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贈りもの  作者: lycoris
2.覚醒
52/73

おとしもの

俺はその場から無我夢中で逃げ出した。

分からない。

今さら1人、

人間を殺した程度で、

自分の中の何かが崩れる様な、

ちがう、

そうじゃない、

俺が俺じゃない、

ちがう、

俺は俺じゃない様な、

分からない

あれ

なんでこんなに

胸が苦しい



「はぁ、

はぁ…はぁ…っ」

息を切らして家についた。

そのまま床に倒れこむ。

そうだ、

そういえば、

ここで、

誰かが死んでいた。

あれは殺された。

俺は殺した。

そいつを殺した。

だからあいつを殺したところで。

ダメだ。

分からない。

どうしてこんなに寒い。

お腹が減った。

寒い。

そうだ、

殺さないと。

あの場にいた奴らを。

じゃないと

生きられない。


なんとか起き上がると、

ちょうどドアを叩く音がした。

その主を考えている間に一人でにドアが開く。

「…」

「…。」

確かこいつは奴らの内の一人。

「何しに来た。」

「殺したんだ、殺されても文句は無いよな?」

「それはお前じゃないだろ。」

「俺の餌だった。」

「だったらさっさと食えば良かったんだ。」

そうか、コイツも。

「違う、お前は友達を食えるのか?」

か。

「餌なんだろ。友達だって生きるためなら食う。」

「話になら、ないな。」

「ならどうする。」

「殺す。」

「だろ?理由なんて要らないんだ。」

理由なんて要らないんだ。


「なら外に出ろよ。」

そう言って家から追い出した。

以外にも素直について来た。

近くの公園で止まる。

「ここでいいか。」

「どこでも一緒だろ?」

歩いて公園の中心まで行く。

「始めていいか?」

「聞かなくてもいいだろ。」

「そうか?」

「どうせ殺すんだ。」

「そうか。」


何も構えず、ただじっと俺の首元を睨んでやがる。

挑発でもしようとした矢先に突っ込んで来た。

首に摑みかかるかと思っていた手で、

防ごうとした手を逆に掴まれてしまった。

そのまま引き寄せられ、首を噛まれる(すんで)で咄嗟に膝を挟む。

腕を掴み返し、体をその場で一周させ、片腕も一緒に捻る。

念入りに捻り直して、今度は相手の喉元を掴む。

抵抗される前に腕を折る。

同時に俺も動けないので、首を絞める方にも力が入る。

ヨダレを垂らしてもがいている。

「あぁあ!!!」

「あ゛ああああああ!!ああああああ゛!!!」

首を掴む手が噛まれそうになり、離してしまった。

「う゛ぅぅ…」

低く唸るその顔を思い切り殴り飛ばす。

「っ…!!」

「あ゛あ゛っ ̄!」

起き上がる前に両肩を膝で抑える様にのしかかる。

そのまま何度も顔を殴りつける。

何も考えずにただ、

何も考えない様にただただ、

それでもなお、

死なない。

殺せない。

殺したいはずなのに、

殺さないといけないのに、


分からない、どうして今、泣いているんだ。

顔に雫が垂れる。

目は乾燥していない。

じゃあ(これ)は俺のか?

痛みはない。

なのに苦しい。

「な…っくな、よ、…

かっ…た

のは…お…まえ、だ」

「…」

「殺…」

「…」

「せ…」

なんで、泣いているのは俺なんだ?

「なあ、なんで泣いてるんだ?」

「殺、せ、」

「笑うなよ。

俺は泣いてるんだ。」

「…」

「答えろよ。お前はなんであの中に居た?

どうしてお前は生きていた?」

「……」

「こんな程度で死ぬわけないだろ。」

「…考えて、たんだよ。」

「それで」

「分からない…いつでも食える様に側にいた。

いつまでも取っておくから、お前に殺された。

悪いのは俺だ。

救って、やれなかったのも俺だ。」

「…。」

「挙句に、仇すらとれない。

お、俺は、一体、何の為に生きていたんだろうな…?」

「…それを決めるのはお前だ。」

「そうか…

なら殺してくれ。

その時に決める。」

「…。」

首に手を添える。

「だからもう」

ゆっくりと力を入れる。

「お前が泣くな。」

顔を指が顔に触れた。

「お前は、泣くなよ。」

それでも涙は止まらない。

「じ、ぁ、…な…、」

「…

 ああ…

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