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贈りもの  作者: lycoris
1.離別
16/73

検査

あけましておめでとうございます。

「あっ」

医者から指定された病室の少し手前でそう呟いた。

理由は単純明快。

カレンダーを探すのを忘れてしまっていた。

スッキリしたあまり失念していたようだ。

今更探しても、今周りには見当たらないので、病室に掛けてあるのを祈ろう。

もしくは直接聞けばいいや。

そんな思いを巡らせながら病室に入室すると、ここに来るように言った医者と、ナースではなく明らかに場違い、だがある意味しっくりくるスーツ姿のおっさんがいた。しかも黒のスーツ。

「やあ、いらっしゃい。ちょっと遅かったね。」

「あ、トイレに行ってたもので。」

「ああ、そうか。気にすることない。なんせ君が意識を失くしてから3日もたったからね。溜まってたんだろう。」

「え?」

「ほら、カレンダー。」

そう言って医者が机の片隅から電子カレンダーを目の前に持ってきた。

日付を確認すると確かに学校の放課後に彼女と話して、家に帰ると両親が倒れていたあの日から3日経っていた。

曜日も変わっていたから確かだ。

「あの…」

質問をしようとしたら遮られてしまった。

「ああ、今から話すよ。彼がね。」

医者は手で黒スーツを紹介して、部屋のドアを閉じに行った。

その間に、さっきまで医者が座っていた席に黒スーツが座った。

そして、こちらの顔色を確認すると胸ポケットから手帳らしきものを取り出した。

「やあ、突然だが、俺はこう言うものでね。」

差し出されたのは警察手帳だった。

「あ、はい。」

「今から話を始めるけどいちいち君の質問には答えられないかもしれないが、こちらからの質問は漏れなくしっかり答えてもらう。いいか?」

手帳を戻しながら言う。

そして、有無を言わさず急に話が始まった。

「じゃあ、さっそく。

単刀直入に言うけど、君の両親は先日、正確には3日前に何者かに殺害された。これは君も知っているだろ?」

口調は優しげだったが、顔は真剣で怒っているようにも見える。

ここで医者がパイプ椅子を取り出し、黒スーツの、刑事のそばに座った。

「え…ええ。一応倒れているのは見たんですが、死んでいたかまではわかりませんでした。」

「そうですか。一応聴くけど、殺したのは君じゃないんだな?どうしてあの場に突っ立っていたのかも含めて。」

「はい、もちろん私じゃありません。学校からの帰りでして、家のドアを開けたら倒れている母を見つけたもので、そこでいろいろ連想しているうちに…」

答えに詰まっていると刑事の隣に座っていた医者が助け舟を出してくれた。

「ああ、その時だね。急に親の死を突きつけられちゃね。その時に精神が乱れてしまって正常じゃなかったんだろう。」

急過ぎて驚いたが、乗っかることにした。

「あ、はい。たぶんその通りだと思います。」

「そうか、じゃあ、その時に何か呟いていた

らしんだが、覚えてるか?」

「え?あ、いえ、何も…」

一瞬戸惑ったが、ぼんやりとして思い出せなかったから、黙っておくことにした。

「そうか。」

少し間があいて、

「両親が殺害された事に対して何かあるか?例えば誰かに恨まれてるとかの動機とか。」

「いえ、特に思い当たりません。」

「そうか。」

その後は、ただ「うぅ〜ん…」と唸っているだけだったが、医者が痺れを切らして、

「もういいだろ?彼はさっき目が覚めたんだ。奇跡みたいなもんだよ。ここまでにしてやってくれ。」

「それもそうだな。悪かったよ。じゃ、俺はこれで失礼するよ。お大事に。」

黒スーツの刑事が病室から消えた後、見送っていた医者が口を開いた。

「彼は私の旧友でね。いい奴なんだが、職業柄人を疑ったり口が悪かったりするんだよ。すまないね。」

「いえ、大丈夫です。」

返答に困ったので決まり文句で返した。

「なら良かった。それじゃあ1つ目の検査も終わったことだし、2つ目もちゃっちゃとやっちゃおう。」

なるほど、2つの検査ってそういうことか。

医者がこちらを見つめていた気づいた。

「なるほど、さっきから見てたが、どうやら本当に異常がなく、大丈夫なようだな。今日は様子見でもう一泊だけ泊まるといい。」

「ありがとうございます。そうさせて頂きます。」

「うむ。それじゃ検査は終わり。病室に戻ってゆっくり休んでくれ。それか気分転換に院内を散歩でもするといい。」

「はい、ありがとうございます。では。」

一礼して席を立ちドアへ向かう。

ドアから出て、締める時に医者に目をやると「お大事に。」と言って手を振ってくれていた。

それに応えて、軽く一礼してえ完全に締める。

病室に戻ってもすることがないし、眠れそうもなかったので、散歩でもすることにしよう。



患者が診察室を出た後、医者はシワを寄せて1枚のレポート用紙を見つめて、脱力するようにため息をついた。

お久しぶりです。

去年に引き続き今年もどうぞよろしくお願いします。


更新が遅れて本当にすみませんでした。

海外出張なんですが、やっとWi-Fiの繋がるところにやってきて、やっとまとまったので、更新です。


今年も頑張って行きます。

新年早々読んでいただきありがとうございました。

それではまた次回に

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