起きなかった事件!
すでに夏休みに入っている俺は一日、家の中で過ごしている。暑い外になんか出れたものではない。
エアコンの効いた俺の部屋で、TVを点けっぱにして、昨日、俺が予言したニュースが飛び込むのを今か今かと待っている。
元々の事件は昼前に起きた。
ところがだ、今はもう夕方だと言うのに、事件の報道がない。どういうことだ?
微妙な変化で、事件の展開が遅れているのか?
俺にとって、坂本が無事でいると言う嬉しい事であるはずだが、今は俺自身の事の方が大事である。俺は俺の予言が外れるのではないのかと言う不安で、胸がいっぱいだ。
俺は時刻まで書き込んでいないから、まだ俺の予言に対する反応はない。
いつもなら、11時には寝る俺だが、結局俺はその日の内に眠る事はできなかった。そして、事件は起きなかったのである。
どう言う事だ?
未来は変えられるのか?
俺は眠れぬ夜を過ごした。
次の日、ネットには俺の予言が外れた事に対する書き込みがあふれていた。
たまには外れるよね。
とか、
坂本が警戒したから襲われずに済んで、よかったじゃん。
とか言った比較的、俺に好意的なものから、
外れてざまぁ見ろ的な、俺への敵意むき出しの書き込みまで色々だ。
そうだよな。
ちょっと、俺もいい気になりすぎていた。
だから、敵もできたんだろう。
この状態なら、名乗り出る訳にいかねぇ。
いや、そんな事より、未来って変えられるのか?
もし、変えられるのなら、この予言だって、限界がある。
俺は一日、ベッドの上で、あの装置を眺めながら、未来と言うものを考えていた。
だが、結論なんて出る訳がねぇ。
俺は今日のニュースチェックの気分にもなれず、無駄に時間をベッドの上でつぶしている。
そんな時、俺のスマホが鳴った。
相手は俺の母親だ。




