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贈りもの  作者: lycoris
2.覚醒
57/73

情け

気がつくと仰向けに倒れている。

嫌な予感がしたので咄嗟に何かを躱した。

音を置き去りにした何かが、さっきまでいた所に突き刺さる。

遅れてきた音でそれに気付く頃には次の攻撃が来ていた。

身体が勝手に動いた。

見てから動いたんじゃ遅いから、きっと生存本能なんだろうか。

俺にそんなスキルや蓄積された経験はないから。

なるべく素早く簡潔に状況を把握するとしたら、

ユウジが負けた。

そんな相手に俺が勝てる訳が無い。

逃げるしか無い。

相手は化け物の中でも更に化け物だ。

寒気を感じる程の無表情と当たったら確実の攻撃。

なんだコイツは、なんなんだコイツは。

防ぐ事も許されなさそうなのに、キツイ攻撃ばかり。


ふと目に、月明かりを反射した剣が映った。

気を取られた隙に攻撃。

絶対に避けられない。


「「!?」」

攻撃が来ない。

目を開けるとすぐそばに静江がいた。

「こうも情けないとは…

呆れ果てて失望すらしない。」

その目冷たく、明らかに見下していた。

「やはり分かりきっていた事だ。

今のお前じゃこいつには勝てない。」

「おいおい、邪魔すんなよ。」

「悪いが、今日はここまでだ。」

「そりゃないぜ、そっちから呼び出しといてよ。」

「だから『悪い』と言っている。」

「くくく、じゃあ選手交代しようぜ。

そいつは全く歯応えがなかったからな。」

その笑みに体が震える。

「言葉が通じないな。

今日の所はこれで終わりだ。」

一緒即発の状況で欠伸が聞こえた。

「ねぇ、早く帰りましょ。

眠くて眠くて、

退屈で。」

幽だった。

「そういう訳だ。」

「はぁ…次はもう少しマシな奴を呼ぶか、

アンタが相手してくれよ。」

未だに伸びてる2人を軽々抱えて何処かへ消えた。

「さあ、お開きだ。

お前も呼び出したのに悪かったな。」

「…いや、きっと僕なんかじゃ相手にはならなかったよ。命拾いしてよかった。」

「…そうか。」

4人目も帰っていった。


「情けないわね。

立てる?」

微笑んで手を差し伸べる幽。

「ほっといてくれ。」

「そういう訳にもいかないのよ。」

「…なんで俺にこだわるんだ?」

「自意識過剰なの?

まあ、今はあなたが必要だからだけど。」

「そうか。

今の俺で役に立てそうか?」

「まさかそんな訳。」

「だよな。」

「だから、強くなればいいじゃない。

今日で思い知ったでしょ?」

「…俺に水をかけさせたのもお前がやらせたのか?」

「いいえ、それは彼らが勝手にやった事よ。

まあ動機はあなたにあるみたいだけど。」

「元凶はお前だよ。」

「あれ?そうだっけ?」

「気楽でいいな。」

「いいでしょ?

さあ、私達も帰りましょ。」

「ああ、じゃあな。」

「いつまでも寝てないで早く私を家まで送りなさい。」

「俺じゃなくてもそいつがいるだろ。」

「私を送った後であなたは静江と修行するの。」

「俺の意見は?」

「あると思う?」

「じゃあそいつの意見は?」

「ないわ。

ね?」

何も言わない静江。

「ほら、さっさとしなさい。」

「はぁ…」

思わず出たため息。

なんて情けない。


その後のことはよく覚えていない。

いつの間にか家にいて、

朝起きたら身体中が痛かった。

そして、誰かが朝食を用意してくれていた。


長らく空いてしまいすみません。


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