第一章 目が覚めたら大変なことになってた。
<rrrrr>
けたたましくアラームが鳴った。
「・・・うるせぇよ・・姉ちゃん・・・。」
寝ぼけつつ、姉に向かって文句を言う。
「おねえちゃーん、遅刻するよー!?」
ホラ姉ちゃん・・・誰か・・・
「アキ姉ちゃん!!」
そこで完全に意識が覚醒した。
って、凄い乙女チックな部屋だなおい!!何処だ此処!!そして今俺をお姉ちゃんと呼んだの誰だ!?
「おはよ、アキ。」
不意に姉ちゃんの声がして、その方向を見ると。
「ぶっふぉう!?」
<パソコンの中に>昨日葬式を挙げたはずの姉が居た。比喩でも、嘘でもなく、真面目に、本当に!!
「なんちゅう声出してんのよ、アンタは。」
「いや、ちょ、姉ちゃん?!死んだんじゃ・・?!」
「そんな事より私はアンタの姿の方が傑作だと思うわ?・・・見て見なさい!!」
姉ちゃんに促され、鏡の中を見ると・・・
「・・・?!」
「ねぇ?」
「いや、ちょ・・・はぁ・・・?!」
なんで・・
「なんで俺女になってんだァァァァァァ!!!???」
鏡の前で呆然としていると、姉はカラカラと笑い声をあげた。
「いやぁ、カミサマも意気な事するじゃない!!」
「カミ、さま・・?」
画面の中の姉をじっと見つめる。・・・悪びれもなく、いけしゃあしゃあと彼女は語りだした。
「ほら、私死んじゃったでしょう?」
「・・・。」
「で、そのときにさ、神様って人が一つだけ願いをかなえてやろうとか言いだして・・アンタの事が心配だったから、つい言っちゃったのよ・・
『アキの彼氏が見たいです』・・・って。」
「いや、うん!!最後!!途中までいい話だったのに!?そこは彼女だろう!?」
「つい・・本音が・・・。」
「自分の弟を餌にしてたのか、この腐女子!!」
「あ、ついでにこの世界はすべて私が考え出しましたー。生前に。」
「してたよ、してたんだこの人!!最低だな!!」
「テヘッ☆」
忘れていた・・わが姉であるこの人・・春華は・・重度の腐女子だったんだ・・もう発酵通り越して脳みそ溶けだしてたんだった・・((遠い目
「で、とりあえず教えるとね。今のアンタは倉本秋。・・・一応現実と同じ名前よ。年齢も一緒。・・性別違うけど(笑)」
「笑いながら言うなバカやろう!!」
「怒らない怒らない(笑)今下で君を呼んだのは、冬樹と冬香。秋の妹と弟の双子よ。」
「・・・へえー。」
「超絶美形の子達で・・・。嗚呼、アキはね。運動神経抜群、頭脳明晰。超凄い子だから!!」
「・・・。」
「で、あとあとー。アンタがイチャコラするイベントっていうの?の時、私は力になれないんだけどさ。いつもはアンタのスマホの中に居るから、いつでも話しかけてねー!!あ、もうこんな時間!!ホラホラー、遅刻しちゃうゾ☆」
嗚呼・・・デリートってどうやるんだろうか・・?