いのい
そんな訳で近くの公園。
本当にただその場に一番近い公園だった。
「さあ決着つけようぜ」
「望むところだ」
「一発でケリつけてやるよ、そらぁ!」
「何!?」
想像以上だ。
いきなり飛ばしてきやがる。
だが、まだ負けたわけではない。
「クソ!この野郎!!」
ありったけ、今あるありったけを込めて蹴り上げる。
ギリギリで仕留めた。
が、奴にはまだ次がある。
「中々やるじゃねぇか。
だが、やっぱり俺の勝ちだ。
その目にやきつけろ!」
夕日にめがけてそれは飛んだ。
俺のよりも飛んだ。
「っはっはっは!どーだぁ参ったかー!?」
「確かに強ぇよお前は…」
「あっはっはっは!」
「だけど、勝つのは俺だ。」
「何ぃ!?今更お前に何が出来るんだよ?」
「必殺技は最後まで取っておいた。
今!刮目せよ!!
はあああああああ!!!とぉっ!!!!」
ブランコから空に飛び、最高点で足を切り替える。
そのまま夕日にめがけて靴を飛ばす。
「これが奥義・真空二段蹴りだ…」
「なん…だとぉ…!???!?」
最後の一撃が、転がっている奴の靴の頭上を超えた。
「馬鹿な!そんな馬鹿な!!
ありえない!断じて、こんなものは!!」
「ルールは最初に確認したはずだ。
お互いそれに同意し、今ここに決着した!」
「お前!最初からルールに穴を!!」
「そう!わざと明言したんだよ!
『靴を放る際、ブランコから足を離しても良い』ってね。
座ったままじゃ勢いが足りない。
それじゃあ刺激が足りない。ってね。」
「クソ!クソ!!くそっぉ!!」
「これで俺の勝ちだな。」
「ちく…しょぉぉお…」
「あー、うめー」
勝利の後のアイスは格別だ。
台なしにされた分と、勝った分で2個。
1つは今、残りは食後に。
「覚えてろ!」と吐き捨てて、彼は帰って行った。
結局何がしたかったのかは分からないが、
遊び友達なら大歓迎だ。
奢らせたにしろ、今度会った時はお返しをしないとな。
今はそれぐらい上機嫌だった。
アイスが溶けないようにさっさと家に帰る。
鍵を回すと既に開いていた。
幽たちがまた勝手に居るのか?
靴はない。
土足ではあがらないだろうから…
鍵のかけ忘れもない。
はずだ。
ならば、
それなら、
居た。
暗がりで目を配り耳を立てる。
何かを漁っている。
そこは両親の引き出し。
母親の下着を被っている。
それは紛れもなくかけがえのない遺品。
狂気に身を任せ、発狂寸前で斬りかかる。




