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贈りもの  作者: lycoris
1.離別
42/73

ワカイ

どうもどうも。

しばらく間が空いての更新です。

このお話は、急遽最終回になった贈り物の、「あー、あれやれば良かった。」「あれもやりたかった。」などのボツになり損ねた未練を固めたものです。

ifエンドだと思っていただけたら幸いです。


「偽物?くくく、あっはははは。」

頭を抑えて笑ったのは初めてだ。

「!?何だ、こいつ!?狂ったのか!?」

「ふふふ、彼はせいじょうよ。むしろ異常なのはあなたよ。」

「はははは、今更そんな事、どうでもいいだろ。まったく、笑わせてくれるな。」

憐れで惨めで、まったく、どうしてこんなのが俺のドッペルゲンガーだなんて…

抑えてた手で前髪をかき上げて気持ちを入れ替える。

「お前には俺がどう映る?」

「は?」

「そのままの意味だ。それとも聴力は俺が持って行ってしまったか?」

「お前!?どこでそれを。」

「質問してるのは俺が先だ。」

「くっ!俺の目には、ただ憎むべき相手としか映らってない!早くこの手で屈辱を味わわせてやりたい、だが、それより先に「分かってる。先生に聞いたさ、全部。いや、あれで全部だとは思わないが。」

「じゃあお前は…」

「ご名答、だから言ったろう、どうでもいいって。まず、あの胡散臭いサンタの格好した男の言う事を素直に信じれないし。それに、俺にとっては先生でも何でもないわけだし。」

最後の一言の所で、友慈の雰囲気が変わった。

「お前、それだけは…それだけはぁ!!」

拳にナイフを握り、鬼気として迫る。

突き出されたナイフを躱し、腕を掴む。

空いた方の手で飛んできたパンチを受け止め、お互いに腕をクロスした形になる。

友慈は力みまくってる腕を前に押し出し、顔をクロスした腕の上に無理やり入り込ませる。

「先生を、先生をおおおお」

噛みつかんほどの勢いでさらに顔を乗り上げてくる友慈に頭突きをする。

少しよろけた友慈だったが、それでも崩れず、なお頭でも押し返そうとくっつけてくる。

その時に、見えた友慈の瞳は黒く、そこに映る自分の目は青みがかっていた。

「あっはははは、あんた達本当仲良く出来ないわね。普通同じ人間が2人いたら対立するなんて滅多にないわよ。」

幽のちゃちゃに一瞬友慈が気を取られた隙に、くっついてた頭を離しもう一度頭突きをする。

さっきぶつけた時と同じ場所をさらに強い力で。

痛みで、手で頭を抑えようと互いに腕の力が抜ける。

よろけた足取りで、拘束を解き互いに距離をとった。

「くっ!」

頭を抑えてなお睨みつける友慈

その姿に笑いが込み上げる。

「はは、はははは。おまえってやつは、あははは。」

「てめぇ、ヘラヘラとぉ…!」

「お前は、お前。俺は俺。それでいいじゃねぇか。はは、まあ俺は別にどうでもいいけどな。」

「忘れてるからそんな事を言えるんだ。」

「あ?」

「お前は大事なものを忘れちまってるからそんな事が言えるんだっつってんだよ。」

「は__はっはは。お前、何言ってんだよ?大事なものを奪ったのはお前だろ?」

「確かに、そうだ。だが、それはお前にも責任がある。」

「責任?お前が勝手に殺しといて何言ってんだよ。」

「お前があんな事をしなければ、忘れさえしなければぁあ!!」

友慈がタックルの如く突っ込んでくる。

首根っこを捕まえて勢いを殺す。

反動は大きかったが、堪えれない程ではない。

「お前が、お前がぁあ!」

「うるさい野郎だなぁ、ちったぁ、くっ、落ち着けよ。」

友慈が諦めずに足を動かす。

廊下が滑るおかげで若干押される。

「俺が何やったかは知らないけどよ、お前がやった事は知ってんだよ。」

捕まえた首を力一杯締めつける。

友慈が首に力を入れるのがわかる。

「俺もそれは許せねぇ、許さねぇ!お前が殺した償いを!」

「カハッ」

咳と同時に一瞬足が止まる。

「お前の命で!」

横に投げ飛ばす勢いで壁に叩きつける。

そして上に持ち上げるように締める力を更に。

「俺の親友の償いも!」

体から力が湧き出る。

こいつを殺せ、こいつを喰らえと体の奥底から。


友慈が顔に唾を吐きかけてきた。

何故だかそれに体が反射して首だけで避けた。

その隙に友慈はポケットのナイフで掴んでいた手を切り上げる。

咄嗟に離して、おかげで深い傷にはならなかった。

切り上げたナイフをそのまま勢いよく肩に向かって切り下げる。

体を逸らし躱す。

そして手首を掴み捻って友慈の背中に引っ付け壁に押し付ける。

手首をさらに捻ってナイフを離させた。

「ちっくしょう…!やはり力がぁ!」

自分の体が思うがまま、いやそれ以上に動く。

今日は一体どうしたというんだ。

それに、こんな時だってのに腹が空く。

「こうなったら!」

友慈は空いていた自分の腕を、もがくのを止めて自分の口元に持って来た。

そのまま腕に噛み付いた。

その瞬間、体に何かが走り、全身の毛が逆立った。

自分の腕を噛み千切った友慈を見て、すぐに離れた。

友慈は解放された腕を撫でながら、咀嚼を続ける。

そして、目を細めながら飲み込んだ。

「ははは、我ながら悪くない味だ。お前だけが先生に優遇されてるなんて思うなよ。」

「気が狂ったか?」

「ふはははは、それはお互い様だろうて」

確かにそうだ。

今のは自分に言い聞かせたものでもあった。

一連の光景を見て、羨ましく思ってしまった自分に。

「さて、お前はどんな味がするんだぁ?」

「先に自分の身の心配しろよ。」

ポケットからノコギリを取り出し構える。

「お前も分かってんだろ?今更そんなもの役に立たねぇよ。」

「それはどうかな」

友慈に気づかれぬよう2人が廊下で一直線上になるように横に移動する。

「あん?」

友慈が勘づく前に仕掛ける。

ノコギリを傾けて窓から差さる月明かりを反射させる。

これも親友のおかげ。

「くっ!?」

咄嗟に顔を背ける友慈に用済みのノコギリを投げつけ、箸を取り出し接近。

「この野郎!」

ノコギリをガードして無防備な顔に箸を突き立て、目玉を穿つ

苦痛によろける友慈だが、即座にカッターを取り出し、振り回して追撃を許さなかった。

「「ハァ…ハァ…」」

お互いに息が上がってる。

さらに友慈は苦痛に耐えながらだ。


「まだだ、まだだぞ。これからだ。母さんは腹を刺されて死んだ!目

玉ぐらい軽いもんだ、死にゃしないんだからさ!」

まだ箸はある、友慈との距離を自分から詰める。

「たかがここの親が死んだくらいで!貴様はやはり!」

「っ最初から親の居ないお前に!」

「お前には親しかいないのか!?違うだろうが!みんなを忘れてからに貴様はぁ!!」

気付いたら互いに胸ぐらを掴みあっている。

「親も、親友も居ないお前に!!」

「先生も、みんなをも忘れたお前に!!」

互いの拳が同時に相手の頬を捉える。

吹き飛ばされそうになるも、踏ん張る。

互いに胸ぐらを強く掴み合っていたのでそれが支えになって、お互いよろけるだけで再び同じ体勢になった。

「お前が俺だと言うのなら!拓人を知っているか!正義を知っているか!」

「ああ、知っているさ!」

「違う!拓人はやしくて、誰かのために強くて!正義は明るくて、運が良くて!そういう事を言っているんだぁ!」

友慈の顔を殴る。

「なら貴様は!親の居ない苦しみが!全てを持っている者への憎しみが分かるか!」

「っ…!」

答えに渋るも友慈のパンチは止まらない。

今度は友慈が顔を殴る。

「よく言うぜ、盗人猛々しいんだよ!先生しか居ないお前に!」

友慈のデコに頭突きする。

「先生の居ないお前は!みんなの記憶がないお前は存在していちゃいけないんだよ!」

反動を利用してさらに勢いを増した頭突き。

さすがにこれは効いて、思わず胸ぐらを掴む手を離して尻餅をついた。

友慈も欠けた手では限界だったようだ。

が、今はなんとか立っている状態だった。

デコが痛み、視界が揺れる。

立ち上がれないほどではないが、友慈が動き出すまで座り込む事にした。

「ほんとに(いさ)ましいな。その記憶も、お前が俺から奪ったんだろ。」

「だったらなんだ。奪われたままでいいのか。取り返してみろよ、お前の生きる意味を。」

「なら要らないさ。お前が俺の生きる意味だ。今の俺には復讐しか残されてない。」

「今は、だろ。あとはどうするんだ。」

「そんなもんいちいちお前が心配するものでも無いだろ。」

「そうだな。だが。」

ここで友慈は警戒を見える形でわざとらしく解いた。

「昔の俺は、お前を憎んでいた。だが、今の俺はお前に怒ってる。」

「へぇー、理由は?」

「簡単だ、お前が忘れたままでいいと思ってるからな。それが気に食わない。」

「へー、へー。記憶が無いんだ、思い出しようがない。なら「いや、記憶ならあるはずだ。」」

「…」

ふと入院していた時に見た夢を思い出した。

心辺りがある、だから反論出来なかった。

「俺が奪ったものが、だんだんお前に戻って来てるのは知ってるか?」

「ああ。」

「だから記憶も徐々に戻って来てるはずだ。」

「…あぁ。」

頭の中で子供達が言い争いをしている。

「それはお前の大事な記憶か?」

「たぶん…そうだと思う。」

友慈がフッと口の端を吊り上げた。

「ならいい。」

友慈がゆっくりと近づいてくる。

さっきとは変わって穏やかな、最初の時のような裏の無い顔で。

「俺は今日が寿命なのさ。だから」

屈んで手を差し伸ばす。

「それが聞けて良かった。」

血が染み付いたその手を掴んだ。

(えぐ)れて千切れそうな手に起き上がらされる。


「だから」

胸が熱くなる。

熱くなったと思ったら今度はどんどん、冷たくなっていく感覚が全身を襲う。

痛む傷口から血が吹き出る。

そのまま友慈に(もた)れかかる。

「お前はもう 」

友慈の声が、近いはずなのに聞き取れない。

(まぶた)が重くなる。

力が入らない。




「お、いらっしゃーい。」

瞼が開くと、見覚えのある教室にいた。

昔の懐かしい教室。

「あれ、友慈も来たんだ。」

「さっき来たところだよ。」

懐かしい友もいる。

どうやら帰って来たようだ。

「よぅ、お前ら。」

友慈 (ドッペル)が「お前」「貴様」と安定してませんが、お気にせず。

感情に任せて呼んでいるという事で、私の勢いで書いたものなので。

それと、前回の拾い札で決まりましたが、友慈の親友は「青木(あおき) 拓人(ひろと)」になります。

もう少し早く決まってたらもっとスムーズになってたかもしれません。

もう遅いですが。

そんな訳で、先週分の拾い札をサボってこんなの書いてました、すみません。

楽しんで頂けたのなら嬉しいです。

ぶっちゃけ最終回があんなに延びると思っていなかったもので、調子に乗って勢いで書きました。

反省も後悔もしてません。

ですが、これでより一層拾い札の方を進める決意は決まりました。

話を1つ作るのも大変だなと改めて思い、2つ並行するなんてバカだったなと反省しました。


これからもっと良いものを書いていけるよう頑張りので、今後もよろしくお願いします。


今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。


それでは

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