事件
遅れてすみません!m(。。)m
玄関の付近には母がうつ伏せで倒れていた。死体から血はあまり流れていないように見えたが、腹部には服の表面まで染み出た血があった。
臭いや色からして、おそらく、まだ新しいものだと思う。
ただ、ここで母を抱き上げていても、状況は変わらない。
視線を母から、リビングの開いたドアに目をやる。
ドアの隙間から、父の顔が見えた。
だが、その顔は表情が一切変わらず、目も開けたままだ。
それにその顔は、床から覗くものだった。おそらく、父も死んだのだろう。
母の死体を、手を組ませ、瞼を閉じさせ、その場で安静に置いて父の元へ向かった。
その間、部屋に響くのは泣き声でもなければ嗚咽している声でもなく、ただただ、虚しく自分一人の足音が微かに聞こえるだけだ。
呼吸の音も自分一人のものだけ。
父の瞼も同様に閉じ、その場に居た堪れなくなり、再び、母が死んだように眠る玄関までやってきた。
そしてしばらく、倒れている母と父とを交互に見やっていた。
いくらなんでも急すぎる。
そもせいで、自分でも違和感を持つほど冷静だった。
悲しいはずなのに、涙も流れず、喘ぐこともなかった。
ただ呆然と、死んだ両親を見つめながらその場に立ち尽くした。
情報が整理出来ず、ただ頭が混乱するのみ。
唯一確かなのは、予言は当たった。
ただ、それだけだ。
別に彼女を恨むつもりはない。
恨むなら両親を殺した犯人だ。
だから、例え彼女がこの殺人に関与していようと、実際に殺したわけではないので、恨んだりはしない。
ただ、そうなら、殺し返すくらいはするが。
もちろん殺すのは本人だ。
普通仕返しならば、相手の両親を殺すが、いない場合もある。
ならば、殺すのは本人だ。それに相手の親に恨みがあるわけじゃないから。
そんなことをしても、俺の両親は喜ばないかもしれない。
だけど、それが何だ?
殺しをしたならば、其れ相応の罰は覚悟をしているはずだ。
ならば、その罰は俺が下そう。
警察や裁判官達に横取りされてたまるか。
俺の手で殺す。殺す…
ブツブツ…ブツブツ…
ドアの近くから何かを呟く声がした。
怖くなって、ドアを少しだけ開け、隙間から覗くと、学生服の少年が立っていた。
おそらく、ここの家の子だろう。
だが、何故こんな玄関先で立ち尽くしているのだろうか?
そして、先程から聞こえる呟き声の主は彼だと分かったが、一体何を呟いているのか?
気づかれないように、ゆっくりと音を立てないようにもう少しドアを開いた。
そして、耳を傾け集中する。
まだハッキリとは聞こえないが、たぶん彼は『殺す』という言葉を連呼しているのだろうか、そう聞こえてきた。少し怖くなり後ずさりをしようと、腰を低くして後ろに下がろうとしたとん、突如後ろから声がかけられた。
「ちょっと、君!何をしているんだ⁉︎」
少し強い口調で言われたのもあるが、突然のことなので、びっくりして腰を抜かした。
振り返る間も無く、肩を掴まれ同じことを聞かれた。
「ここで何をしている⁉︎」
少しテンパって、キョドった返事にる。
「あ、あと、えと、お、俺が通報したんですが。」
肩から手を離して、手を差し伸べてくれた。
「まあ、落ち着いて。ほら。」
「あ、ありがとうございます。」
起き上がり、礼をして、尻についた汚れを落とす。
ふと、視線を、自分が通報して来てもらった警官に向ける。
自分を気遣いながらも、少しだけ開いたドアを気にしている様子だった。
「あ、えと、一応現場はそのままで、事件内容も電話で話したとうりです。」
「うん、そうか、協力感謝。」
帽子のツバを持って少し深めに被りながらに礼を言われた。
つづいて、その手をドアノブに向けて突き出し握ろうとしていた。
邪魔だろうから、その場から少し離れ、ドアから玄関より中が見える位置に移動した。
もちろん、怖いので、警官の後ろ側に回ったが。こういう時の警察は妙に頼りになるような。
そして、ドアノブを掴み、一呼吸置いてドアを開けた。
中には学生とおぼしき少年が立っていた。
恐らくここの家の子だろう。
その事実を再び確認しただけだった。
警察がブツブツと、一方を見つめながら呟き続ける少年の肩を掴んだ。
呟きが聞こえたのか、少し荒げた声で呼びかけていた。
「おい、君!ここで何してる⁉︎」
警察もここの家の子だと分かっていただろうが、そう聞いていた。
「…ろす…kろす…殺す…」
全く動じた感じを見せず、未だに呟き続けている。
警察も諦めたのか、少年の見つめている方向と同じところに目をやった。
それと同じく、俺も自然とそちらに視線が吸い込まれた。
「ひ、人だ!人が倒れている!」
驚いた。
ふりをした。
何故なら、既にこの事を知っていたからだ。
宅配のバイトで、何度呼び鈴を鳴らしても、反応がなかったから、少し不安だったが、ドアノブに手をつけてみた。
案外簡単にドアノブは回り、玄関のドアが開いた。
そして、客を探すように周りを探してみると、リビングから今回の客だろう人物が倒れていた。
ただ、倒れていたのではなく、血を流して。
その光景に驚き、思わず荷物を置いて、この家を飛び出してしまった。
そして、少し離れたところまで来て、冷静さを取り戻す。
とりあえず、あれは本物だろうから救急車を呼ぶべきだ。
そう思い、携帯を取り出そうとしたが、あいにく、あの家の近くに止めっぱなしのトラックの中に置いてきてしまった。
まだ助かるかもしれない。
そう思い、逃げてきたあの家へ駆けた。
途中その家の付近を通りかかったのか、フードを被って、寒そうにしている人物とすれ違った。
怪しいと思ったものの、そんな暇は無いので、すぐに思考を元に戻した。
そして、トラックから携帯を取り出し、周りから疑われないように、家の陰になる場所から電話をかけた。
救急車を呼び、警察も一応呼んだ。
交番が近いことと、何故だか胸騒ぎがするので、かけてみた。
案の定、警察が先に来た。
そして、警察が来る少し前に再度、家の中を確認しようとしたら、少年がいた。
そして、今までに至る。
警察も、倒れた死体と突然の俺の声に驚いた。
動揺して、部屋の中にもかかわらず、懐中電灯を死体へと向け進んで行った。
この一連にも少年は動じなかった。
そして、警察がどかすまで、その場から動かなかった。
警察の後をつけて、少年をかわしながら家へと入った。
そして、先ほどよりも前進しリビングにまで踏み入れた。
が、そこにはさらに驚く光景が広がっていた。
「人が、ふ2人も⁉︎」
警察は無理やりだったが、冷静を装い死体へ近づいた。
そして、つまんでいた鼻を解き、死体の手を掴み脈を確かめていた。
そして、「これは事件だよ…しかも、ついさっきに行われた犯行だ…!」
動揺しながらも、現状を俺に教えてくれた。
恐らく警察もこんなのは初めてなのか、凄く戸惑っているように見えた。
2人の死体の体を確認し、瞳を閉じさせた。
俺はただその場に立ち尽くすしかなかった。
ただ、頭が混乱して、次に何をしていいのか、何をするべきかまったく分からないでいた。
警察はパトカーに戻り、無線で連絡を取っているらしい。
だが、その手は、寒さではないだろう、明らかに震えていた。
そして、連絡を終えた直後、救急車がようやく来た。
そして、2人の死体を確認し、タンカーで運んで行った。
少年は尚も玄関の端っこで呟き続けていた。
死体が運ばれ、救急車が去って行った後、応援のパトカーが来た。
そして、警察が「通報感謝します。残念ですが、あの2人は亡くなられたそうです。」
「あ、はい。そうですか…」
ここですべきことを思い出した。
「あ、あの!私バイトの途中なんですけど…」
「すまないが、事情聴取のために署まで御同行願いたいのだが。」
「あ、ええ。そうですよね。」
「悪いけど、店側には今でもいいから連絡を取った方がいい。なんなら、私が出て証言してもいいぞ。それと、念のためにご家族にも連絡した方がいい。」
「は、はい。」
携帯を取り出し、番号を打つ。
指は少し震えていた。
「すまない、本当に。こんなドタバタになってしまって。」
帽子を深く被り直し、電話を耳に近づける俺に謝った。
「い、いえ…」
なんと返したらいいか分からなかった。
こういうと時に限って、相手側が電話を取るのが遅い。
概ねを親とバイト先の店に伝え、トラックは回収しといてくれるらしい。
そして、そのまま警察と家を出て、一緒にパトカーに乗り込んだ。
最中、ふと気になったことを聞いてみた。
「そういえば、あの少年は?」
「彼は精神に異常がないか検査にため病院に行っている。一応、様子みていどに、軽く監禁みたいなものさ。」
「そ、そうですか。」
「君も今のうちに寝ておくといい。」
エンジンをかけながらそう言ってくれた。
「ひょっとしたら、遅くなるかもしれないから。」
「は、はい。では、お言葉に甘えて。」
「はは、お休み。」
そう言って静かに車をだし、少し速めに警察署へと向かった。
主人公病院送り。
私も病院送り。
ということで、しばらく風邪をひいて更新出来てなかったです。
言い訳ですが、本当にすみません。
実は今週も用事遅れます。
早く次回を更新したいです。
お待たせしたにもかかわらず、ここまで読んでいただきありがとうございます。
それでは。