ゲーム
遅れてすみません。
「まったく、君にはガッカリだよ。自分の立場も分かってないなんて。悲しいよ。」
「お前こそ分かってんのかよ?」
銃を構える。
「まあ焦るなよ。お前が長いって言うからまとめてやるよ、偽者くん。俺こそが本物、偽者は目障りなんだよ。だから排除する。最初は視界に入るのすら腹が立ったが、今は存在そのものに憤りを感じてるんだよ。"俺の"友達の正義はお前のせいで転校することになったんだし。いい加減潰そうかと思って、本日このゲームを用意しました。自己紹介(改)終わり。質問があったら何でも答えるぜ。お、何だい大山。」
まったく、言いたい放題言ってくれるな、こいつは。
所々強調して挑発してくるし。
本当に俺の偽者かよ、ベラベラと喋るし。
転校して来る前とかは確かにバカ騒ぎしてた時もあったけど、今は逆にそれがうっとおしくなっているし。
それに偽者が俺に偽者とは、また裏に何かがあるんだろうな。そうだったら面倒臭いなぁ…
「せっかく乗ってきたのにお前があまりにも長いから冷めちまった。興醒めだ。」
構えていた銃の引き金を引く。
しかし、ハンマーだけが勢い良くカチッと音を鳴らすだけで発砲音はしなかった。
ハンマーを戻しもう一回引き金を引く。
またしても手に反動は無く、発砲された気配も無い。
さて、どうしたものか。
「ぷ、あっははははは。ははははは。楽しいわね。すごく面白いわ、ふふふ。」
幽が吹き出した。
肩を震わせ腹に手を当て、もう片手で自分が座ってるすぐ横を叩いている。
「撃ち過ぎたな大山。俺はそこまでサービスは良くないんだよ。お前が甘ったれなだけかもしれないがな。」
別に羞恥心は湧かなかった。
1人が大笑いし、もう1人はノーリアクション。
俺は一体何を思えばいいのか、と複雑な感情渦巻く中弾切れらしい銃を放り捨てた。
「くくく」と少しは収まったが未だに笑いを引きずっている幽をよそ目に、友慈が開戦を告げた。
「さあ、あいつは放っといてさっさとやるか。"本物"の鬼ごっこ。鬼に捕まれば最悪死が待っている、が、逆に鬼を退治することも可能の鬼ごっこ。今後流行るんじゃないでしょうか?まあそれはともかく、その原点を俺たちで始めようじゃないか。」
「やっとかよ。相変わらずトロいな、偽者はやることが多くて大変だな。」
「まったく"偽者"は大忙し'だよな'。さ、それじゃあ今から50秒数える。一応このゲームのステージはこの学校内な。制限時間は無し、どちらかが死ぬまで。這いずり回って朝が来たとしたら、引き分けで後日持ち越し。まあこれは無いから安心しな。」
「俺も、面倒だし延長なんてさせる気ねーよ。」
「ならよかった。」
にっこりと笑う友慈。
「では、始めよう!今宵最後のゲームです!ではでは〜
いーち!にー!さーん!」
友慈はそのまま壁際に向かい立って腕を着き、その腕に顔を埋めるように目を塞いぎ、カウントを始めた。
俺はじっとその場に留まっていると幽が問いかけてきた。
「あら、逃げないの?」
「必要ないし、面倒だし。引き延ばしなんてもっと面倒だし。」
「そう。じゃあ今すぐにヤればいいじゃない?」
「これはゲームだぜ?」
「楽しんでるようね。彼も本望でしょう。」
友慈の方を見ると、カウントを続けながらもニヤけているのが分かる。
さて、どうしようか。
運動はあまりしていないが、記憶上なら最近はあいつと喧嘩したくらいか。
逆に友慈の方は、人付き合いも良く運動もバッチリという、学校に何人かはいるであろう騒がしいだけのバカ。
動物園と呼ばれる要因の要員だ。
こんなやつが本当に偽者なんだろうか。
偶然顔の細胞が一緒って…あいつの言葉を疑うわけでは無いが、ありえないな。
よって勝算は低い。
「ニジュー!ニジュイーチ!ニジュウニー!」
カウントを続ける友慈に背を向けて階段を目指す。
「あら、心変わり?」
幽の言葉に片手を上げて返事をした。
階段を小走りで降りる。
そこから少しずつ速め、走って職員室に向かった。
低いなら上げればいい。
上げるのは難しいが、案外簡単な方法もある。
人は鍛えれば強くなる。
人は武器を持つだけで強くなる。
武器は不確かだが、鍛えるよりも簡単に、早く、より強力な力を与えてくれる。
ここは学校だ。
武器になるものはいくらでもある。
まずは美術室に向かう。
その前に、鍵は当然閉まっているので、取りに行かねば。
職員室に着く。
が、当然の事ながら職員室にも鍵はかかっていた。
「チッ!」
舌打ちをして力任せに開けてみようとするが、さすがに開かなかった。
諦めて隣の校長室に目を向ける。
こちらは引き戸ではなく、ドアノブ式だ。
回してみるが、途中でつっかえる感じがする。
やはり閉まっているようだ。
用務員室のマスターキーの考えが浮かんだが、ここと同じように閉まってるだろうし、まず管理してる人が持ち歩いてるはずだ。
部屋を開けるための鍵のある部屋を開けるための鍵…
鍵、カギ、かぎ•••
「あっ!」
そういえば、正義から貰った鍵があったな。
だが、あれは自宅の鍵だって言ってたな。
せっかく貰った鍵だったが、今は命がかかっている。
駄目元で突っ込んむが、少し刺さっただけで、さらにそのまま捻ってみるが回るはずもなくガチャガチャと音を立てるだけだった。
「あれー?こんなところでどうしたのかなー?」
音に釣られたのか友慈の声が来た道から響いてきた。
友慈は余裕そうに歩いて向かってきている。
闇夜と月明かりのおかげで相手の影が確認、出来なかった。
やっぱり人間じゃないのか…
そう思いながら取り敢えずその場を離れようと近くの階段を2段飛ばしで駆け上がる。
「あれー?結局逃げるのー?」
大安売りされてる挑発を無視し、さらに階段を駆け上がる。
2階、3階と駆け上る。
この程度で息は上がって横腹に痛みが走っている。
鍵は無いが美術室に向かうことにした。
調理室か家庭科室にでも行きたかったが近くに友慈が近くにいるので無理。
消去法で残った美術室にノコギリを取りに向かった。
クールダウンを交え、少しペースを落とした早歩きで肩を撫でながら廊下を進む。
殴って窓を殴るよりタックルでドアを吹き飛ばす方が外傷は少ないな。と決意し助走をつける。
勢いをつけてそのままドアに突っ込む。
手前で友慈が出て来た。
1回では無理かもしれないと思って何度も突っ込んで突破するごり押し作戦だったが、開始する前に終わるとは。
結果俺は勢いを止められずそのまま美術室のドアに突っ込む。
そして作戦通りドアは「ドンっ!」と衝突音だけがして開くことはなかった。
反動でフラついている俺を友慈は支えた。
「おいおい、どうしたんだよ?トチ狂ったか?そんな事しなくたって俺が殺してやるってのに。」
支えている腕をそのまま振り回し俺を壁にぶつける。
タックルした時と逆の肩が衝突。
「クッソッ」
パッと友慈は手を離す。
おかげで支えを失った体が下にズルズルと下がっていく。
「おいおい、本当に大丈夫か?酔っ払いみたいにフラフラしてるぞ?ははは」
嘲笑いながら壁にもたれかかる俺に手を差し出す。
見え透いた罠を張っている友慈の脛をそのままの体制で、現状の思いっきりで殴りつけた。
「グッ!?」
突然の痛みに友慈はたじろぐ。
その場から数歩下がり、壁にもたれながらしゃがみ脛を抑えて丸くなっていた。
その間に立ち上がり友慈を見下す。
「ククク」
「あははは」
自然と零れる笑い。
お互いを見つめ合ういながら笑う。
学校の構造を覚えきれずちょくちょく見ながら書いていました。
所々間違いがあるかもしれませんが、その時はすみません。
今回は本当は職員室に向かうところで〆ようと思ってたんですが、さすがに遅れたのに短いのはどうかと思い、次回分を書き足しました。
ズレがあまりないところでいい感じに切れたので良かったと自分では思います。
最近忙しくて週1が厳しいですが、出来るだけ遅れず頑張ります。
それでは




