覚悟
「気は済んだか?」
いつの間にか静江が近くにいた。
「…。」
「何故もっと楽に殺してやらなかった。」
「これが俺の精一杯だ。」
「何故もっと楽に殺してやれなかった。」
「俺が弱いから。」
「分かってるならいい。」
「…。」
「いつまでそうしてる。」
「他の奴らはどうした?」
「そいつの仲間の事か?」
「ああ。」
「殺した。」
「どうして」
「死人に口なし。便利な言葉だ。」
「どうして」
「幽が決めた。」
「たったそれだけで」
「ああ。」
「…」
「それだけだ。」
静江はいった。
「気分はどう?」
「今日は前と違った。」
「どんな気分?」
「最悪だ。」
「どう?」
「胸が苦しいし、涙が出る。
自分じゃない誰かが泣いてる。」
「それは誰」
「分からない。
だからこんなにも気持ちが悪い。」
「そう。」
幽が俺の涙を拭う。
「どんな事があっても、
あなたには、
私だけが居る。」
「_それはどう言う意味だ?」
「それはあなたが考える事。」
「俺はもう
「理由がないなら探せばいい。
それが理由じゃダメなの?」
「分からない」
「なら探して。
私も暇だったら手伝ってあげるわ。」
「…」
「どうする?」
「まだ死ねない。
今の所、それが俺の願いだ。」
「決まりね。」
「なら食べなさい」
幽は俺の頭に手を置いて微笑んだ。
「彼を」
幽が髪を掴む。
「生きる為に」
手に力が入る。
「それが嫌なら、
切り刻めば良かったのに」
幽の声はいつもより冷たかった。
「私言ったよね
分からなかった?」
悪意はどちらにもあった。
「あなたが手にした剣は、純粋な願いだけを叶えれるもの」
俺はただ、
…ただ悪意を持って振るってしまった。
願いもしない願いを。
ただきっと、どこかでそう願った事は否定出来ない。
それは既に起こったから。
「でも、それとこれは別だろうが」
「言い訳は要らない」
「俺にはこいつを切れない
そのうえ食えるわけがないだろ」
「私が言ってるの」
「嫌だ」
幽が手を離した。
「なら、要らないわ」
幽が背を向けるとその先に仮面を被った人間が居た。
「片付けて
2人とも」
「…」
黙って頷いた。
幽が公園を出た後、仮面はゆっくりとこっちに近づいてくる。
「…」
「…」
目の前で立ち止まってナイフを取り出した。
仮面の奥で見下してる気がした。
「立て」
言われるまでもなく。
「構えろ」
願う。
ここに在れと。
「覚悟はいいか」
今ここで、
ただ一つ、
殺してやる
護るために
生きる為に
願え
戦い方は身体が知ってる
決める
戦え




