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贈りもの  作者: lycoris
1.離別
3/73

おめでとう

遅れてすみません。

春が過ぎて、今は少し暑くなってきていた。

そんななかテストである。

非常にやる気が無いものの、昔からそこまで頭は悪くなく、授業の内容もしっかりノートに書き写してある。

理由は簡単。

将来何がやりたいのかなんてまだ決まってないが、ただ、親に怒られたくなかった。それだけだ。

あまりに勉強出来ないと、宿題が増えたり、再テストやらで貴重な青春の時間が減ってしまうから。

ある意味、そういうのが青春だったりするかもしれないが、だからと言って恋しているわけでもないし、部活をやっているわけでもない。 ただ、学校に行き、友達とふざけ合って、退屈な授業を乗り切り、家に帰る。そんな毎日だった。


時が立つのは本当に早い。

いつの間にか受験に追われていた。

同姓同名の人といえば、最初にすれ違ったあとはまったく会った事すらなかった。

お互い廊下にはあまり出ない方で、彼は大人しいらしいので、特に目立ったとこは無いらしい。

バカでも天才でもない、自分と似たような人種かもしれない。

彼はいったい何者なのだろう?

興味はあったが、仲が良いわけでもないので、お互い(少なくとも俺は)相手をまったく知らない状況だ。

知っているのは名前だけだ。

そんなある日、彼と初めて対面した。

どうやら、進学する学校が同じらしい。

特に話すこともなく、受験票を提出しに一緒に行く。

他の人も居たが、今日だけは真面目に振舞っていた。

そんな中1人だけおちゃらける訳にもいかないので、自然と皆が口を閉じていた。


受験当日、同じ学校で集まりそれぞれの教室に別れた。

別れる前に、「お互い頑張ろう」など、全員が合格出来るように円陣を組んでいた。

誰一人嫌そうでは無かった。


無事試験が終わり、「お疲れ」などと労いの言葉をかけ合い、解散した。


さて、合格発表当日、

貼り出された合格者名に自分の名が刻まれているかを見に行った。

少し不安抱きつつ、祈りながら掲示板の前に立った。


そこには、確かに自分の名が書いてあった。

一瞬喜びが込み上げたが、すぐさま冷静になり、あることが頭をよぎった。

書いてある名前は確かに自分の名。

だが、それは本当に自分の名なのか?

ひょっとしたら"彼"の名なのではないか?

焦りながら、鞄から受験票をあさっていると、後ろから声をかけられた。

聞いたことのない声。

いや、誰かに似ている声。

その声の主は"彼"だった。

その内容は「残念だったね。下手に喜ばさせちゃったけど、その名前は確かに僕のだよ。」

そう言いながら受験票の番号を見せつけた。

掲示板に書かれている番号と同じだった。

てことは…

焦って引きつっていた顔が更に引きつる、受験票を持ったまま。

「おめでとう」

俯いたまま彼に祝いの言葉を告げ、今すぐにでもこの場を去ろうとした時、彼に呼び止められた。

「待って、どこに行こうというんだい?」

「俺は不合格だ。ここに長居する理由なんてないだろ?」

すると彼は少しニヤけて、

「何を言ってるんだい?」

そう言って壁沿いを横長に貼り出されている掲示板の奥を親指で指した。

何を言っているか分からなかったが、指指した方向を見ると、訂正と書かれた紙が張り出されていた。

訂正の内容は合格者の記入漏れだったようだ。


そこに俺の名前と受験票に書かれている番号があった。


状況と気持ちの整理がついていない俺に

「君こそ、おめでとう。お互い受かって良かったね。」

微笑みながら状況を簡単に説明してくれた。

それだけ言って彼は嬉しそうに帰っていった。

その少し後に、俺はニヤけ顏を抑えつつ帰路についた。

読んでいただき本当に感謝です。

前投稿より1週間ほど遅れてしまい本当に申し訳ありません。

今度からは1週間に1、2回ほどにします。

よろしくお願いします。


次は拾い札の方の更新になると思います。

それでは、ノシ

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