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贈りもの  作者: lycoris
2.覚醒
43/73

目醒め

誰?

誰かが誰おれに笑いかける。

その誰かに見覚えがあるが思い出せない。

誰は誰かに手を伸ばした。

その手は誰かの頰に触れた。

この感触は


起き上がろうとして頭を上げるとぶつけた。

「っ!」

「あでっ!」

反動で元あった柔らかい枕のような所に打ち付けられる。

誰かが涙目になって額を摩さすっている。

俺も自分のデコを抑えようとするが身動きがとり辛くもがいていると代わりに誰かが摩ってくれた。

「急に起き上がらないでよ。」

「ん…っ…悪い。」

目が開けると上から覗き込む少女の顔があった。

暗くてはっきり分からないが、

それが見覚えのある少女の顔だと分かるほど近くにあった。

それから目が暗闇に順応するまでの間、少女と見つめあった。

何となく嗅いだ事のあるいい匂いだった。

少女が幽かすみである事が分かると同時に今までの記憶も蘇ってくる。

それを踏まえて

「それで?」

と切り出した。

1、2分は見つめ合っていただろう。

眠っていた俺はともかく彼女はそれ以上の時間見つめていたのだろう、おそらく。

これがあの面倒くさいファンクラブとやらのナンバー1桁さんに見つかると面倒…そういえば俺が殺したんだったな。

言おうとした言葉が詰まる。

言う必要がないから。

この距離で聴こえてないはずがないが、もう一度問う。

「それで?」

「?」

惚とぼけている、と言うよりは俺の発言を理解していないような反応。

「主語をつけて話してくれる?」

「悪かった。アレだ、今これはどうなってるんだ。」

「貴方が私に膝枕されてる」

どうやらこの柔らかい感触の正体は幽の太もものようだ。

「あー、うん、何で?」

本来の聞きたい事とは違ったが、これはこれで確かに気になる状況だ。

「貴方が、貴・方・に殺された後、

私がその貴方を殺したから。後出しも良いところだけど、結局残ったのは貴方。そして、残った貴方はその場に倒れたけど、私は非力だからその場ではこうするるしかなかったの。」

まったく分からん。

「あー…」

返答しようにも頭が回らないから、そのまま考え込んだ。

それにしてもこいつはいつまで見つめてくるんだよ。

思わず恥ずかしくなって来て目を逸らした。

逸らした先のカーテンから覗く月を見て、少し思い出した。

これは今日の月?

「あー、その、倒れてからどのくらい経った?」

理解に苦労しているが話を次に進めた。

ありえないが、もしかしたらがある。

「ざっと1時間もしないくらいよ。」

「そっか…」

だいたい思い出せた。

さっき幽が言った言葉を朧げに頭の中で繰り返した。

少し理解が追いついた。

けど、完全には、俺の常識がどうしても邪魔をする。

今更、だが、それでも、

「結局、俺は、どっちなんだ?」

一番の問題を聴いてみた。

「貴方は貴方。最初っからそうだったでしょう。例え、貴方から貴方が生まれたとしても貴方は貴方。結局、貴方でしか無いのよ。だから、今いる貴方は最初っからいる貴方。」

「あー…最後だけ理解した、けど、

じゃあもう一人の俺はどうなったんだよ?」

「さぁ?」

「さぁ?ってお前…

まあ結局、俺は俺。ってことだろ?

つまるところ、お前はひょっとして俺の名前を知らないな?」

「ええ、まあ、そうなるわね。」

悪びれもせずに答える。

「あー、そうかい。じゃあ、俺は

俺は、」

名前が出てこない。

喉に溜まって詰まる。

「お、れは、っ、

大山、友、ジ、だ、っ、」

絞り出すようにやっとの事で滲み出た。

「思い出した?」

こっちのセリフだ。

「やっと、な。」

ーユウジ

自分じゃ無い自分の声がそっと心に響いた。

「それで?」

今度は問われる番だ。

人に言っといて…

「えーっと、俺は俺だって事は分かった。」

「ええ。。」

続けて、と言わんばかりの相槌。

「で、お前は何者だ?」

「どうしてそうなるのよ。」

「いや、だって、」

「つまり貴方は私の名前を知らないと?」

「まあ、そうなるな。」

厳密には思い出せない。

まあそれも知らないという事になるだろうが。

「私は…」

切り出した時に表情から少し躊躇いの色が見えた。

「そうね、その話をする前に。

貴方は、

大山くんが私の僕しもべになると言うのなら。」

どうしてそうなる。

たかだか名前を聞くくらいで。

「俺にお前の会員に入れと?」

「いいえ、手駒が欲しいの。」

大差無い気もするが。

「友達じゃダメか?」

何だか口説いてる気分だ。

「、まあ、別にそれでも、」

つまりこいつは人の上に立ちたいと。

「じゃあそうしてくれ。」

誰かに指図されるのはそんなに好きでは無い。

だが、協力を求められるのなら喜んで力を貸す、それが友達なら、困っている人なら。

「ふぅ…」

やっと俺を覗き込むのを止めて、妙に艶あでやかな吐息を吐く。

それからゆっくりと、長く艶つややかな髪を邪魔にならないようにかきあげ、自分の唇を俺の唇にそっと重ねた。

その華麗な仕草に見とれて現状が掴めずにいた。

ソレが終わるまで頭の中は真っ白だった。

幽の唇が離れると、頭の中の真っ白な世界に現れた一人佇たたずむ少女が優しく微笑んでいた。

そして、幽の視線に気づき思考が現実に戻る。

「…それで、これは?」

しょうがないから今度は少し分かりやすいように訊ねた。

「契約?」

「何の?」

「友達?」

「お前は友達になるのにキスをするのか?」

「貴方が(しもべ)は嫌だっていうから。」

まだ話が噛み合ってない。

「お前、友達居ないのか?」

ひょっとしたら

「ええ。」

ひょっとした。

「いつも他の女子と昼飯食ってるだろ。」

「それで?」

「そいつらは友達じゃないのかよ。」

「それが友達なの?」

「俺に聞くなよな…」

分かっていたことだが、こいつは頭のおかしい人間のようだ。

「あー、それで、お前の名前は何だっけって話だったな。」

これ以上ややこしくなってもしょうがない。

小桐(こぎり) (かすみ)、今は『古霧(ふるぎり)』だけど。」

「どうし-」

言いかけた口を幽の人差し指で制された。

「その前に、そろそろここを出ましょう。」

一つはにかんでから顔を背を向けた月を逆さに見下げた。

「そうだな。」

同じく月を見ると、先ほどよりわずかに傾いている。

お久しぶりです。

空の空が終わったので、こっちに戻って来ました。

あちらは人形人食種目線のお話ですので、こっちは人間メインで

まあ既に手遅れなんですけども。


そういう訳で、またよろしくお願いします。

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