第36話:依頼は嘘をつく
少し歩くと、誠二たちは村の中央に近い場所に建つ大きな建物へとたどり着いた。
村人たちはそこを、当たり前のように「村長のところ」と呼ぶ。正確には集会所――村の寄り合いと取り決めの場だが、村長は普段ここで執務し、客人の対応も行っていたため、よそ者の耳には「村長の家」と同義に聞こえるのだろう。誠二も例外ではなく、最初から“村長宅”だと思い込んでいた。
周りの家々と造り自体はそこまで違っていない。丸太を組み、藁を重ねた屋根を載せる。どこにでもある田舎の建物だ。だがここだけは大きさが違った。横幅も奥行きも、他の家の二倍ほどはあるだろう。夜の闇に沈む村の中で、その影だけが太く、濃く、ひときわ大きい。
扉も特別だった。村の中ではおそらく唯一の両開きで、厚い板を鉄の帯で補強してある。湿り気を含んだ夜風に晒され、木は黒く鈍い艶を帯びていた。――ここが村の中心であり、寄り合いの場であり、村を束ねる“顔”なのだと、黙っていても伝わってくる。
そしてここへ来るまでの短い道のりで、誠二は村の状況を嫌でも把握してしまっていた。
子どもの姿は見当たらない。家の奥へ押し込められているのか、どこかへ避難させられているのか。大人たちは松明やランタンの明かりを手に走り回り、あれこれ確認作業を行っていた。倒れた柵を起こし、割れた窓に板を打ちつけ、怯えた家畜を落ち着かせる声が飛ぶ。
村の中央らへんにある広場では、負傷者が並べられ、簡易的な治療を受けていた。薬草を潰す青臭い匂いが風に混じり、血の鉄臭さと焦げた木の匂いが夜気の底に沈んでいる。呻き声に混じって、誰かが堪えきれず嗚咽する声がした。遠くで怒鳴るような指示の声も、かすれて響く。
そして今回の魔物の仕業か、それとも例のウルフドラゴンの仕業かは分からないが、家々には様々な傷がつけられていた。爪で抉ったような深い溝、牙でえぐられた木材の欠片、黒く焼け焦げた屋根の端。家によっては半壊しているところもある。
まさに悲惨な状況だ――この世界で「襲撃」が日常の延長にあるのだと、改めて突きつけられる。
誠二はそのまま流れのまま、両開きの扉に手を伸ばした。
――その瞬間。
隣からの声で、誠二は止められる。
「ねえ、誠二。入る前にちょっといいかしら?」
「構わないけど。どうしたんだよ」
ヴェンデッタは踵を返し、建物の正面から外れた暗がりへと歩き出した。深紅の外套が夜の闇を割り、揺れるたび暗い裏地が一瞬だけ閃く。誠二はその後を追い、薪が積まれた小屋の裏――壁と木材に音が吸われ、視線も遮られる場所までついていく。
幹の太い木が一本、影の奥に立っていた。枝葉は暗い天蓋みたいに頭上を覆い、星は雲に滲んで光が頼りない。ヴェンデッタは周囲を一度だけ見回し、誰もいないと確かめると、声を落として口を開いた。
「今回のこのクエスト。おそらく魔王軍がらみよ」
「……魔王軍」
魔王。誠二にとっても聞き馴染みのある言葉だ。
ただし、それはゲームや物語の中の、遠い存在としての“魔王”。だが真面目な顔で言われるとなると別だった。冗談ではないことは、目の前の少女の表情が物語っている。
「魔王ってあれだろ。世界を征服しようとする悪い奴、みたいな?」
「大体そんな感じ。詳しい説明が省けて何よりだわ」
「あくまで俺が知ってるのはゲームとか物語に出てくる存在だ。でも……この世界にはいるんだな。魔王が」
「ええ。かれこれ数十年も魔王軍との戦争は続いてるわ」
誠二の顔にも影がかかる。魔王がいるということは、現状――自身を含めた人間は、魔王との戦争中だということ。そのただなかに立たされている現実を前に、不安を隠せるほど誠二は強くない。背中の奥がじわりと冷える。村の呻き声が、急に生々しく耳に刺さった。
「そして……前に見せた地図にあったと思うけど、クラフト王国付近の湿地帯に魔王軍の小規模基地が最近できたみたいなの」
「……湿地帯……って、ここのすぐ近くじゃねえか!?」
誠二が思わず声を上げた、その直後。ヴェンデッタはほんの僅かに視線を落とし、夜風に言葉を溶かすみたいに続けた。
「ここからが重要なんだけど。実はクラフトの冒険者ギルドは、クラフトギルド総動員で近日中にその基地を襲撃しようとしているの。私もそのクエストに参加する……いえ、なんならそのメンバーの中では、多分一番の戦力でしょうね。自画自賛だけど」
その言葉を聞いて、誠二の頭が高速で回転する。ヴェンデッタが来たのを見計らったかのようなタイミングの良すぎる魔物の襲撃。そして現状。
(相手がギルドの動きに気づいているなら……いや、“気づいている”前提で先に動いた可能性だってある。俺やフレッド、シェーナみたいな弱小冒険者を気にする理由はない。狙う価値があるのは――ヴェンデッタ。しかもここには逃げ場のない村人が大勢いる。戦争の空気が濃くなるほど、人は縛りやすい。脅しやすい。動きを止められる。なら――)
結論が、嫌になるほど自然に落ちてきた。
「……村の人たちは、実質的な人質ってわけだな?」
ヴェンデッタはほんの一瞬だけ瞳を細めた。否定しない。その沈黙が答えだった。
「貴方は話が早くて助かるわ」
しかし誠二の頭にもう新たな疑問が生まれてしまった。目の前の少女に対する、一種の不信感だ。
「……どうして、そんな大事なことを教えてくれなかったんだ」
「ごめんなさい。内心、貴方のことを信用しきれてなかったのよ」
彼女の表情が暗くなる。申し訳なさなのか。しかしどこかつらそうな表情。何故だか誠二の胸はキュッと締め付けられるような感じがした。
「いいさ。つまり、今は信用してくれたってことだろう」
場の空気を少しでも良くしようと、誠二はにこりと作り笑顔を作って見せた。
ヴェンデッタはそれに返事をしない。けれど一度だけ、目を伏せて――ほんの僅かに、息を吐いたように見えた。
「……話は以上。ここから先は他言無用ね。村人達に無駄な心配はさせたくないし、パニックでも起こされたらその方が厄介よ」
「分かった。気を付ける」
ヴェンデッタは確かめるように誠二の目をじっと睨み、ひとつ瞬きをする。次の瞬間には、いつもの鋭くも可愛らしい目に戻っていた。
彼女は踵を返して扉の前へ戻り、ギギッ、と蝶番が呻く音を立てて開けた。
扉の先からオレンジ色の光がぱあ、と漏れ出した。夜闇に目が慣れていたせいで、いやに明るい。誠二は反射的に目を細め、何度か瞬きを繰り返す。慣れてくると、匂いが鼻をくすぐった。薪の甘い煙、煮出した薬草、汗と土の混じった“生きている人間の匂い”。
内装は意外にも質素だった。壁には農具と縄、乾燥させた薬草の束がかけられているだけ。別の部屋へ続く扉がいくつかあるが、開くとすぐそこが広間――というより寄り合いに使われる集会所のような空間だった。
大きな木のダイニングテーブルを囲うように木の椅子が配置され、そこにはもう三人が着席している。うち二人はフレッドとシェーナ。――どうやら二人は先に村人に案内され、ここで待つよう言われていたらしい。もう一人は黒い口髭を蓄えた壮年の男性だった。
男は入ってきた二人の顔を見ると、すっと立ち上がり、流れるように深々と頭を下げた。
「すまなかった。クラフト王都からわざわざご足労頂いたというのに、休む暇も与えられず……突然のことだというのに村を救っていただき、どう詫びればよいか」
しばし、場に静寂が落ちる。
フレッドとシェーナも、あの状況で動けなかった申し訳なさからか黙ってしまっている。誠二がヴェンデッタの顔を覗き込むと、彼女はどことなく面倒くさそうだ。誠二と目が合うと「あなたに任せた」とでも言うように顎を軽くしゃくった。
いやいやながらも誠二が言葉を返す。
「えっと……どうか頭を上げてください。こちらも依頼を受けた身であり、そちらは俺たちの守るべき対象です。そのためであれば、疲れていようが戦いますよ。むしろ怪我人が出てしまったようで、力不足で申し訳ない」
誠二の顔が一瞬でひきつる。――やってしまった。相手が謝っているのに、こちらも謝ったら余計に追い詰める。慌てて言葉を継ぐ。
「そ、そう! 怪我人だけで済みましたかね? 重傷者は」
畳みかけるような早口に、男は顔を上げる。
「死者は出ておりません。むろん怪我人がゼロというわけではありませんが……それでも冒険者様たちのおかげです」
「それなら本当に良かった。でも例のウルフドラゴンは、まだ倒せたわけじゃないんでしょう?」
そこでヴェンデッタが、さらりと会話を奪った。
「謝る時間よりも、急いで情報共有を行った方がいいんじゃないかしら?」
鮮やかな転換。誠二は顔を引きつらせながらも、それを成立させた自分の流れに内心驚く。男も一瞬固まったが、すぐに頷く。
「そ、それもそうですね。ではこちらへ座ってください」
男はフレッドとシェーナの反対側の席を手で示した。ヴェンデッタの目が一瞬誠二と合う。彼女は目と口元を軽く緩ませて鼻を鳴らした。――やるじゃない、とでも言うように。
促されるまま席につく。上座に男、その前に四人が揃った。
目の前のフレッドは動けなかった罪悪感からか目を合わせてくれず、シェーナに向けた視線も例外ではない。これは後でしっかり話す必要がありそうだ、と誠二は思う。テーブルの木目には古い傷がいくつも走り、誰かが慌てて椅子を引いた跡が床に生々しく残っていた。
「それじゃあ、先ほどの魔物の件はいったん置いておいて。例のウルフドラゴンについてから、まずは教えてもらおうかしら」
ヴェンデッタの言葉に、男はゆっくり頷くと、一度全員を見渡し、一拍置いて話し始めた。
「まず初めまして。私は村長代理のサイモンと申します。此度皆さまをお呼びしたのも、私でございます」
「村長……代理?」
誠二の口から、引っかかった部分がほろりとこぼれた。その瞬間、サイモンの眉間に若干の皺が寄る。
「はい、代理でございます。村長は……先のウルフドラゴンの襲撃にて命を落とされました。……あいつにも娘がいるのですが……いえ、この話は今はいいですね」
苦虫を噛み潰したような顔。それでもサイモンは、喉の奥から絞り出すように続けた。
「五日前。ウルフドラゴンが、このボックス村を囲う森から突如現れ、この村を襲撃したのです。村への被害は少なかったものの――侵入したウルフドラゴンは一直線に村長の家へ向かい、一噛みで村長の命を奪いました」
室内の空気が一段重くなる。ランタンの火が揺れ、壁の影が歪んだ。
「そして村長を食い殺したウルフドラゴンは、満足したのか飛び去って行きました。私は丁度、来期の植え付けの会議で村長と二人でいたため……その一部始終を見ていました」
「その一件から、魔物が村周辺をうろつくようになり……なにが原因なのか、我々では分かりません。どうか冒険者の皆様には、この一件を解決していただきたいのです」
――沈黙が落ちた。
ヴェンデッタは考えをまとめているのか、腕を組んだまま目を閉じる。フレッドはうつむきながらも、状況を整理しようと真剣な眼差しを崩さない。誠二は口元に手をかざし、息を殺して思考をまとめていた。
そんな中、シェーナが膝の上で指先を絡めたまま、恐る恐る口を開いた。
さっきまで机の傷を数えていた視線が、今はサイモンとヴェンデッタの間を行ったり来たりしている。息を吸って、吐いて――それでも声が出るまでに、少しだけ時間がかかった。
「……あ、あの……ちょ、ちょっと……すみません……」
自分でも驚くほど小さな声だった。途中で消えてしまいそうで、慌てて言葉を繋ぐ。
「わ、わたしたちが……ギルドで受けた依頼は……『ウルフドラゴンの討伐』って……聞いていて……。で、でも……今のお話だと、その……討伐、じゃなくて……原因を調べて……解決、っていう……こと、なんですよね……?」
サイモンの表情が目に見えて強張った。口髭の下で唇がわずかに震える。
「……申し訳ございません」
彼は深く頭を下げた。椅子に座ったままなのに、背中が折れるほどに。
「こちらからギルドへ送った使いが、正確に状況を伝え切れなかったのでしょう。……あるいは私が、焦りのあまり、討伐とだけ言えば人員が来ると思って――」
「サイモンさん……」
「卑怯な真似をしたつもりはありません。ただ……この村は、もう時間がなかったのです。村長が殺され、森から魔物が出るようになり、夜ごとに恐怖が増していく。――頼れるのは冒険者ギルドしかない。そう思うほど、追い詰められていました」
謝罪は弁明であり、懺悔だった。シェーナはそれ以上言えなくなる。自分が責めたみたいに聞こえただろうか、と胸の奥がひゅっと縮む。
そこでヴェンデッタが目を開いた。
「事情は理解したわ。依頼の表記が討伐になっていたことは問題だけど、今は責めても意味がない。
――大事なのは原因を突き止めて、被害を止めることよ」
淡々とした口調なのに、場の空気が締まる。サイモンは何度も頷いた。
「……はい。話せる限りのことは、すべてお話しします」
誠二が別の疑問を口にしかけた、その前に。
珍しく、フレッドの方が先に顔を上げた。眉間に力が入り、弓を引くときみたいに視線が一点へ収束する。
「……でも、どうしてウルフドラゴンは一直線に村長宅へ行ったんすかね?」
サイモンは唇を噛み、首を横に振る。
「分かりません。森から現れて迷いなく……まるで“最初からそこだ”と知っているように」
「獣が家を選ぶことはあります」
フレッドは淡々と続ける。
「匂い、音、光。だが“一直線”ってのは変です。縄張りの偵察も、獲物の選別もない」
ヴェンデッタが顎に指を添え、少しだけ目を細めた。考えているように見せながら、結論だけを軽く置く。
「単純に運が悪かったんでしょう」
それは答えになっているようで、何も答えていない言い方だった。サイモンはその言葉に縋るように、曖昧に頷く。
「……そう、かもしれません。村長の家は村の中心に近い。目立ちますし……」
けれどフレッドは引き下がらない。喉の奥で何かを噛み殺し、声を落としながら、言いかけた。
「……もしかして、裏に魔王軍――」
「……なあ、さっきから“村長の家”って言ってるけど」
誠二が、わざと被せるように割って入った。
空気を切り替えるように、わずかに明るい調子を作って。
「この建物のことじゃ、ないんですか?」
フレッドの言葉の続きは、そこで綺麗に飲み込まれた。
サイモンは一瞬きょとんとし、それから慌てて首を振る。
「いえ。ここは集会所です。村長は普段ここで執務していたので、村人は『村長のところ』と呼ぶのです。……ですが、村長の私宅は別にありました。そして――その私宅が、襲われたのです」
続けてシェーナが、恐る恐る聞いた。
「あの……村長の娘さんは……」
「いえ、生きていますよ」
言葉の先を察して、サイモンは答えを返した。シェーナの顔が僅かに緩む。だがサイモンは少し間を置いて続けた。
「ですが、その際のショックか、いまだ眠りから覚めず……今は奥の部屋で眠り続けています」
ようやくヴェンデッタが口を開く。
「今回のクエストは、ウルフドラゴンの討伐ではなく――ウルフドラゴンを含めた、この村を襲う魔物の原因調査。そして解決。でいいのよね?」
サイモンは力強く頷いた。
「はい。……どうか、お願いいたします」
「……分かったわ。正式にこのクエストを受ける」
その一言でサイモンの顔が一気に明るくなる。安堵からか目頭がきらりと光った。言葉が出ないのか、それでも思いを伝えるため、深々と頭を下げる。
ヴェンデッタは淡々と条件を提示した。
「ただ、いくつか条件があるわ。まず、うちの御者の馬がやられた。ギルドへの状況報告などのためも含めて、この村の馬を一頭貸して。……そして新しい馬車が来るまで、さらに時間がかかる。だからクエストの日程を三日から五日に伸ばすわ。その分の追加報酬も払ってもらう。良いわね?」
誠二は一瞬「追加報酬なんて」と思いかけたが、すぐに飲み込んだ。ヴェンデッタが無意味な要求をするはずがない。取引にすることで、相手に余計な負い目を背負わせず、ギルドの信用も守る。――そして何より、これから“強襲”が控えているなら、正規の手順で動くこと自体が武器になる。
「は、はい! その程度でよろしければ。よろしくお願いいたします」
サイモンは勢いよく椅子から立ち上がり、ヴェンデッタへ手を差し出した。
ヴェンデッタも立ち上がり、手袋を外す。白い小さな手が露わになり、サイモンの手を優しく握る。
そして一度だけ、軽く手を振った。
――この場に、正式なクエストが結ばれたのである。
サイモンは手を離すと、すぐに背筋を正した。安堵の余韻を振り払い、今やるべきことへ意識を切り替える顔になる。
「……では、まず現場をご覧ください。村長の私宅……いえ、残骸を」
その言葉に、誠二の胸が嫌な形で鳴った。
サイモンに先導され、四人は集会所を出る。扉を閉めると夜の冷気が容赦なく頬を刺した。外ではまだ、瓦礫をどかす音、家畜の鳴き声、泣き止まない子どもを宥める声が途切れず続いている。村は生きている。だが、その息づかいが痛々しい。
数十歩も歩かないうちに、サイモンが足を止めた。
「……こちらです」
そこにあったのは、“家”と呼べる形ではなかった。
上から潰されたかのように屋根も梁も押し込まれ、建物はぺしゃんこになっている。木材は折れ、土壁は砕け、濡れた土と埃が混じった臭いが立ち上っていた。かろうじて残る壁も弱々しく斜めに傾き、今にも倒れそうに夜の闇へ影を落としている。
そして、その弱々しい壁には――月明かりでも分かるほどの大きな爪痕が、深く刻まれていた。一本、二本ではない。獣が力任せに抉ったような溝が縦にも横にも走っている。まるで“ここを壊す”こと自体が目的だったかのように。
誠二は息を呑む。喉の奥が乾いて鳴った。
ヴェンデッタが静かに残骸へ近づく。靴先で砕けた木片を避け、視線だけで傷をなぞる。
「……なるほど。これは、ただの襲撃じゃないわね」
サイモンは拳を握り、震える声で言う。
「ここで村長は……」
言いかけて、彼は黙った。言葉にした瞬間に崩れてしまうのだろう。
夜風が吹き、倒壊した木片がかすかに鳴った。
その音は、どこか遠くで笑う何かの気配にも聞こえて――誠二は無意識に拳を握りしめた。




