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贈りもの  作者: lycoris
1.離別
41/73

失墜

「何だと?」

体が強張る。

「まあ、そんなかっかせずに聞けよ。

お前、生前の記憶、つまり前世の記憶って信じるか?」

「…」

体に力が入る。

「俺にはあるんだよ、お前が持ってない記憶が、大山友慈が大山友慈である証拠が。つまりコレが示す事はお前が偽物だって事だよ。」

手が握り拳を作る。

「お前には先生の記憶がない、それが決定的な証拠の証拠さ。」

俺が動き出す前に友慈も動いた。

だが、構えを必要とする動作が力任せに振るう拳より早いはずもなく、渾身のストレートが友慈の顔に刺さる。

吹き飛んだ友慈を睨みながら、手を払い、昔の親友の動作を思い出した。

「違う…」

「いっつ。てめぇ、この野郎!」

構える途中だったのを続行し放つ。

放たれた弾丸は胸に当たった。

「なっ、なんだと!?きさま!」

友慈の銃を持つ手が震える。


半身(はんみ)になってる友慈に近づいて、胸ぐらを掴んで無理やり起き上がらせる。

そして、渾身のストレートを、さっきとは逆手で叩き込む。

拳が友慈の頬に触れるかどうかの所で瞬時に手首をねじる。

先程より遠くに飛んでいく友慈を見ていると、歓喜が湧いてくる。

「惜しい…何かが…?」

「くそっ!てめぇ!」

友慈の口から血が垂れる。

それを見てギョッとして、急いで裾で血を拭う。

「くっ、ふ、ふふふ」

これらえきれず、(かすみ)が笑いを零す。

急いで立ち上がった友慈がポケットを忙しなく漁る。

取り出したナイフを両手で構えた。

「説明しろよ、てめぇさっきも撃たれてたのに何で立っていられんだよ!?」

「記憶がお前の証拠なら、これが俺の証拠だ。

お前、あいつを知ってるか?」

「あいつ…?誰のことだ、誰の事を言ってる!?」

「名前も忘れたのかよ。はは、まあ俺も覚えちゃあいないがな。それでも分かるはずだ。」

「そんな大雑把な説明で分かるか!」

「しょうがない奴だな。小さい頃よく遊んだ、あいつだよ。」

「!?あっ…ああ、あ…く、くそっもう少しで、誰だ、お前は、あと、少し、あいつ、くっ」

「ははは、相当悩んでいるようだな。俺がしっかり名前を覚えてりゃあ良かったんだがな。まあ思い出せないならそれでもいいんじゃないか?それが俺の存在証明だ。そして、こいつも証拠の一つ。」

財布を取り出し、中に挟まっていたカードを見せつけた。

「まあ♡」

幽がパンと両手を合わせてカードに食いつく。

「こいつが、俺とあいつとの絆。お前には無いはずだ。」

「何を根拠に!」

「こいつを持っていれば、撃たれる事なんて躊躇しない。それをお前は驚いていた。つまりお前はこいつの力を知らないって事だ。」

「くっ」

「ちなみに私は知ってたよ〜」

幽が片手を上げてアピールをする。

「何なんだそのカードは!?」

「そんな事も分からない何て話にならないな。」

「ち、くしょおおお!」

友慈がむやみやたらに引き金を引く。

リボルバー式で弾数も数えられるほどなのにそれすら忘れてカチッカチッと押し込み続ける。

放たれた弾が何発か体に当たる。

痛みは感じるが、死の気配はまるでない。

イケる

距離を詰め、拳を振りかぶる。

「くそがああああああ!!」

銃をこちらに向かって投げ捨てる。

ガードしようと一瞬気を取られた隙に友慈はナイフを振りかざした。

そのまま片腕にナイフが切り込む。

「うっ!」

「ハハハァ」

そのまま力を込められる。

「ぐわっ!」

食い込んだナイフを手放し、素早く俺のポケットを漁って、ノコギリとカッターを持っていかれた。

ただ、好きにやらせるだけなわけも無く、カウンターとして肘うちを顔に叩き込んだ。

そのおかげで距離が取れた。

食い込んだナイフを振り払い、滲む袖を抑えた。

血で染められた(なまくら)など使い物にならない。


「ふふふふ」

「なあ、古霧よぉ、お前はこいつをどこまで知ってるんだ?」

「あなたの偽物ってくらいかしら?うふふふ。」

「そういう事じゃねぇよ。さっき言ってたろ、あいつは何なんだ?」

「本人を目の前にして他人に聞くとは、本物様は随分と余裕ですな。」

話にちゃちゃを入れる。

「あ、あんた達本当に仲が悪いわね、くふふ。普通は同じ人間が2人いれば仲良しなはずなのに、ふふふ。」

「偽物と仲良くなんてできっかよ。なあ友慈。」

「いや、本物偽物以前に、俺が好きなのは俺だけだ。だからどっちにしろ、お前は嫌いだ。」

「あっははははは」

幽が腹を抱えて笑う。

俺の意見と幽の姿から友慈が痺れを切らした。

「チッ、いい加減俺の質問に答えろよ!」

それは果たしてどちらに言ったのか。

「あははは、ご、ごめんなさい、ふふふ。」

答えたのは幽だった。

「まあ、彼はいろいろ知ってるわよ。たぶんあなたも知らない事も。だから彼は強いのよ、倒れもしない。」

「チッ、話にならねぇ。いいさ、続けるまで。」

友慈が不意打ちを狙って攻めてくる。

「お前は本当に本物なのかよ」

それくらい読めないはずもなく、ポケットの箸を取り出し、逆手で友慈のうなじの横に突き刺す。同時に友慈のノコギリ刃が、対称的に俺肩に食い込む。

「引かなきゃ切れないんだっけな、ハッハァ!」

食い込んだ刃を無理やり下に引く。

肩が持っていかれ、前のめりによろける。

歪んだ友慈の笑いが更に歪む。

「ハハハ!いてぇ、いてぇなぁ!アッハハハハ!もう少しで楽になれるぞぉ、"友慈"ぃいい!」

再びノコギリを振り上げて迫る友慈に、新たにポケットから順手に持った箸を突き刺す。

ノコギリが体に触れるのと、同時に友慈が悲鳴をあげた。

「ぐあああああああ!」

突き刺さった箸の隙間から血が吹き出る。

しっかりと毛細血管にまで刺ささってるはずの箸を抑えようとも抜こうともせず、

「ああああああるぅあああああああ!」

ただ力任せにノコギリを振るう。

俺が当たりながらも距離を作ると、痛さに耐えかねて、ノコギリを捨て箸を抜き取る。

その間も俺を睨み続ける友慈はまさしく復讐者そのものだった。

仇を見るような目でジッと睨む友慈を見ていると心が(おど)る。

早くその表情を苦痛と恐怖に、そのうっとしい四肢を血に染めたいと思えてくる。

今ならそれが出来ると。

だが、血だらけなのは自分の体。

友慈は一部からの多量出血に対し、俺は浅いのも深いのも様々、傷だらけでボロボロだ。

だが、友慈はこれからこれ以上にボロボロに血塗(まみ)れになると思うと、

何だか、


腹が減ってくる。


痛みを感じず、ただ思った通りに動く鈍い体で再び新しい箸を取り出す。

箸も残りが少ない。

そろそろ決めないと。

そして、

そして

腹をーーーーーーーーーーー



友慈はどこへいった?

視界が暗い

友慈はどこに?

胸に違和感を感じる

周りの音が、聞こえない?

血で生温いはずの体が段々冷えていく感覚

何だか、腹が減って…

意識が薄れる

食欲以外は考えられるなくなる。

全身の力が抜けていく

全身から力が抜き取られていく感覚。



「ん…」



意識が戻る。

体の感覚はまるでない。

だが、自由に動かせる。

さっきまでの痛みも、寒気も消え、

あれほど強かった食欲すら失せ、

ただ懐かしさに心が熱くなる。


「よっ、お目覚めかい?」

誰だこいつ、聞き覚えのある声だが…

「待ちくたびれたよ、誰かがやってくるのを。ずっと俺1人で待ってたんだからな。」

「俺はどうしてここに?」

まずここはどこだか気になったが、懐かしさすら感じるので、自然と後回しに。

「そりゃあお前、死んだからに決まってんだろ。」

「は?」

「お前は死んだんだってば。」

こいつは何を訳の分からない事を…


そういえば、ここ1度夢で見たような。

また同じ夢を見ているのか?


「夢じゃないさ、夢だとしてももう覚めることはないけどね。」

「!?」

「だって君はもう死んだんだ。いい加減受け止めてくれ。」

「…分かった…」

「何も分かってないじゃないか。しょうがない、ここはひとつ俺が説明してやろう。」


それからこいつの長々しい演説が始まったのだが、だんだんと飽きてきて、気づけば眠気に襲われていた。


どうせ、もう目覚めないんだ、このまま夢の中でも睡魔に身を預けて、二度と覚めないよう寝続けよう。

全てを忘れて。

全てから解放されて。


ただ眠ろう。

ありがとうございました。


遅れました、気づけば日を跨ぎ、月が変わってしまいました。

すみません。

毎度の事ながら本当にすみません。


そうしてこの物語も気づけば2年目に。

まさかここまで長くなるとは思ってもみませんでした。

もっと早く終わらせるつもりだったのですが、プレゼントの時と同様、書いていく度に新しいこと思いつきそれを何とか入れようとしてグダグダと。

あと、ボツにするのも勿体無い気がしてやりたい事をとりあえずぶち込んでしまい、予定よりだいぶ長くなってしまった印象が自分ではあります。


唐突な最終回でしたが、この話の真相は元々も、同時進行でやる予定だった、「拾い札」の方で補足していこうかと思っています。

そのためにも、同時進行をやめて正解だったと思います、それと元々から私の力では出来ませんでしたろうでしょうが。


ここまで長いお付き合いありがとうございました。

駄文にお付き合い本当に本当にありがとうございました。


それでは今度は拾い札の方で会いましょう。

プレゼントの時にやると言った田舎の奴は拾い札の後にしようとおもっています。

なるべく早め早めの更新でこれの二の舞いにならないよう尽力します。

これからもどうかよろしくお願いします。


それでは、本当にありがとうございました。


また、何か書きたい事などがありましたら、予告無しで更新したりもするかもしれないです、すみません。

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