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贈りもの  作者: lycoris
2.覚醒
45/73

送り先

「待った。」

帰ろうとした俺は呼び止められた。

「なんだ?」

なんとなく面倒なことを言われる気がしていた。

「空、暗いわね。」

「ああ。」

ため息を堪えて、それはあくびだったのかもしれないが、とりあえず、今日は疲れた。

「はぁ…ま、期待した私が馬鹿だった。」

明日も学校とかふざけんなよ、と心の中で憤慨してると、幽は何かを待ってるように俺を見ていた。

「…ちっ、分かったよ、送るよ。」

「ん、よろしい。」


「んで、お前の家どこだよ。」

「教えるとでも?」

「あーー、帰りてぇ!」

「うるさい男。」

「はぁ…面倒くさい女。」

「つまりお似合いじゃない?」

「じゃない。」

「ほんと、甲斐性なし。」

「結構結構、なんとでも」

一々棘のある言い方をする幽に対して、流石の俺もね、グッとくるね、何がとは言わないが熱いものが込み上げてくるね。拳を握るほどの。

が、

「明日、学校来る?」


『学校行く?』と以前正義からサボりの誘いが来たのを思い出す。

「そうだな、」

サボったとして、家に電話来たとして、どうせ親が居ないのを思い出した。

「行くよ。」

正義になら『行くんじゃない?』と返していただろう。

でも今は、今の俺は、家に一人きりで長くいない方がいいのかなと思っていた。

かといって部活に入るでなし、そう言えばこれからは家事をしなくちゃいけないんだったな、全部。

いまさら自分が一人暮らしになったのだと、孤独になったのだと思い出した。


「そう、良かった。」

何が、

「心配なさそうだね。」

だから何が、

「また明日。」

幽は笑顔で落ち込んでいる俺の肩を叩いて、それはさながら友達のようで。

いつの間にか着いていたマンションの中に消えていった。

その幽の表情に思わず釣られて笑ってしまった。

自分は何を不貞腐れているのかと。

それからさっきより幾分軽い足取りで来た道を戻り

やっと家路に着いた。


誰に言うわけでもなく

「おやすみ」


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