停戦
ゆっくりゆっくい書いてたら遅れました。
設定を詰めこうもとして逆に何やっていいか分からなくなって来てるこの頃です。
「やはりお茶はヤカンで入れるに限るな。さらに紅茶はアールグレイに限る。うむ。」
優雅を装ったサンタが紅茶をうまそうに飲む。
そんなサンタの隣に座ってアールグレイとやらの匂いを嗅ぐ。
「どうじゃ?」
普段から香りなんていちいち気にしないので、一口飲んでみた。
「いまいち。」
「むー、味が分からんか。まあ不味いと言われるよりはマシじゃからよしとするか。」
「なあ。」
「ん?」
サンタが自分のおかわりを注ぐ。
「あんたは何者だ?」
「…答えかねるな。」
「教えて下さいよ、先生。それに紅茶だって飲んだんだしゆっくりお話でもしましょうよ。」
普通、知らない人からもらった物など用心するはずなのに、あっさり飲んだのはこのため。
薬を仕込んでいる様子もなかったし。
「頭いい奴よりもバカな奴よりも、少し知恵を得たぐらいの子供が一番厄介だな、うん。ふー、良かろう。」
サンタは文句を言いつつも、深い息を吐いてから紅茶を見つめながら告げ始める。
「じゃあ、まず初めに。わしはおぬしの先生であっておぬしに先生ではない。おぬしにわしが先生だという記憶は無いんじゃろう?」
「そうだよ。もう先生って呼ばないからあんたもちゃんとさっきみたいな話し方で話してくれ。」
「…やはりやっかいじゃ…だな。」
そう言ってサンタは一口紅茶を飲んでから続ける。
「次に。俺がここにいる理由は食事のためだ。腹が減った、食うもんがない、学校へ行こう。こんな感じで今に至る。他の場所も一応探索したがめぼしいのはなかったな。」
単純すぎる理由には当然疑問が浮かぶ。
「あんたさっきあいつに食いもん出してただろ。」
「あれか…あれは好物なんだが、食べ過ぎて少々飽きてきたところだったんだよ。だから、冷蔵庫に職員が隠してる食いもんでもないか漁ってたわけ。」
「変な匂いがしたがあれは何だ?」
「ん?興味あるならお前が食うか?」
そしてまた袋から例のタッパーが取り出される。
さっきはあまり見えなかったが、間近でしっかり見ると赤々しく、具材はぐちゃぐちゃで汁が飛び散っている。
「その必要はねーよ。」
ドアが開き、友慈が入ってくる。
友慈は手にバスケットを持っていた。
それを机の調理台の上に置くとバスケットの中を漁る。
「先生達はどっちがいい?サンドイッチかおにぎり。」
「じゃあ俺はおにぎりを貰おうかな。」
「…」
「おい、聞こえてんのか?お前はどっちがいいんだよ。今は一時休戦で休憩タイムだ。エンターテイメントもぶっ続けじゃ飽きちまう。適度な休憩だ。」
「…」
「大丈夫だ、作ってきたのは俺じゃない。古霧だ。中には何も入ってやしないよ。」
隣で黙々と食べていたサンタが加勢する。
「うん、久々の飯じゃが中々美味いな。お前も食え食え。」
動き回って腹が減っている。
仕方なしにサンタと友慈の誘いに乗る。
「じゃあサンドイッチで。」
買うと高いんだよな、サンドイッチ。
それに米は腹に溜まる。
「あいよ。ほら。」
差し出したのはツナサンドだった。
「好きだろ?」
「分かってるね。さすが。」
互いににやけながら相手に言う。
ツナサンドを受け取り、口に運ぶ。
「どうだ?」
「俺で実験でもしてるのか?」
「ははは、ばれたか。と言っても既に先生が食べてるから意味はないけどね。あいつはイマイチ信用出来ないから。」
「それなのに銃を預けていたのか?」
「それもそうだな。だが、あいつは『面白い事が好き』っていうめんどくさい性格だから。」
「へー、そうなんだ。」
話してるうちに食べ終わった。
「互いに利用しあってただけだ。で、本題はここからなんだが。」
「ん?」
テッシュで口元を拭いていると、何やら真剣な話が始まるようだ。
いつもへらへらとしている友慈の表情が引き締まる。
その表情はどことなく怒っているようにも見えた。
「まず、俺はお前を憎いと思っていた。これを念頭に置いて欲しい。次に、俺が生まれたのは4年前。お前が転校した日と同じ日。お前が生まれた年の後の2月29日を誕生日だとしても計算が合うはずだ。」
「そういえばさっきの自己紹介でそんなこと言ってたな。」
「覚えてくれてたのか。」
「いや、他のことを忘れただけ。」
「何にせよ俺は4年前に誕生したんだ。
で、俺は何もかもお前と反対で逆だった。
親がいなければ家もない。友人もその時は居なかったな。
だから、俺は生まれた後、何があったか分からんがそこのおっさん、もとい、先生に拾われて施設へ入れられた。
そん時は随分混乱したよ。」
「あーあ、始まったよ。」
友慈の長話が始まったので、暇つぶしにまた一つサンドイッチを食べ始めた。
「おう、どんどん食え。それで、しばらくして落ち着いてから考えたんだ。その考えは難しかったが先生がヒントをくれたおかげで答えが出せた。」
「へー、ほれで?」
食べながら返事をする。
「ああ、俺が生まれた理由と今後の人生についてだ。
答えは両方とも簡単。俺はお前の半身だと知らされたのはまだ先だが、この時は誰かの分身だと教えてもらった。
そして分身である俺は当然本体に興味を持った。」
「あ、おっさん。俺にもお代わりくれよ。」
「おっさん…か…
まあ、先生よりましだな。今から沸かすからちょいと待ってくれ。」
サンタは少しだけショックを受けたようだ。
先生と呼ばないようにした以上ただの乞食をサンタと認めるわけもいかず、だとうな呼び方を選んだのだが。割れながらベストだったようだ、うん。
「あ、先生沸いたら俺にもちょうだい。
それでそれで、俺は中学から先生のコネで入ったんだ。小学校は海外っていう設定で。いや〜、ほんと、先生にはいろいろお世話になりました。」
「なんのなんの。困ってるかわいい教え子を助けたまでよ。」
「ふあ〜ぁ〜…ふむうんむ…」
友慈の話が退屈で欠伸が出た。
「眠くなったか?カフェインカットしてないのでも入れるかな。」
「おう寝るな寝るな。まだ残ってるんだぞ。
それでだな。入学式、休んじまってよ。次の日行ったら分かったことなんだが、ホームルーム始まってすぐに担任に確認取られたんだよ。『君は昨日休んだ方の大山君か?』ってね。
どういうことか聞いたら、この学校には俺と同姓同名同年代、しかも瓜二つの生徒が居るってね。
それからこっそり確認して見て自分でもビックリしたよ。
同時に確信した。『これが先生の言っていた本体なんだ。』と。
この時の俺はメガネでな、運動神経も悪く人とのコミュニケーションも苦手だった。
おかげで、[メガネの大山]なんて周りから呼ばれたり、さすがに学校の先生はそう呼べないから[休んだ方の大山]だったり[海外から来た方の大山]だったり呼ばれてたな。
極めつけは英語の教師に『海外から来たのに英語が話せないんですか?』なんて言われたよ。言い訳に困ったけどコミュ障の俺は反抗するでもなくただ黙ってたよ。
そこから周りが嫌いになった。
中でも一番憎んだのはお前だよ。」
ここで友慈は長話を区切り俺の目を覗き込むように見据えてきた。
さっきまで欠伸を連発していたが、途中から俺も気になり真面目に友慈の話を聞くようになっていた。
だから友慈の視線に気付きこちらも相手の目を見つめた。
友慈の口元が釣り上がり開こうとした時に、
ピィー!
とヤカンの耳障りな音が響いた。
「ま、休憩中なんだからそこまでヒートアップしなさんな。ほれ、匠の一杯だ。ありがたく飲め。」
「ありがとうございます、先生。ほら、お前も飲んで眠気覚ませよ。」
友慈が紅茶を口に運びながら流し目で言う。
「いただきます。」
俺も俺で、なんの疑いもなく、2杯目の紅茶を啜った。
遅れてもなおお読み下さってありがとうございます。
そろそろ中盤も盛り上がり所でドッペルゲンガーの正体が段々明かされて行きます。
もっと書き込もうとしましたが、詰め込み過ぎてしまうのと更に更新日が伸びてしまうと思い区切れるところで区切りました。
遅いのに短くてすみません。
そんなわけで現在彼らは一時休戦中。
実は大山君はメガネでした。
過去に投稿した時は自分の中だけで書いてなかったですけど実はメガネでした。
その方が区別が付きますからね。
付箋の貼り忘れじゃないですよ、ええ。
今更ながらいろいろともっとうまい付箋の貼り方はなかっただろうかと思い悩んでるこの頃、今後は気を付けようと思います。思うだけで改善されるかは別です。
言い訳も連ねたところでこの辺りで失礼します。
最後に、
現在ヒロインの古霧 幽ちゃんは空き教室で仮眠中です。何でも寝不足はお肌の敵だそうです。それに普段の生活リズムで勝手に眠くなってしまったそうです。
サンタさんの美味しい紅茶が飲めず残念。
さらにはお茶会の場に居れば、大山くんの古傷で笑顔になっていただろうに。
ちなみに私は角砂糖2、3個入れて飲みますね。ミルクティー美味しいです。
それでは今度こそ。
次回で




