遊んだ
「で、何して遊ぶんだよ?」
「何がいい?」
「それを聞いてるんだよ。」
「じゃあ、どんな遊びが好きなの?」
「…缶蹴り?」
昔のことを思い出して、パッと浮かんだが、
人数的に単調になる気がするが。
「それはどんな遊び?」
「知らないの?」
「うん。」
そんなにローカルな遊びだったか?
「金持ってるか?」
「急にカツアゲ?」
「違う。文缶蹴りには文字通り缶が必要なんだよ。」
「なるほど。缶をどうするの?」
「文字通り缶を蹴る。
だから缶が要る。」
「買わなくても隣にゴミ箱あるじゃん。」
盲点だった。
比較的綺麗な缶を洗って広場に立てた。
その上に足を乗せて説明の続きをする。
「俺が鬼だとして、缶を蹴られると負け。
お前は缶を蹴れれば勝ち。
鬼は缶を蹴られる前に見つけだしてここに足を載せて宣言をする。
『◯◯見つけた!』
そうして全員を、缶を蹴られる前に見つけられれば鬼の勝ち。
まあ2人しかいないけどな。
「ふむふむ。」
「試しにやってみるか?」
「2人しか居ないから、追加で相手の体に触れてから各々缶を蹴る、踏むっていうのはどう?」
「鬼だけでいいんじゃない?」
「まあそれでいいなら。」
「よし、やるか。」
結果は惨敗だった。
攻めも守りも交代でやったが、一方的だった。
ルールを覚えてしまえば後はただただやられるのみ。
全く追いつけなかった。
先に見つけたのに最後には缶が宙を舞っていた。
たしかに修行にはなるかもしれないが。
そもそものレベル差を実感させられた。
「だいぶバテてるな。」
「速すぎ」
「結構手を抜いてるぞ?」
「嘘だろ」
「言っとくけどお前の修行なんだからな。」
「分かってるって」
呼吸を落ち着けるので精一杯だった。
「聞いた通り口だけは一丁前だな。」
「うるせ」
ゴミはゴミ箱に捨て、
次は走らないかつ、俺でも勝てそうな、
そう"靴飛ばし"だ!
先ほどよりもシンプル極まるルールすらも知らなかったのに、やはり惨敗だった
対岸の砂場を超えあわや道路にまで飛び出そうとするほど飛んだ。
苦し紛れのブランコからに飛び降りも、
倍以上の飛距離でただ一層惨めに負けたのであった。
「ご苦労さん。」
負けた方が靴を取りに行く。当然だ。
「強いな」
「そうか?」
「クソ」
「じゃあ次はどうする?」
「うーん…」
「俺やってみたいのがあるんだけど。」
そう言って連れてこられたのが岩の前だった。
「ここの岩一度切ってるんだよね?
もう一回見せてもらっていい?」
「嫌だ!」
「なんで?」
「切れないから。」
「でも一回切ったんだろ?」
「今はもう切れないんだよ。」
「なんで?」
「分からん。」
「だから俺で修行か。」
「俺は何も分からん。」
「じゃあとりあえず走り込みでもするか!タイヤ引きずって。」
「嫌だ!」
しょうがないので組み手で我慢してやった。
が、一回も勝てなかった。
「お前強かったんだな。」
「お前が弱いんだよ。」
「…走れば強くなれるのか?」
「走るのか?」
「嫌だ!」
負けたままはもっと嫌だから、
小寺が帰った後に走った。




