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贈りもの  作者: lycoris
1.離別
25/73

インザホスピタル2

んー…ぅぅう…

目を覚ますとどこで見覚えのある教室。

あれ?さっき爆発に巻き込まれたんじゃ…

いや、この教室…

ここらへんでだいたい予想がついた。

また気絶したのか。

体は酷い火傷をおってそうだが、おそらく命に別条はないだろう。

いつ目が覚めるのか。

意識を夢の中の自分に戻す。

体を動かそうとするが、今度は言うことを聞かない。

目の前には誰かの面影のある少年が居て、その少年の向かい合うように座っていた。

視線が慣れないのはおそらく座高が下がっているからだろう。

体は幼くなっているようだ。

中学生くらいだろうか?

明晰夢っぽいが、こんな状況は今までの記憶の中にはない。

もちろん映画やドラマ、漫画やアニメで見た記憶もない。

あれだろうか?前世の記憶とかいうあれか?

ともあれ、現状の整理に入った。

これはおそらく一昨日(おととい)病院で見た夢の続きだろうか。

だが、今回は意識は別に、体を自由には動かせないらしい。

どうせ夢だからそこまで困るようなことはないが、体が勝手に動くとなると少し気持ち悪い。

そして、どうやら目の前の少年は前の夢にも出てきてたような記憶があり、さらに、その少年以外は見当たらない。

たぶん教室に居るのは俺とこの少年だけだろう。

椅子取りゲームが終わり、今は放課後なのだろうか?

まだお昼時だったが、午前授業だと言うなら納得がいく。

おっと、どうやら無意識に繰り広げられていた話し合いが激化してきたようだ。

そうそう、もう一つわかったことが。

何故だか今回は周りの音が一切聞こえない。

実際は他にも廊下とかに生徒が居て騒いでいるのかもしれないし、移動授業を2人で抜け出したのかもしれない。

だいぶ曖昧だが、話し合いと言うよりは討論と言った方がいいような状況だった。

お互いに椅子に座り向き合っていたが、何やら叫んでいる様子で椅子から立ち上がり、手を使ってさながらジャーナリスト顔負けの討論を繰り広げている。

だが、お互いに何度か手が出そうになっているようで、見ていてヒヤヒヤする。

だが、そんな討論も夢の中の話しだ。

実際には関係ない。

早く目が覚めないものか、と他人事のように考えていると、話し合いが収まったのか、夢の中の俺は席に着き、もう一方で少年は教室から名残惜しそうに出て行った。

そして、少年と入れ違いに担任らしき先生が教室に入ってきた。

その先生が教卓に着くと、俺は立ち上がって何かを発言し、先生はそれを聞いて満足そうに(うなず)いた。

俺は拳を強く握って、必死に涙を堪えているようだ。

その様子を見てなのか、先生がこちらに歩み寄り、ポンと頭を軽く撫でてくれた。

そして、軽く(かが)み視線を同じにしてそっと何かを囁いていた。

それを聞いて涙が溢れかえっていた。

意識だけで他ははっきりしないというのに、この光景に胸を締め付けられるように感じた。

それから先生が優しい笑顔のままで教室を出て行き、涙を拭き終わってから教室をぐるりと見回してから何かを呟き、その後先生に続くように教室を出て行った。

廊下に出ると思いきや、目の前から光が包み込むように差し込み何も見えなくなる。

眩しい、体も同じ反応を取り腕で目を隠し、(まぶた)を強く閉じた。

それでも眩しく、根気で何が起きているのかと逆に目を少しずつ開けてみる。

やはり無理があるようで再び閉じようとした時、瞼を無理矢理こじ開けられ、そこに強烈な光が差し込む。

体が意識に呼応してピクリと動く。

その瞬間光が消えた。

そして人の声が聞こえた。

「おぉ!どうやら無事なようだ!すごい、すごいぞ!これはもはや奇跡に等しい!」

耳元近くで中年のおっさんの声がした。

うるさいなあ、と目を開く。

そこは見覚えのある天井。

「ムゴフゴフゴ…」

目がチカチカする。

それはなんとか手で塞ごうと腕に力を入れる。

だが、力は入るものの動かすことが出来ない。

固定されているようで、気が焦って暴れ出す。

「ああ、ああ。まあとりあえず落ち着いて、どうどう。」

再び中年のおっさんの声がした。

その声の方向を見る。

やはりそこに居たのはおっさんだった。

だが、ただのおっさんではなく、白衣を纏い、聴診器(ちょうしんき)までぶら下げている。

どうやら医者のようだ。

それも前にもお世話日なった。

こちらが気付いたのに気が付いたようで、

「おお、まあ今から説明するから安静にせい、なんつって。」

一体人を暴れさせたいのか大人しくさせたいのか。

くだらなさに体に寒気が走った。

「見ての通りお前さんの体は包帯でぐるぐる巻きだ。理由は分かってるだろうがショックを受けてるかもしれんからな。あれだ、バスの爆発事故に巻き込まれたんだ、第2波のな。」

ああ、思い出した。

「そんで、驚くことにお前さん以外はみーんな死んじまった。即死だとよ。お前さんだけは重症だったが、心臓は動いていて、体の一部もかけることなく、言うなれば被爆者の中で一番ピンピンしていた。何故だかは知らんがな。おそらくバスの一番近くに居たと言うのに。」

本当に不死身になったようで、ただ心臓が止まらないだけでなく、実は体も丈夫になっていたようだ。

「身体中酷い火傷だらけで、爆風で体が吹き飛ばされたのだろう背骨が何本か折れてたなあ。他の者も似たようなものだったんだが、お前さんだけ一部も吹き飛ばされずにいる。本当に不思議じゃ。」

俺が聞きたいのはそこじゃない。

と、包帯巻きにされた口をモゴモゴと動かしていると、それに気付いて、

「あー、なんじゃ、こっちじゃなくて犯人とかの方が聞きたいのか?」

察しが良くて助かる。

うんうんと、頷いて見せた。

「残念ながら犯人はまだ特定されてないようだ。

だが、爆発原因は分かったようだ。

仕掛けられてたんだよ、バスに爆弾が。」

それを聞いた時少し嫌な予感がした。

「そして、第2波はお前さんが巻き込まれた爆発だが、文字通りバス、ガス、爆発じゃ。いやあ、滑舌が問題じゃのお。」

「そういうことでは無いだろう。」

寒いギャグの第2波を浴びせられた時、後ろから別のおっさんの声がした。

そしてそのおっさんは医者の隣に立ち、何やら黒く長い物を俺に見せてきた。

「やあ、久しぶりだねえ。まさか再開がまた病院になるとはね。だけど診察室じゃないからデジャヴという訳には行かないようだ、残念。」

常識的にもこちら側も会いたくなかった人物だった。

「事件の概要はさっきこいつが話した通りだ。そして、俺がここにいるって事は大体分かっているよな?いや、分かれ。」

そんな無茶な、とは言えず、有る程度察しが着いてしまった。

なので大人しく頷いた。

「そうか。今は喋れないだろうから、こちらの話だけを聞いてもらおう。先に言っておくが、今、お前にはバス爆破の容疑者である疑いがかけられている。本当は署まで同行させたいんだが、生憎その体だ。ここで話を続ける。」

そう言って刑事は医者の方にアイコンタクトをとった。

すると医者は頷き、自分が座っていたパイプ椅子を譲った。

立ち上がったそのまま、窓を閉めカーテンまでして、さらに扉も閉め、そのまま抑えるように扉にもたれかかって腕組みをした。

刑事は医者を見ていた視線をこちらに向けた。

「うん、それでだな。バスは爆発でほとんど焼け焦げたんだが、バスの周りに爆破に使用されたであろう爆弾の破片らしきものが散らばっていた。調べた結果それは爆弾のものだとわかった。それと同時に、その破片に付いていた指紋の一部がお前のと一致したんだ。それも一つの破片だけじゃなく全てから見つかった。それらを繋ぎ合わせ99.9%お前の指紋ということになった。」

え?転んだわけでもないから万一にもそんなはずは、

「さらにはお前だけ爆発に巻き込まれても無事だった。これは無理矢理かもしれないが、じゃないとお前がこうして生きている理由がつかない。爆発が来るのが分かっていれば有る程度防げる訳だしな。」

辻褄(つじつま)はあっているが、確かに無理矢理だ。

それに俺が不死身だって事は、ただ運が良かったってことにすれば、まだ証明出来てない。

さらにはどう説明すれば信じてもらえるか。

ややこしくなりそうだからそんな事はしないが。

それでも俺が犯人じゃないと証明は出来る。

それは、

「確かにお前が犯行に及ぶ動機がないのは分かるが、お前以外の人物は可能性が低いんだ。上は『お前が気が狂ってやった。』てことにすればいいとか言っているが、一度お前と話した事があるから、それはないとは思うが。」

何とも煮え切らないようだ。

そこに刑事の電話が鳴った。

刑事はそのコールにすぐに出た。

「はい、私です。現在取り調べ中ですけど…え!?それは本当ですか?いや…はい…」

どうやら事態が急変するような予感がした。

電話中の刑事が驚いた目でこちらを見ながら話していた。

ああ、これはもしかしてダメな方に変わったのだろう。

刑事が電話を終え携帯を仕舞い、焦ったように質問をふっかけてきた。

「お、お前あの事件の前日に喧嘩をしたかのか…?お前に似た人物が公園で殴り合っているのを見たっていう通報があったらしいんだが。」

あ、これはもうダメだわ。

どうしたものか。

遅くなってすみません。

何だかんだ今週もギリギリになってしまいました。

あまり長く書くとまた日を跨いでしまいそうなので、これで。


それでは。


あ、あと、通報は公園を通りがかりで見た人がテレビでバス事件を見て通報しました。

喧嘩した相手がバスに乗っていたので爆発した。というのが警察側の推理です。

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