それって、どう言う意味なんだ!
俺の突飛な言葉にも、男は吹き出しもせず、真顔のままだ。
「そんな事はないよ。いつでも使えばいいけど、連続しては使えないので一日以上戻すことはできないよ」
おお、そうなのか?
俺は少し聞いてよかったぜと思ってしまった。
いや待て。確かにそれは重要な情報だ。だが、知りたいのはそんな話じゃない。
「あ、あ、あのさぁ。
あんたはこれを使ってどうだったんだ?」
遠回しな表現だが、これだ。これが俺の限界だ。
俺の意図が伝わったのか、男はさっきまでの真顔を少し崩し、にやっとした。
そして、まるでモデルが自分のドレスをアピールするかのように、男は自分のこぎちゃない服を手にして、くるりと一回転して、俺に言った。
「見てのとおりさ」
そ、そ、それって、どう言う意味なんだよ。俺はそこが聞きたいんじゃないか。
俺がその言葉を言えずにいると、男は俺に背を向け歩き始めた。
じゃっ!
そんな感じで、片手を上げて、俺から遠ざかっていく。
「ま、ま、待ってくれぇ!どうして、あんたは浮浪者になってんだぁ?」
俺はその言葉を出せず、その男を捕まえようとするかのように、手を伸ばして空を空しく二、三度掴んだだけだった。
男は俺の視界の中で、どんどんと小さくなっていく。
結局、俺は何も言えずそんな男を見送ってしまった。
ある意味、俺はチキンなのかも知れない。