エピローグ
エピローグは牙視点の一人称で書いてます。
最後まで読んでくれてありがとう。
~エピローグ~
――ガリゲイオスを倒したその後
「おい! ラミール! お前報酬上げろ、こんちくしょう! それに、ガリゲイオスに『感知能力』があることと『鼻角が弱点』であることを何で事前に教えなかった!!」
――俺は今回の依頼主であるラミールの胸倉を掴み、怒鳴り散らしたんだが、
「『感知能力』? 『鼻角が弱点』? なんのことだ? 俺は知らんかったぞ。『大型モンスター大辞典』にもそんな記載なかったぞ?」
――正直驚いたよ
「そんなはずないだろう! なあ! クラリット! お前『大型モンスター大辞典』を読んでいたから、鼻角が弱点だって知っていたんだろ?」
「いいえ。『大型モンスター大辞典』にはまだ、そのことは書いていませんよ。『ガリゲイオスの弱点は鼻角』という情報はモンスター研究家『マサイ』さんの最新論文に載っていたことなので、ラミールさんが知らなくて当然ですよ。モンスター研究家か、僕みたいな物好きしか知らないでしょうね。それに、『感知能力』に関しては全く知られていなかった事実です。今までガリゲイオスは『感知能力』を持っていないと言われていたのですが、この新事実を『モンスター研究学会』に発表すれば、僕は学会で一躍有名に……」
――クラリットという新米魔法使いの知識に、改めて驚いた。
「へぇ~、ガリゲイオスは鼻角が弱点だったんだ。でも、『あの鼻角には強力な魔力が込められている』って『大型モンスター大辞典』には書いてあったけど? 普通、魔力が集中しているところは防御力が高い。だから、『魔視』の魔法を使って魔力の量が少ないところを攻撃するのが、大型モンスターとの戦闘では定石のはずなんだけど?」
――そして、感謝した。クラリットの知識がなければ、
「ラミールさん、そうなんですよ。ガリゲイオスはその定石からしたら例外と言えますね」
――俺はガリゲイオスを倒せなかっただろうから……。
俺はこの感謝の気持ちをクラリットに伝えたかった。あと、「これからもよろしく」という気持ちも。だから俺は今回の報酬を使って、クラリットにウマイ酒でも飲ませてやろうと思った。
「よし! 今日は俺のおごりだ。酒でも飲んで祝杯しようぜ!」
「僕は下戸なので! 遠慮します!」
~了~
~用語解説~
『大型モンスター大辞典』
大型モンスターの情報が載っている大辞典。大型モンスターと戦う前に読んでおくことが推奨される。モンスター研究家が発表した論文をまとめた書物であり、最新情報や信憑性の低い学説は載っていないことが多い。なお、大型モンスターは熟練のハンターでも討伐するのは大変で、ましてや研究などなかなかできるものではない。そのため、大型モンスターに関する情報を提供できる者は『モンスター研究学会』で優遇されることが多い。また、『大型モンスター大辞典』は世界中に配布される超有名な書物であるため、ここに自分の名前が書かれることは、モンスター研究家にとって大変名誉なことである。
『モンスター研究学会』
モンスターを研究している組織。これは人類規模の組織であり、『モンスターの迅速な討伐を可能にし、モンスターによる被害を最小限にとどめるために、最上級の知識を提供すること』を目的として活動している。主に、モンスターの生態や身体機能、特殊能力、弱点などを調べ、まとめている。また、『大型モンスター大辞典』のような書物の出版も行っている。
『モンスター研究家』
モンスターを研究する学者のこと。ほとんどが『モンスター研究学会』に所属している。小型モンスターや弱いモンスターに関しては、生きたまま捕らえて研究を行うことが多い。しかし、大型モンスターや強いモンスターの場合、生け捕りは難しいので、モンスターハンターに同行し、間近で研究を行うのが普通である。そのため、戦闘に巻き込まれて命を落とす研究家も少なくない。
『マサイ』
有名なモンスター研究家。
~どんなモンスターでも、マサイの前では丸裸~
という言葉があるくらい、モンスターに関する有益な論文を何個も発表した、知の偉人。特に大型モンスターに関する研究がすごく、『大型モンスター大辞典』に載っていることの7割はマサイが調べたことだと言われている。
『感謝』
最後まで読んでくれてありがとうございます。気が向いたら続編を書いて、シリーズ化しようかとも考えています。
ほんとうに、ほんとうにありがとう。