エンジョイ
開けましておめでとうございます。
気づけばこの先品ももう2年目ですね。
本当、更新が遅くてすみません。
もうしばらくしたらマシになると思うので。
それよりも、長らくお付き合い頂いている事に感謝を。
これからもよろしくお願いします。
そして、いつもありがとうございます。
調理室を出て、2階へ向かおうと階段まで行く。
だが、途中で昇降口へ続く小さな階段に座る男の背中を見た。
「よお、遅かったな。」
友慈は横目で俺を一瞥して立ち上がる。
何か棒のような物を手に持ちながら。
「さ、早いとこ続きしようぜ。」
友慈は箒の先をこちらに向けて構える。
箒の先端は曲げられ、その分リーチは伸びている。
こちらもポケットからノコギリを取り出した。
「やけに話が長いと思ったらそんな物を貰ってたのか?」
友慈の話を無視して迫る。
間を詰めたら友慈はきっと突いてくる。
振り回すより早いし、何より
俺ならそうするから。
「無視ですか〜?」
やはり突いてきた。
それも迷わず心臓を狙って。
何とか避けさらに間合いを詰める。
突いた箒を戻しさらにもう一突き。
今度もまた心臓を。
これを逃さず捕まえる。
片手じゃ力不足だが、一瞬で十分だった。
駆け出してノコギリで切りつける。
友慈は迷わず箒を捨て、俺の手首を掴んだ。
受け止められただけ、このまま終わらない と力込める。
空いた手で握り拳を作るほど。
この瞬間に友慈は手を離し後ろに逃げた。
おかげでノコギリは空を切った。
「おお怖い怖い。そんな物騒なものを振り回すなんて。」
「お前に言われたかねーよ。」
そして別のポケットから先ほど回収しておいた銃を取り出し、友慈に見せ付ける。
「何だよ、お前が持ってたのか。探しても無いはずだわ。」
友慈は相変わらずヘラヘラしている。
「証拠は残せないから、焦っちまったぜ。さ、返してくれ。」
友慈は手を差し出す。
「冗談だろ?」
その場で手を離す。
銃が床に落ちたと同時に友慈の口元がつり上がった。
「なるほど、そういうのがお好みね。」
友慈は後ろポケットからジャックナイフを取り出した。
「物騒だな。」
「それはお互い様よ。」
足下の銃を軽く踏みつける。
友慈の出方を見て前か後ろに蹴飛ばす。
友慈が低く構え、飛び出した。
それを見てこちらも姿勢を低くし、応戦に備える。
体より後ろにナイフを構えてるのを見て、踏みつけた足に力を込め、助走を付け前に蹴り出した。
それと同時友慈のナイフとノコギリとの刃が接触した。
一瞬後ろに気を取られた隙をつき、ナイフの刃を滑らせ、友慈の手元を狙う。
反応は遅れたが、間一髪で防がれた。
ナイフが大きめだったのが救いで、手首を上げるだけでノコギリの滑降は止まった。
上から力を込めれば、刃が友慈の腕に接触するが、ノコギリは引かなければ切れない。
ナイフで受け止められている状態で強引に引けば刃こぼれしてしまうだろう。
友慈はそれを分かっていて、やりにくいようにナイフを持っている。
浅い傷だけで失うのは勿体無い。
だが、このまま鍔迫り合いを続けても、夜は明けるが埒が明かない。
タイムリミットもあるので、ここは一旦刃を離しもう一度切りかかる。
友慈はそれをまた受け止める。
この近い距離じゃ躱しようがないし、後ろに逃げれば隙を晒す。
にも関わらずニヤけ面で受け止める
「楽しいねぇ〜。この時をどれだけ待ち望んだか。」
友慈は空いていた手をポケットに突っ込み、そこからカッターを取り出した。
キチキチと刃を出していていく。
「ただ、お前を驚かすためだけにあそこに居たんじゃあないんだよ。」
適度に出した刃を心臓めがけて突き出す。
鍔迫り合いをやめて、後ろに下がって躱す。
「いい反応だ。それも俺から奪った物だけどな。」
また突いてきたのを躱すと、友慈も後ろに下がって距離をとる。
カッターをこちらに向けながらゆっくり下がっていく。
「お前が先生と何を話してたか知らんが、これでさよならだ。」
友慈はナイフをしまい、空いた手で足下に転がっていた銃を拾い上げた。
どうやら前に蹴り出したのは誤算だったようだ。
「こいつにはまだ弾が入ってんだよ、ま、気付くわけねーか。ほれ。」
バン!
友慈が銃を放った。
幸い狙いは適当だったので、横腹に当たった。
「お前が撃つであろう弾数の最後に弾をこめないでおいた。そしてその次から弾をこめる。弾切れの確認を怠ったな。」
だがそんな友慈の話が頭に入ってこないほど焦っていた。
近接武器が2種に遠距離が1種。
このまま逃げても後ろから撃たれる。
「だが、安心しな。弾は後2発しかない。お前を仕留めるには十分だがな。」
ハンマーを下ろしリボルバーが回る。
さっきまで突き出してたカッターの代わりに銃を突きつける。
が、引き金を引く指が止まった。
「何笑ってんだよ、お前。」
「エンターテイメントなんだろ?笑っちゃいけねーのかよ。」
「そういう事じゃねぇ。この状況で何笑ってんだよ。」
「人は何故笑う?面白いからだろ。安堵した時だってそうだが、基本はそうだろ。だから、笑ってるんだよ。」
「気でも狂ったかよ。そんなに死にたいなら、」
止めてた指を押し込む。
バン
今度は肩に命中した。
「と言いたいが、お前にはもっと苦しんで貰わなきゃな。」
苛立った顔で友慈は告げた。
そして、銃をしまうと、再びナイフを取り出した。
「なのに、何故笑ってるんだ!」
段々と歩くペースを上げながら、こちらに向かってくる。
痛む肩を抑えて、迫ってくる友慈から逃げる。
俺が背を向けたと同時に友慈は駆け出した。
それを合図に全身に力を込め、全力疾走する。
今持てる力を使ってこの場を離れる。
逃げる当てもなく、だが体の赴くまま、友慈とは別の方向に逃げる。
「さっきまでの威勢はどうした!?俺を殺してみろよ!」
声を荒げて追う友慈。
それに振り返る事なく、だだそれを頼りにお互いの距離感を掴む事に集中した。
考えが同じなら考えなきゃいい。
至極簡単な事だ。
傷を負った体でどこまで逃げれるか分からないが、どれだけ傷を負おうと死なない事だけは確かだ。
その事が分かってるだけで笑みが溢れる。
逃げるのも苦にならない。
だんだんと友慈の絶叫が心地良く感じてくる。
楽しい。
今日は感情の起伏が激しい日だな。
だが、そんな日があっても悪くない。
最近はこんな経験めっきりだったから、今がとても楽しい。
そんな友慈を追う友慈はだんだんと焦燥を重ね、苛立ちが募る。
何だこいつは。
先生が何かしたのか。
とにかく、こいつに、1分1秒でも早く、顔が歪む程の苦痛を。
そろそろ疲れたな。
そういえば、観客が居たけど何してるんだろう。
こんなに楽しい気分を誰かに分けてあげたくなった。
誰でもいい、今が楽しいのだと教えてやりたい。
引っ越してからか、親と喧嘩することも少なかった。
だが、親はもういない。
親とも上手く行ってないのに友人など尚更で、引っ越す前に比べて減った。
さらに、親友ももうここには居ない。
久しくこんな気持ちにはなってなかった。
だから、こんな楽しい気持ちを共有したかった。
寂しさを埋めたかったのかもしれない。
そして、やはり正義と過ごした数ヶ月は楽しかったのだと実感している。
そんなことを考えながらも体は勝手に動いてくれている。
まるで何かに取り憑かれたかのように、友慈との間に差を広げながら。
自分でもこんなに走れたのかと疑問に思うのも馬鹿らしいほど体が前に前に進む。
やがて最初に集合した教室が見えてきた。
教室から欠伸をしながら出てくる観客も視界に入った。
後ろには姿は無いが友慈の追いかけてくる足音がする。
ちょっとの時間があればいい。
俺が今楽しいのだと他人に、久しぶりに知ってもらえる。
自分の存在を他人に認識させることが出来る。
さっきとは少し違う感情で、笑顔になった。
向かってくるのに気づいたようで、
「あらあら、どうやら私が寝てる間に面白い事があったみたいね。」
と、観客は口の端を吊り上げて期待の眼差しを向けてきた。
それに応えるように頷いて見せた。
あれだけ走ってきたのに、息を整えるにはそう時間はかからず、すぐに口を開け事情を説明した。
これまで起こったことではなく、自分が楽しんでいるという事を。
無意識の内に観客の肩を掴みながら力説していた。
その観客はずっとこちらの目を見ながら話を聞き、
話が終わると「あなた、いい目になったわね。」と言って目を細めた。
そして再び目を開けた時、彼女の目の色は文字通り変わっていた。
いつか見た綺麗なオッドアイを思い出した。
そしてその瞳には吸い込まれるような輝きがあった。
それを覗き込むと自分の目が映っているのが見えた。
あれ、俺ってこんな目の色だっけ?
普段から鏡を見る方では無く、親とも目を見て話す事がほとんどなかったので、この時はこの疑問にはっきりとした答えは出なかった。
だが、解答は自ずとやって来た。
「逃げ回ったと思ったら今度はナンパか。大層なこったな。」
息を切らしながら調子を整える様に友慈が小走りでやって来た。
それを見た観客は最初の様に手洗い場に腰を掛け、「どうぞ、再開して頂戴。」と言った。
「言われなくとも。」
友慈はポケットに片手を入れながら歩いてくる。
そんな友慈にさっき思った事を問いかけて見た。
「お前は、俺の模造品なんだよな。」
友慈の体が強張った。
それが伝わるくらいピタッと動きを止めたから。
「お前…そうか、先生に入れ知恵されたんだな。」
「いいから答えろよ。」
友慈は軽く笑うと
「残念ながら、偽物はお前だよ。」
と告げた。
挨拶はほとんど前書きで済ましてしまったので、今回の後書きは短めです。
そんな事より本文を進めろよというのはもっともです、はい。
いつも遅くてすみません。
気づいたら年を越してました。
前述の通りもうすこししたらマシになるので、もう少しお待ちをお願いします。
観客はちゃんと古霧霞ちゃんですよ。
ただ、主人公と絡みが少ないので主人公がちゃんと名前を覚えてないだけです。
ただ、この後は増えて行くのでご安心を。
しっかりヒロインする予定でございます。
そんなわけで、久々なので誤字脱字、分かりにくい箇所がございますでしょうが、ご愛嬌願います。
そんな訳で本年もよろしくお願いします。
それでは
また次回




