺を見つめた。
『どう?久しぶりの再会は。』
「悪趣味だな。」
『まぁ、そう言わずn!?』
突然姉の声が途切れ、スマホから姉が姿を消す。と、同時に玄関のチャイムが鳴った。
「蛍お兄ちゃんだ!!」
さっきまで、母さんに叱られてションボリとしていた冬香が、全力疾走で扉へ向かう。
・・・蛍お兄ちゃん・・・?誰だ、それは。
姉ちゃんに確認しようとも、彼女の声は全く聞こえない。・・・もしかしてコレがさっき言っていたイベントというものなのだろうか。だから、彼女も干渉が出来ないのか?・・・とりあえず、玄関の方を見ていると。
「あべっし!?うぉわ!?」
「蛍お兄ちゃん!!」
冬香の開けた扉にぶつかり、さらにはタックルを食らわせられ、悶絶する<蛍お兄ちゃん>。
背の高さ的に、今の俺よりも年上・・か?
「蛍君、大丈夫?」
「あ・・相変わらず、この子が元気そうで何よりです・・。」
「冬香、離れなさい。」
母さんが悶絶した蛍から冬香を取り外す。そこで、ふと蛍と目が合った。
「あー!!アキ、手前まだ準備してねえのかよ!?」
「あっと・・悪ぃ。」
「ったく、早くしろよ?外で待っててやるから。」
玄関の扉を閉めて、蛍は外へ出て行った。・・まぁ、人を待たせるのは悪いし・・さっさと飯食っちまうか。