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まのかん  作者: kishegh
導入
3/13

前話2


ある老齢の男性と、その孫娘の話。


「吸血鬼を知っているかい?」


「知っているよ」


「それじゃあ、吸血鬼とはどんな者だと思う?」


「怖いし、強い」


「そうだね、吸血鬼は強いし、とても怖い。それは確かな理解だ。それでは、逆に吸血鬼の弱点は何かな?」


「えっと、十字架?」


「そうだね、十字架は大きな弱点だ、他にも聖水やイコン、聖書の字句にも弱い。それに、陽光、銀、流れる水、ニンニク、香炉や網、麦や芥子の実にも弱いとされている。こうすると多くの弱点があるね」


「そう思う」


「それじゃあ、弱点の多い吸血鬼を倒すのは簡単かな?」


「ううん、思わない」


「その通りだね、吸血鬼は、弱点以上に多くの特技を持つ。身を霧や狼に変え、血を吸い、夜の闇を支配し、闇夜を飛ぶ。高い再生能力や様々な超能力を持っているね」


「催眠とか、後は…?」


「そうだね、催眠を掌る魔眼、死を齎す邪眼、そのほかにも呪術的な能力も持っている。多くの力と知識、そして不死ゆえの経験の蓄積、それらの全てが恐ろしい。しかしね、もっと単純に恐ろしい事がある。もっとシンプルな恐怖の理由があるのだよ。それは何だと思う?」


「分からないわ」


「それこそが恐怖なのだよ、理解できない、それこそが恐怖の根源だ。私達の理解に余る存在、想像を超える存在、人の形から思いつく全てを鼻歌交じりに超越する、それこそが恐怖なのだよ。空らが理解されてしまえば、それは既に恐怖の対象では無い」


「それは恐ろしい力よりも怖いの?」


「鉄をも引き裂く膂力、地を割る脚力、生命を瞬時に絶命させる純粋な暴力よりも、見えざる恐怖こそが恐ろしい。それは私たちの中にあるからだ」


「さっき仰ってた、いろいろな能力よりも?」


「私たちは多少知っているに過ぎない。対処療法のようなものだ、そう言った事があった、その対応ならば効果があった。それは確かに理解に繋がる物ではあるかもしれない。しかし、その根本は理解できないのだよ。何故血を吸う?何故そんなにも力が強い?何故様々な能力を持つ?そして」


「そして?」


「何故、死なない?何故、不死性を持つ?」


「それは?」


「なぜならば吸血鬼だからだよ。そう言うしか出来ない恐怖の存在、それが吸血鬼だ。説明がつかないからこそ恐怖足りえ、彼らは人類の怨敵なのだよ」


「吸血鬼は、理解できない恐怖の存在……」



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