おはよう
目が覚めたら、チャイムが鳴っていた。
いや、目を覚ましたと同時にチャイムが鳴った。すぐさまに、寝ぼけながらも周りに合わせ、席を立ち、起立礼をした。
その後、少しの間、そのままボーッと突っ立っていた。
周りがザワザワと席を立ち上がり、授業の片付けをしたり、友人同士で喋ったりするなか、ガラッと教室の戸を開けて担任が教室に入場した。
その音にビックリし、そのおかげで状況整理が追いついた。
若干の違和感を感じていたが、どうやらそれは自分の席ではないからだ。それと、いつも以上にぐっすり眠れたせいもある。
いつもなら、深くは眠れず、途中で起きて窓の外を眺めたりしていたが、今日はそんな必要のないくらいの快眠であった。
こんな事はめったに、いや、今日ほどの事は普段の生活では感じたことのないほどだった。
そんな状況を整理していると、教壇で担任が「掃除しろおお!」と、いつも通りの怒声を響かせた。
みんないつもの事だから、せかせかと机を後ろにつり、自分の持ち場に向かっていった。
そんななか、自分の席でない俺はどうしたものかと、隣で未だに寝ているアイドルを見つめた。
仕方ない、めんどくさいがまた起こすしかないようだ。と、起こそうとした時、先に担任が、持っていたノートで文字通り叩き起こした。
あ〜あ、こんなことしちゃって、また、ファンの男子どもがうるさいよ〜。と内心呆れつつ今後の行方を楽しみにしていた。
担任は続けて「ほら、さっさと起きて自分の席をつって、掃除担当場所に行く!」と叱った。
ま、当然だわな。と内心で担任の意見に賛成してると、急にこっちに振り向いた担任がにやけた顔で「あんたらいつからこういう関係なわけ〜?」と聞いてきた。
「そんなんじゃないですよ」
少し遅れたタイミングで返した。
すると、担任はさらに遅れたタイミングで「あ、あら、本当にそうかしら〜?」
どうやら少し戸惑っているようだ。
「そうです。では、俺は自分の掃除場所に行きますんで。」
足早にこの場を去った。
教室を出た辺りで振り返ってみると、案の定担任とアイドルは話をしていた。
「ねぇ、やっぱりあんたら付き合ってんの?席も入れ替えてたし。」
「さっき彼も言ってたじゃないですか、そんなんじゃないです。って」
「でもねー、怪しいのよねー。今日は一日中ニコニコしてたし。いや、ニヤニヤか?」
「確かにそうですね。今日はいつもと違う感じでしたね。」
「やっぱりそうよね〜。本当に付き合ってないの?」
「だから、違いますってば。なんで生徒の色恋にはしゃいでるんですか。」
「そんな呆れられてもね〜、珍しい組み合わせだから?というか、何故席を入れ替えなんて?」
「自分の生徒に対して珍しいとは…まあ、席はお試しみたいなもんですよ。」
「確かにもうすぐ席替えだしね。でもねー?」
「はいはい。もう、掃除して下さい。ちりとりとってきます。」
そういえば、アイドルはクラス内の男子の強い要望で教室掃除だったな。
さすがに担任との話してる内容は聞こえなかったが、担任が変わりに席をつってくれたのはありがたい。
無駄な労力を使わずにすんだ。
それに、掃除を早く切り上げれば自分の席に座れる。
先に机つりの手伝いをするフリをして、自分で自分の座ってしまえばこっちのもの。
とっとと掃除をすませ、教室に戻る。
他の教室外担当のクラスメイト達よりも一足早く教室に戻った。
まだ机はつっている途中のようだ。
よし!まだ間に合う!
自分の席に急いで駆け寄ると、既にアイドルが寝ていた。
「なっ!?」
思わず声が出てしまったが、周りは気にしてないようだ。机をつり終わり、自分達の帰りの支度で忙しいようだ。
それなのに、こいつは…
俺だって片付けして、帰りたいのに…
せっかくの5限授業で早く帰れるのに、こいつのせいで…
既に周りからの視線は少しだけだが、集まっていた。
こんな状況で、寝ているアイドルを無視して片付けなんてしたら、きっとめんどくさい事になるんだろう…
結局こいつが起きるのを待たなきゃならないのかよ…
もう、絶望しかなかった。
ゴミを片付けた担任が、教壇の上に立ち、全員集まった事を確認し、帰りの会を始めた。
その際、未だに帰る準備をしている者や、寝ている者に注意をしていた。
もちろん、俺の隣で寝ているこいつにも。
だが、何故だか諦めて、すぐに帰りの会を始めた。
(クソ、俺が寝ている時は叩きにくるくせに!)
こうなったら俺も寝てやる!
うつ伏せになろうとしたら、すぐさまに「おい、そこ寝るな!」と注意が飛んできた。
仕方なく窓の外でも眺めて聞き流す事にしたが、「はい、今私が言った事を復唱してみろ!」何故だか俺が指名され、当然答えられる訳もなく、恥をかいた。
(なんで今日はこんなにも!何もしてねーだろ!)怒りが溜まっていた。
さらに、そんな事も御構い無しに未だに寝ているアイドルに腹が立った。
聞くフリだけしてその場をしのいで、起立、「さようなら」の号令の後に、再び寝ようとしている隣のアイドルにケチをつけた。
「おい!いい加減にしろ!もう終わっちまっただろ!早くどけよ!」
「うぉ「うるさい」
ファンの叫び声を遮り、一言だけ言って、腕の中に顔を隠した。
「だーかーらー、俺が帰れないから!帰る準備だけさせてくれ!後は自由に使っていいから!」
既に聞いていないようだ。
わかってはいたが、やはり疲れる。
おとなしく、席に座り、隣が起きるのを待つことにした。一体いつになるのやら。
周りこ視線はだんだんと減っていった。
だが、ファンのリーダーだけは、長くこちらを睨みつけながら監視をしていた。
そんなリーダーも部活で忙しいらしく、仲間に呼ばれて渋々教室を出て行った。
これで、残るは2人。と隠れる気が無いのか丸見えの担任が教室に残った。
しばらく待ってみてもなかなか起きない。
その間担任は職員室を行き来していたが、俺もたびたびトイレや飲み物を買いに行ったりはしていた。
こいつはいつまで寝ているんだよ、まったく。呆れつつも待っていた。机には大事な物がしまっているから、こちらとしても譲れなかった。
さらに、しばらく時が経って、
もうそろそろ日が暮れる頃、
やっと目が覚めたようだ。
「おはよう、遅かったわね」
「ああ、おはよぅ…」
未だに眠い。
あれ?
ぺぺーと書いてやろう
と思ったら、30分で2千文字も書いていた…
本当なら、今日の午前0:30~1:00に書いていたのでもっと早く更新出来ましたが、さすがに眠かったのでご勘弁を。
その後、日常業務を終えて少し修正や付け足しをして、完成しました。
少々読みづらい点がございますが、ここまで読んでいただきまし感謝です。
今回は気まぐれなので、次回更新は多分来週になるかもです。
恐らくは気まぐれですぐに更新をするかも。
気まぐれの方が可能性低いと思います。
長くなってしまいましたが、本当に感謝です。
それでは