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第20章 壮大な何かを分かつ、強大な一撃
白い霧の中、ゆらゆらと揺れる若草。
ただあてもなく、さまよう。
その姿はどこか儚さを含んでいるように見えた。
「ビャッックショヨオオン!!!」
大きなくしゃみをする、大きなモンスター。
白い霧は、まるで人間に見つかったゴキブリのように四方八方へ飛散する。
晴れ渡る視界。
見えるのは、立派な鼻角ただ一つ。
「うぉおおおおおお!!」
巨剣が舞う。
巨剣が踊る。
その動きはまるで、生きているようだった。
生命の躍動感で溢れていた。
「ギャオォオォオオウウゥウゥウ!!!」
悲痛の叫びと共に、鼻角が宙に舞う。
その一撃は、
海と空を分ける水平線の様に
夕と夜を分ける赤と黒の幻想的なグラデーションの様に
私とあなたの心の様に
壮大な何かを分かつ、強大な一撃であった。