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贈りもの  作者: lycoris
1.離別
14/73

ミステリーメモリー

「うっ…うぅ〜ん…」

いつのまにか寝てたのか、目をこすって周りを確認してみる。

人だかりがあった。

だが、小さい人だかりだった。

人数的にも人だかりと呼べるものなのか、そして、群れているのは子供だった。

と言っても、小学生か中学生か、微妙な身長差で、中には大きいのも小さいのも居たが、平均するとそれぐらいの子供達だった。

そして、今いるこの場所は恐らく教室だろう。

黒板があり、その手前には教卓もある。

そして、今座っている位置の後ろには机が集められている。

そう、今、教卓と後ろに釣られている机のちょうど真ん中に円状に集められている椅子に座っているのだ。

並べられている椅子には他の生徒達も座っていた。

何故か、自分もだが皆同じ制服だった。

女子も居たが以下同文だ。

周りを見渡し、現状処理をした結果、一つだ妙に奇妙な事に気がついた。

それは、単純なことすぎて気づきにくいだろうが、机の数と椅子の数が、正確に言うと机と椅子に座っている『生徒』の数が合わないのだ。

遅れたが、椅子の周りにも他の生徒がいた。

だが、そいつらを合わせても明らかに多く机が余っていた。

そして、周りには他の、そいつらの分と思しき椅子は無かった。

どういうことだと、謎解きに夢中になっていると、急に周りにいた生徒達が皆一様に一言ずつ残して、教室の出口に向かった。

だが、その一言は聞き取ることができなかった。

これもおかしいと思ったが、さらに不思議なことに、1人1人言い残していくうちに、その生徒達の表情を見るだけで、こちらまで泣けてきたのだ。

生徒達が何を言って、何で寂しそうな顔をしながら泣いているのか、分かららないが、何故だか胸に突き刺さるものがあった。


教室を出て行く生徒達を見送りたかったが、辛すぎて、最後まで見送れなかった。


しばらく皆が下を俯いていた。

ブツブツ言っているものも少なくなかった。

それも泣きながらの者の方が多かった。

落ち着いたのか、皆顔をあげ、椅子から離れた。

つられて立ち上がり、同様に椅子から離れた。

1人の男が一歩前へ出て、周りに問いかけるかのように演説をし始めた。

周りには落ち着きを取り戻したのに再び泣き始める者や、拳を握り締め歯を食いしばり悔しそうにしている者ばかりだった。

手を口に当て泣きすする者、

上を見上げ必死に涙を堪える者。

多種多様だが、共通して酷く悲しんでるように見えた。

そして、それは自分も同じで、泣かないように拳に力を入れ、体を震わせながらも耐えていた。

何故だか分からない。

さっきから意思と行動が不一致していた。

このことを意識し始めたのは見送りの時からだったか、最後まで見送りたかったのに、体はそれと逆方向を向き目を背けた。

そして、その後も体が勝手に動き椅子から立ち上がったのだ。

それから今に至るのだがこのことを考えている内に演説は終わったのか、数名の生徒達が動き出した。

その生徒達も、一言ずつ残して、中には演説していた生徒の肩を軽く叩いた生徒もいたが、出口へと向かって行った。

自分はただ、泣くのを我慢して視線を下に向けて俯くだけだった。


再び教室が静かになった。

残ったのは4人。

さっき演説していた生徒がまた発言をし出した。

だが、今度は短かった。

恐らく一言だけだったのだろう。

それを号令に、自分を含めた3人は手近にあった椅子を運び出した。

椅子を他の椅子の置いてある場所へ運び終わった後、この行為に何かが出てきそうになった。

何だったけか、あと少しのところまで出かかって引っかかっている。

深く考えることを避け、勝手に動く自分の体に身を任せ、辺りの変化を確認することにする。

3人は残された1つの椅子に集まった。

皆互いを見合う。

まるでこれから争うかのように。

それぞれの瞳には何か覚悟があるようにすっと見据えているようだった。

そのまま固まって動かないのかと思っていると教室のドアが開き、教師と思しき男が入ってきた。

驚いているはずなのに、やはり体は驚いた反応を示さない。

その男は急に現れたかと思えば、教卓の隅に置いてあったラジカセのスイッチに指を起き、こちらに何か問いかけた。

こちらの返事は即答だった。

その返事に安堵の表情を浮かべ、ラジカセのスイッチを押した。

すると、4人が一斉に椅子の周りを回り始めた。

そこで引っかかっていたものが取れた。

『椅子取りゲーム』だ!

謎が解けたと思ったら再び謎に突き当たった。

そういえば、さっきまで座っていたこの4人以外の椅子はどうなったのか。

考え始めた瞬間に、急に動き出した体に意識が引っ張られた。

どうやら、『椅子取りゲーム』の決着が付いたようだ。

椅子には他の生徒がちょうど半分半分になるかのように2人で座っていて、俺は上そのうち1人の生徒に腰を下ろしていて、演説をしていた生徒は諦めたのか椅子の後ろで立ったままだった。

俺が生徒の上からどき、椅子は2人の生徒が座る形になっていたが、その2人もすぐに立ち上がった。

そして、4人が集まり、それぞれ笑いったり、怒ったりしていたが、最後には良い表情で、男の方を向き頭を下げた。

その男は泣いている生徒が頭を下げているのに、以外にも涙一つ流さずに冷静に立っていた。

こいつは何者なんだ。

座れなかった1人が先に頭を上げ、こちらに軽く別れを告げながら教室のドアを出て行った。

その後残った3人も同時に頭を上げた。

そこで、負けた俺は教室を出て行かなければならなかった。

男に一言いい、1人の気弱そうな生徒に拳を突き立てた。

コツンと互いで突き合って別れた。

その生徒には見覚えがあった。

誰かの面影が…


教室から出ようとすると、涙が止まらなくなり、体は段々白く光り始め、意識が薄れ始めた。

振り返ると、さっき挨拶した気弱な生徒が泣きじゃくっていた。

あいつは!

瞼が段々閉じて行き、薄れゆく意識の中で思い出したのは、かつて中の良かった1人の人物と面影が重なった。


その瞬間、右頬に強い衝撃が走った。


「ッデ!!」

あれ?ここは?

前にはカツカツとドアを出ていく学校のアイドルが見えた。


遅れて申し訳ありません。

前回に引き続き今回も(普段より)長くなっております。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。

物語も中盤です。

今年中にいいところまでは持って行きたいです。


プレゼントも今年中に終わらせたいのですが、なかなかフィニッシュは難しいです。

頑張ります。


それでは

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