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第7章 新米魔法使い クラリット
「がふぅ!!」
巨剣のつばの上にいた牙の体が空に舞う。ガリゲイオスのコブシが、ついに牙にダメージを与えたのだ。
それは、ガリゲイオスにとって、コブシに少しかすった程度の感触であった。しかし、小さな人間である牙にとって、それは4トントラックに追突されたような衝撃であった。
(くそ! やっちまった。いいパンチもらっちまったぜ……)
牙は口から出る血を拭いながら、必死に活路を求めて考えていた。
(どうするや、おい)
ちなみに今、牙は空中にいて、もう少しで地面に激突する勢いである。
(この勢いで地面に叩きつけられたら……不味い……)
牙は何とか着地の態勢を整えようとしたが、うまく空中で体位をコントロールできずにいた。あと少しで牙の体が地面に激突する。その瞬間、
「『ネット』!」
牙が激突するはずだった地面に突如、クモの巣のような白いネットが出現した。そして、牙はそのネットに包まれ、地面への衝突を免れた。
「大丈夫ですか!?」
新米魔法使いクラリットは、無我夢中で牙のもとに駆け寄った。