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贈りもの  作者: lycoris
1.離別
4/73

旅立ちの日

遅れてすみません。


春、曖昧な記憶が頭の中を次々に、ボヤけていたり鮮明だったり、蘇っていき、悲しみ少しずつ込み上げてくる。

今日は卒業式。

涙こそは流さなかったが、心はしんみりとしていた。

これまでの友達と昔話に花を咲かせ、別れの挨拶を交わし、1人1人、教室から、この学校から去って行く。

教室の中の人口が少なくなってきて、

「気持ちは分かるが、閉めるから外でやってくれ。」と先生に促され、

ゾロゾロと人が廊下に出て行く。

最後の1人になり、戸締りの確認を終えた先生に強制退室を食らって、廊下に出ると、見覚えのある顔が「やあ」と言って、こちらに向かってくる。

言い忘れていたが、"彼"は凄く似ているのだ、性格以外は。

見覚えや聞き覚えがあったのもそのせいだろう。

「よお、卒業おめでとう」

「ああ、そっちこそ」

彼はそう言って赤くなっている目を閉じ微笑んだ。

彼に別れを告げ1人家に、いつもより遅めのスピードで帰った。

家に着く前に、コンビニによることにした。

コンビニから出て、近くにある公園に立ち寄った。

用なんてなかった。

ブランコに座り、揺られながらコンビニで買ったチキンを食べる。

なんとなく、人生のいくつかある区切りを終えて、これまでの短い人生を振り返って見た。

食べ終え、ふと、ポケットの財布から、あるものを取り出す。

それは大切なカードだ。

昔の、とても仲の良かった友達から貰ったものだ。

今でも、傷一つ無いまま、昔のままだ。

滅多に持ち歩く訳では無いが、今日はその数少ない内の一つだ。

なんとなくだが、持って行きたくなった。

持っておきたくなった。

今日以外にも、受験の日などには、ばれないように持ち込んでいた。

そんなカードを眺めていた。

この公園に寄ったのも、昔自分が住んでいた家の近くにあった公園に似ていたからだ。

卒業式も、転校した学校じゃなく、前の学校での出来事の方が多く、思い出していた。

こっちが、嫌いなわけではないが、向こうの方が馴染み(好き)すぎたのだろう。

カードを握る手に集中する。

力が篭って、強く握り過ぎないため、涙を垂らさないため。

こんな時の限って、卒業式で歌った曲が頭でリピートされる。

「くっ…」

こんな姿、はたから見れば、不思議な人やおかしな人だと思われるだろう。

幸い、ほとんどの卒業生はこっちには来ない。

誰かに見られる前に帰ろう。

潤んだ目を擦って、立ち上がり、少し急ぎめで公園を出た。


家につき、遅めの昼食を少しだけ食べ、自室に籠った。

ベットに寝転がった瞬間に、疲れがドッと湧いてきた。

気疲かれかもしれない。

こっちの学校では、少し自分を隠しすぎていたから。

今度の入学式は、もう少しオープンになろうかな?

そんな先のことを考えベットで携帯を弄っていた。


夜、なんだか無償にあの公園にもう一度行きたくなった。

コンビニに行くと言って、家を出た。

公園に着き、辺りを見回したが、誰も居なかった。

再びブランコに座ると、ちょうど電話がなった。

知らない番号だった。

こんな時間に誰だ、迷惑電話か?

出なくちゃいけないそんな気がした時に、着信が鳴り終わった。

かけ直してみる。

が、相手は出ない。

諦めて携帯を仕舞おうとした時に、今度はメールがきた。

内容は、「卒業おめでとう。お互い頑張ろう。」

味っけのない、短い文章が届いていた。

再び電話をかけ直しても、たぶん相手は出ないだろう。そんな気がして、かけ直そうとするのをやめて、メールで返して。

こちらも、我ながらに味っけのない文章だった。


そろそろ帰らなきゃ、コンビニに行くには少し長い時間を使い過ぎた。

少し早歩きをしながら、公園を出た。

振り返って公園を見てみると、幼い自分が、友達と元気に走り回っていた記憶が、脳裏に浮かんだ。

これは卑怯だぞ

目が潤んだ。

少しうつ伏せになりながら、帰り道を進んだ。


数日後、

今日は入学式だ。


この主人公の携帯は、スマホです。


遅れてすみません。

次も贈り物の更新です。

それでは、読んでいただきありがとうございました。

それでは

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