イントロダクション
コロニー・バベル。
人類の最後の宿木にして、墓標。
西暦2054年、それまで信じられていなかった事柄が、一気に現実の物として、直接的な被害を受けうる問題として、我ら人類の面前へと出現した。
それまで幻想の産物でしかなく、人々が面白がり、憧れ、時に恐怖した存在が実体を持って顕れた。
化け物 化け物 化け物
異貌異形の魑魅魍魎 神出鬼没の鬼に霊 妖怪変化に悪魔に魔神
場所も時代も関係なく、主義も主張も関係なく、宗教も歴史も関係なく。
今まで幻想だった物、今まで夢幻だった物、今まで気狂いの戯言だった物が顕れた。
唐突に、不条理に迫り来る災害に、人類は壁を作りその中に逃げ込んだ。壁は高さを増し、厚さを増し、中の空間は上へ上へと伸びていった。
壁に支えられた歪な建築物。
天へと伸び行くバベルの塔。
しかし、その伸び行く先に天は存在しない。
空も、宇宙も、既に神話の空間になった。既に異貌の者の世界へとその姿を変えた。
宇宙では荒ぶる神々が舞い狂い。空では、有翼の魔が飛び交っている。
人類は、閉じた壁の中の世界と、その周辺のみを居住区に暮らしていた。
しかし、外へ広げる事は無く、天へと伸びるも限りがある。
地上から聳え立つ塔は、その地下にも伸び行く塔を形成していた。
地下層、そこを構築するのはあぶれ者、犯罪者、そして光の中を歩けぬ者達。