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泉下町には  が居る。  作者: 二階堂曉


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第4話 「夜道」

八千流の家に泊まってから3日が経った、叔父さん達は1週間程旅行に行っている。お世話になるので電話した所「遠慮しないで好きなだけ居なさい、君は僕にとって息子も同然だからね。それに八千流も隆也君の事を」叔父さんが何か言おうとしていたが八千流が慌てて電話を取り上げたので聞こえなかった。


「ただいまぁ~今日も疲れたよ」八千流が部活から帰って来た。


「おかえり、風呂と夕飯準備できてるよ」隆也が出迎えながら言った。


「ありがとう!先にお風呂入ってくるね」八千流が2階の部屋へと駆けていく。隆也はキッチンに戻ると夕飯に作ったビーフシチューをよそぐ。


昔良く祖父が作ってくれた料理で、とても美味しく何度もおかわりをせがんだ記憶がある。


「お風呂上がったよ、美味しそう!食べようよ隆也!」


風呂から上がって私服に着替えた八千流が席に着く。


「じいちゃんのビーフシチューに比べるとまだまだだけど食べてみてよ」隆也に促され八千流が手を合わせて「頂きます!」と元気良く言いながらスプーンですくって食べる。


「どうかな?」隆也が聞くと八千流が目を輝かせながら「美味しいよ!肉が口の中で溶けて広がるし、ルウ自体も甘味が食べやすいよ!」八千流に褒められ隆也も自然と笑顔になる。


「良かった、おかわりもあるから沢山食べてよ」


二人は楽しく談笑しながら夕飯を食べた。


「毎日御飯とお風呂の準備ありがとう!私1人だと全部適当になっちゃうからさ」八千流が食器を流しに持ってきながら言った。


「泊めてもらってるしこれくらいしないとね、それに八千流も試合近いだろう?俺に出来る事なら何でも手伝うよ」俺が言うと八千流が少し頬を染めながら「隆也のそう言う所好きだよ」そう小さく呟いた。


「何か言ったか?」隆也が不思議そうに聞き返すと。


「何でも無いよ!?それじゃあ私2階の部屋に居るから何かあったら呼んでね」八千流が慌てながら自室へと戻った。隆也が寝泊まりしているリビングで寛いでいると。


「隆也、一緒に映画見ない?」八千流がプロジェクターを持って降りてきた。


「良いね、おすすめはある?」隆也が聞くと八千流がサブスクの中から映画を見せる。


「これ最近流行ってるんだ」見るとR指定のホラー映画だった、タイトルは「ハッピー・ハッピー・キルフォーユー」殺人鬼ハッピー・スマイルと呼ばれる青年に同級生の女子大生3人が惨殺されると言った内容だった。


「八千流、本当に見るのか?スプラッター苦手だったろう?」隆也が聞くと八千流が笑顔で返す。


「1人なら無理だけど今は隆也が一緒に居るでしょ?それにもし怖くて寝られ無くなっても隆也が一緒に寝てくれるでしょう?」八千流が冗談っぽく言う。


「八千流は昔から怖がりだからなその時は一緒に寝てやるよ?」隆也が言うと八千流が鳩が豆鉄砲を食らったように黙る。そして一気に顔を赤くする。


「どうした?顔赤いけど」隆也が聞くと八千流が慌てて話を変える。


「そ、そう言えばせっかく映画見るんだしお菓子とか欲しくない?私買って来ようか?」


「流石に女の子1人で行かせる訳に行かないよ、代わりに俺が行ってくるから待っててよ」隆也が八千流に言うと「え、う、うん待ってるよ気を付けてね」八千流がそう言って静かになった。


隆也が家を出ると辺りは寝静まっているのか、周りの家の電気が消えていた。八千流の家は住宅街で周りに家が立ち並んでいる、道には街灯が立っていて夜でも見えやすいようになっていた。


隆也は近くのコンビニまで歩いて行く事にした、コンビニは住宅街を抜けて商店街を抜けた先にあり、家から大体歩いて20分程掛かる。


「この街も随分と寂しくなったな」商店街のシャッターの下りた店舗を見ながらしみじみと呟く。隆也の子供の頃まで泉下町の商店街には沢山の店舗が立ち並び夜でもそれなりに活気づいていた。だが年々住人の高齢化やそれに伴う町の観光業の衰退が重なり店を閉める人が増えた。今では全盛期の半分程に落ち着いており、昔の様な活気は無くなってしまった。


商店街を抜けてポツンと一軒だけ建つコンビニへと着いた。「いらっしゃいませ」やる気の無いバイトの店員が出迎えてくれた。


「八千流の好きなお菓子はあるかな?」隆也は八千流に頼まれたお菓子とジュースを買い込み店を出た。


「こんな量食えるのか?でも八千流なら全部食べそうだな」隆也が1人笑いながら歩いていると。


「ミャぁ〜オ〜」背後から猫の鳴き声が聞こえた。


「猫でも居るのか?」隆也が振り向うとした時だった。


「振り向くかな?見るかな?」「こっちを見ろよ?直ぐだよ?」ヒソヒソと話す声が聞こえ振り向くのを止めた。これは関わってはいけない隆也は心の中で呟くとそのまま歩き出した。


「だめだったね?何でかな?」「もしかして聞こえてるのかな?」「だとしたら、振り向かせないとね?」ヒソヒソ話が今度はハッキリとそれに人数が増えた。


「すいません、道を聞きたいのですが?こっちを向いてくれませんか?」今度は女性の声でそれは話し掛ける。


「聞こえてるんでしょ?無視しないでよ?」今度は幼い子供の声で言ってくる。


隆也は恐ろしくなり走り出した。「走っちゃったよ、怖がらせたかな?」「そんなつもりじゃないのにね?」


声が遠ざかるまで隆也は必死に走った。


「逃げられたか」隆也は息が上がりながらも住宅街まで来ていた。さっきの声は聞こえてこない安堵して八千流の家に歩き出した瞬間。


ジリリリリリ!ジリリリリリ!ジリリリリリ!と昔の黒電話の様な音が鳴り響いた。隆也が焦って音の原因を探すと。音はスマホから出ていた。恐る恐る画面を見ると宛先の無い着信が来ていた。直ぐに着信拒否を選択するが。


着信を拒否できません、着信を拒否できません、着信を拒否できません、着信を拒否できません、着信を拒否できません、着信を拒否できません、着信を拒否できません、着信を拒否できません、着信を拒否できません。


何度やっても切ることが出来なかった。隆也は急いで電源を落とす。するとさっきまで鳴り響いていた電話の音が止んだ。


止まったか、隆也が再び安堵するとジリリリリリ!ジリリリリリ!ジリリリリリ!ジリリリリリ!と再び鳴り響く。隆也は意を決して応答した。


「いい加減にしろ!俺に付きまとうな!」隆也が叫ぶと電話口から声が聞こえる。


「付きまとうなだって」「やっぱり無視してたんだ」「酷いな僕達は少しお話したかっただけなのに」複数の声がそれぞれ話す。そして最後にこう聞こえた。


「君の後ろに居るよ?」


隆也が恐る恐る振り向くとそこには、、、


「「「「「やっと見てくれたね?僕達はただ夜道には気を付けた方が良いよって教えたかっただけなんだ。アハハハ!アハハハ!アハハハ!アハハハ!アハハハ!アハハハ!」」」」」


隆也の居る場所から3メートル程離れた場所で背の高い男が立っていた。その姿は異様で目の焦点の合っていない顔、女物の白いワンピースを着ている。そしてワンピースのしたの身体には老人、子供、若者、中年、動物と言った。無数の顔が一斉にこちらを見て笑っていた。


隆也はこの怪人をみて恐怖から声が出ないでいた。するとさっきまで目の焦点が合っていない男がふと我に返り言った。


「助けて、助けてくれ!コイツラが毎日俺の頭の中に話し掛けてくるんだ!助けてくれ!」男が叫ぶと身体の顔達が無表情で一斉に男の顔を見つめる。


「あ~あ、僕達の悪口言うんだ?」「いけないわね」「全く近頃の若い者は礼儀を知らんな」「フーシャァー!」「これは罰が必要だな」「また教育しないとね」


顔達が一斉に話し出すと男が立ち上がり奇声を上げながら走って行った。「俺が悪かった!だから頼む!もう俺の頭の中で喋らないでくれ!お願いします!許してください!」男が走り去るのを見て。隆也は必死に走り出し帰った。


「おかえり隆也、映画見よ?」何も知らない八千流が優しく笑い掛ける。


「ごめん八千流、今日一緒に寝てくれないかな?」


「え、ええ!?ど、どうしたの?」


「ちょっとさっき変な奴に絡まれてさ、思い出したら怖くなっちゃって今日は誰かと居たいんだ。」


「それ本当に大丈夫?警察とか呼ばなくても良い?」


「もう居なくなったから大丈夫だよ、それより映画観ようよ出来れば他のやつ見たいな」


「う、うん良いよ今晩は私が居てあげるからね」


あの男は何だったのだろう、俺はその日を境に夜道を歩くのが怖くなった。


第4話 完 第5話に続く。




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