第19章 今度こそ……
「はっくしょん……うぅ、だいぶおさまってきたな」
くしゃみがおさまるのと同時に、牙の怒りもいつの間にかおさまっていた。まさに、クラリットの知識の勝利である。
「ところでさ、思ったんだけど、この『くしゃみ草』ってそこら辺に生えているんだろ? ならさ、この『くしゃみ草』を集めて、ガリゲイオスに吸わせてくしゃみさせれば、あの『魔霧』を払いのけることができるんじゃないか?」
牙はふと思いついたことを口にした。
「……牙さん…………ナイス作戦です」
「え!? ほんとに?」
牙は、「そんな作戦うまくいくわけないじゃないですか! 牙さんはほんとバカですね」みたいなことを言われて、バカにされるかもしれないと思っていた。しかし、実際のクラリットの反応は違った。
「いや、ほんとにナイスな作戦ですよ。先ほどの『ペイント』の魔法によって、霧は鼻角に向かって流れていることがわかりました。つまり、そこには“気流”が存在しているということです。その“気流”にうまく『くしゃみ草』を乗せることができたら、『くしゃみ草』は自動的に鼻角へと行き着くはず……そうと決まれば、牙さん、作戦開始です! 僕は『くしゃみ草』を集めるので、牙さんはいつでも攻撃できるように準備しておいてください!」
「おう! 今度こそ成功させよう!」
牙とクラリットはそれぞれの役割を確認し、行動を始めた。