旅立ちの日
遅れてすみません。
春、曖昧な記憶が頭の中を次々に、ボヤけていたり鮮明だったり、蘇っていき、悲しみ少しずつ込み上げてくる。
今日は卒業式。
涙こそは流さなかったが、心はしんみりとしていた。
これまでの友達と昔話に花を咲かせ、別れの挨拶を交わし、1人1人、教室から、この学校から去って行く。
教室の中の人口が少なくなってきて、
「気持ちは分かるが、閉めるから外でやってくれ。」と先生に促され、
ゾロゾロと人が廊下に出て行く。
最後の1人になり、戸締りの確認を終えた先生に強制退室を食らって、廊下に出ると、見覚えのある顔が「やあ」と言って、こちらに向かってくる。
言い忘れていたが、"彼"は凄く似ているのだ、性格以外は。
見覚えや聞き覚えがあったのもそのせいだろう。
「よお、卒業おめでとう」
「ああ、そっちこそ」
彼はそう言って赤くなっている目を閉じ微笑んだ。
彼に別れを告げ1人家に、いつもより遅めのスピードで帰った。
家に着く前に、コンビニによることにした。
コンビニから出て、近くにある公園に立ち寄った。
用なんてなかった。
ブランコに座り、揺られながらコンビニで買ったチキンを食べる。
なんとなく、人生のいくつかある区切りを終えて、これまでの短い人生を振り返って見た。
食べ終え、ふと、ポケットの財布から、あるものを取り出す。
それは大切なカードだ。
昔の、とても仲の良かった友達から貰ったものだ。
今でも、傷一つ無いまま、昔のままだ。
滅多に持ち歩く訳では無いが、今日はその数少ない内の一つだ。
なんとなくだが、持って行きたくなった。
持っておきたくなった。
今日以外にも、受験の日などには、ばれないように持ち込んでいた。
そんなカードを眺めていた。
この公園に寄ったのも、昔自分が住んでいた家の近くにあった公園に似ていたからだ。
卒業式も、転校した学校じゃなく、前の学校での出来事の方が多く、思い出していた。
こっちが、嫌いなわけではないが、向こうの方が馴染み(好き)すぎたのだろう。
カードを握る手に集中する。
力が篭って、強く握り過ぎないため、涙を垂らさないため。
こんな時の限って、卒業式で歌った曲が頭でリピートされる。
「くっ…」
こんな姿、はたから見れば、不思議な人やおかしな人だと思われるだろう。
幸い、ほとんどの卒業生はこっちには来ない。
誰かに見られる前に帰ろう。
潤んだ目を擦って、立ち上がり、少し急ぎめで公園を出た。
家につき、遅めの昼食を少しだけ食べ、自室に籠った。
ベットに寝転がった瞬間に、疲れがドッと湧いてきた。
気疲かれかもしれない。
こっちの学校では、少し自分を隠しすぎていたから。
今度の入学式は、もう少しオープンになろうかな?
そんな先のことを考えベットで携帯を弄っていた。
夜、なんだか無償にあの公園にもう一度行きたくなった。
コンビニに行くと言って、家を出た。
公園に着き、辺りを見回したが、誰も居なかった。
再びブランコに座ると、ちょうど電話がなった。
知らない番号だった。
こんな時間に誰だ、迷惑電話か?
出なくちゃいけないそんな気がした時に、着信が鳴り終わった。
かけ直してみる。
が、相手は出ない。
諦めて携帯を仕舞おうとした時に、今度はメールがきた。
内容は、「卒業おめでとう。お互い頑張ろう。」
味っけのない、短い文章が届いていた。
再び電話をかけ直しても、たぶん相手は出ないだろう。そんな気がして、かけ直そうとするのをやめて、メールで返して。
こちらも、我ながらに味っけのない文章だった。
そろそろ帰らなきゃ、コンビニに行くには少し長い時間を使い過ぎた。
少し早歩きをしながら、公園を出た。
振り返って公園を見てみると、幼い自分が、友達と元気に走り回っていた記憶が、脳裏に浮かんだ。
これは卑怯だぞ
目が潤んだ。
少しうつ伏せになりながら、帰り道を進んだ。
数日後、
今日は入学式だ。
この主人公の携帯は、スマホです。
遅れてすみません。
次も贈り物の更新です。
それでは、読んでいただきありがとうございました。
それでは




