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贈りもの  作者: lycoris
1.離別
9/73

チェンジ

「おい」

寝ているアイドルに声をかけた。

その瞬間に周りの一部の男子たちの視線が集まった。

「zzz」

返事はない。

完全に寝ている。

机に伏せて寝るのではなく、遠目から見るとまるで起きているかのような姿勢で寝ていた。だが、頭が少し前のめりに傾き、下を見ているようだが、目は完全に閉じている。

静かにしていれば寝息も聞こえそうだった。

それでもお構いなしに声をかけた。

「おい」

さっきよりも大きめに呼びかけた。

一瞬ピクッっとしたのは気のせいか、それでも起きないようだ。

仕方なく、肩でも揺らして起こそうかと、手を伸ばした時、「うぉい!!」と、こちらを怒鳴りつける声がした。

またか、と思いつつ振り返ると、やはり、そこには彼女のファンらしき人物達の内の1人が、一歩前に出て、拳を強く握りながらこちらを睨みつけていた。

返事をしてやろうとしたが、強張っていた表情がすぐに慌てた表情に変わっていた。

振り返ると、その理由がすぐにわかった。

アイドルが起きてしまっていた。

危うくふきだすところだったが、笑いを心の中で抑えた。

「あ、ぁ、あの、その、すみ、すみますん」

「ぷっ」

耐えられなかった。

急いで手で口を抑えたが、掌の中ではにやけが止まらなかった。

アイドルは、らしからぬ顔でファンのリーダーを睨みつけていた。

(こいつら睨むの好きなwww)

内心でさらに盛り上がっていた。

そして、アイドルが目を閉じ、口を開いた。

「もう限界!あと5分だ…け…」

そう言って、俺の机に覆いかぶさるように寝てしまった。

おいおいおいおい

と口に出しそうだったが、これはこれでと、ファンのリーダーに目を向けると悔しそうにしていた。

「ふーふーふー」

笑いに堪えるそぶりをして見せると、こちらに気づいて、さらに悔しそうにしていた。

「絶対に起こすなよ!」

声を絞って、それだけを言い残し、去って行った。

これはいい土産話が出来た。そう思ったが、実際は得をしてはいなかった。

早くこいつをどかして、寝なきゃ。

午後の授業が耐えられん。ま、いつも寝てるが。

そういうわけで、学園のアイドルを無理やり起こし、自分の席に戻るように促す事にした。

まずは、5分待つ。時間は惜しいが、言い訳をさせないためだ。

その間は暇だったから、とりあえず、次の授業の準備を出来る範囲でして、隣の席に座って、次に旧友と会うことを考えていた。

あっという間に5分はたった。危うく眠り出すところだったが、ちょうど昼休みが終わるチャイムで目が覚めた。

「おい、もういいだろ。俺だって眠いんだ、自分の席で寝ろよ。」

アイドルの肩を揺らしながら言った。

「んぅ…」

まだ起きようとしない。

「もう5分経ったんだ。さあ、早く。」

「んぁ…だったら私の席で寝てもいいよ。」

顔を腕に伏せたまま返事をしてきた。

「どこだよお前の席。めんどくさいから早くどけよ。」

「んん…あとちょっと…席なら今座ってるじゃん…」

「は?ここがお前の席だったのかよ。」

そういえば、隣はこんな奴だった気が…しないな。いつもと何か違う様子だ。

第一、いちいち周りのことなんて気にしてないからそんなこと知らねーよ。

「すぐそこなんだから、どけよいい加減」

「嫌だぁー…動きたくないー…」

やる気のない返事しか帰って来ないので、反論されそうだが、一応事実を言ってみた。

「もうすぐ授業だから、どいてくれよ。」

「でも、あなたも寝る気なんでしょ?…」

ほら、やっぱり反論された。

「準備は必要だろ。余った少しの時間でもいいから寝たいんだよ。疲れてるからどいてくれ。」

確かに、気疲れはしているかもしれない。

「どうせ、あなた授業中も寝てるでしょ?…」

さらに疲れてきた。こうなったら、

「その机にじゃなきゃ寝れないんだよ」

「じゃあ、去年はずっと起きてたのね?…」

反論する気も失せた。論破されたなんて思いたくもなかった。

「ああ、分かったよ、しょうがないな。」

周りの視線が少し痛いが、彼女の机で寝ることにした。だが、最後に

「でも、授業中は「どうせバレないから安心して。寝心地は私が保証するわ。」

先読みされていたことに少しの苛立ちを感じ、寝て忘れることにした。

諦めて体中に力を抜き、眠気の誘うままに目を閉じ、机に張り付いた。

机に伏せたと同時に授業開始のチャイムが鳴った。


クラスのみんなが一斉に"自分の"席に着く中、2名だけ席を入れ替えたまま、授業が始まった。

そして、起立礼を怠そうに済ませて、その2名は眠りについた。


遅れてすみません。

いやー、書いてる途中に自分まで眠くなってしまいました。

今回も少々読みづらいところがありそうですが、ここまで読んでいただきありがとうございます。

それでは、また次週

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