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第2話 「八重倉先輩はそこに居る」

「隆也帰ろうぜ」翔也が俺の肩を組言ってくる。


「八千流は?」もう1人の幼馴染を探す。


「八千流は今日部活で遅くなるってよ、あいつちっこいのにバスケのレギュラーだしな」


「そうか、実は俺も今日図書委員の仕事があるんだ」


「お前もかよ~仕方ねえな俺は一人寂しく帰るよ」


翔也は少しがっかりした様子で帰って行った。


俺は荷物を纏めると直ぐに図書室へと向かった。


「これで終わりかな」本の整理を終えて帰りの支度をしていた時だった。


「君、ちょっといいかな?」突然声を掛けられたので声のする方に向かった。声の主は本棚に隠れた机の方に居た。


「あの、俺に何か用ですか?」見るとショートヘアーで眼鏡を掛けた女子生徒が居た。


「ちょと退屈しててね話相手になってくれないかな?」隆也は少し首をかしげながら言った。


「それなら帰れば良いんじゃないですか?」


「冷たいなあ、今日は帰りたく無いんだよそれに君2年生でしょ?私3年だから先輩の言う事を聞いてよ」


隆也は呆れつつも話に付き合う為席に着いた。


「自己紹介からだね私は八重倉京子(やえくらきょうこ)、八重倉先輩って呼んでね」八重倉先輩が笑顔で言った。


「俺は船戸隆也(ふなとりゅうや)です」隆也も先輩に自己紹介する。


「宜しくね後輩君それじゃあ後輩君の話を聞きたいな」隆也は八重倉先輩にこの前聞いた翔也の話を披露した。


「それで?その人はどうなったの?」


「さあ、友人から聞いた話なのでそれよりも今度は先輩の話を聞かせてくださいよ」隆也が言うと八重倉先輩も語り始めた。


「今から2年前この学校で自殺があったの」先輩は雰囲気全開で話し出した。


その自殺した生徒はイジメを受けていたきっかけはただ気に入ら無かっただけ、そんなくだらない理由で毎日理由のない暴力や無視挙げ句の果てには性的な暴行も行われていたと言う。生徒は教師に相談したが教師は自分の評価が下がるのを恐れ助けるどころか学校側に報告する事もなく黙認していた。


やがて生徒は遂に耐えられなくなり図書室で自ら首を切り裂き死んだ。現場は血痕が広がっており丁度生徒の身体を中心に広がり大輪の花の様になっていたと言う。事件後学校側は加害生徒と隠蔽した教師を刑事告訴し生徒は全員懲役5年の実刑、教師にも殺人教唆と隠蔽の罪で懲役15年の実刑を言い渡されたと言う。


「それじゃあそいつらはまだ堀の中にいるんですか?」そんな凄惨な事件があった事を聞き隆也は言いようの無い憤りを感じていた。


「それが不思議な事にね加害生徒達はそれぞれ少年院で壮絶なイジメにあって死んだり、死んだ生徒が来るから助けてくれ!って叫び出して精神病院送りと全員不幸になってるらしいよ」八重倉先輩が何処か嬉しそうに言った。


「それじゃあ、教師はどうなったんですか?」隆也が聞くと先輩がこっちを見て言った。


「アイツは只では殺さないよ、一生苦しんで死んでくれなきゃね。そして死んだ後も先に逝ってる連中と同じ様に永遠に苦しんでもらうよ」先輩はそう言うと冷たく微笑んでいた。


「今日はありがとうね後輩君とても有意義な暇潰しだったよ」八重倉先輩が席を立ちながら言った。


「先輩一つ聞いてもいいですか?」


「なんだい?」先輩が隆也を見つめながら返答する。


「もしかして今の話は先輩の事なんですか?」隆也が聞くと静かな沈黙が流れる、隆也は唾を飲みながら先輩の返答を待って居た。


「そうだよって言ったら、後輩君はどうするの?」


先輩が優しいが何処か鋭い口調で返答する。先輩は後ろを向いていて表情が見えない。隆也は勇気を出して答えた。


「俺、許せないんです人の命をもて遊ぶ奴らが、なんで下らない事で人を攻撃出来るのかさっきの話を聞いていて上手く言えないですけど、何だか納得いかないんです」隆也が自分の思いの丈を伝えると。八重倉先輩が静かに振り向く。


「ありがとう、優しいんだね後輩君」先輩は静かに涙を流しながら消えた。隆也はその後手を合わせると図書室を後にした。


1週間後、、


「隆也!一緒に帰ろうぜ!」翔也がいつもの様に誘う。

「ごめん今日も図書委員の仕事があるんだ」隆也はまた謝る。「え〜じゃあ今日は翔也と二人なの?」八千流ががっかりした様に言う。


「俺じゃ嫌なのかよ!?」翔也がわざとらしくリアクションする。


「だって翔也何時も変な話ばっかりするじゃん」八千流が腕を組みながら言う。


「なんだよせっかくこの前の試合の打ち上げに何かご馳走しようと思ったのによ」翔也が何気なく言う。


「本当に!それを早く言ってよ!それなら話は別ね早く行こうよ!」八千流がさっきまでの態度を変え教室から出る。


「相変わらず現金な奴だな、それじゃあ隆也終わったら来いよ?お前も居ないと盛り上がらないからさ。」


「分かった終わったら連絡するよ」


二人で話していいると八千流が割って入る。


「そうよ!今日は翔也の奢り何だから隆也も来てよね?」


「おい!おい!流石に3人分は無理だぞ!隆也悪いけど今回は八千流の分だけ奢らせてくれ」翔也が手を合わせて頼むをのを見て隆也は笑いながら「分かった」と返答する。そして二人は和気あいあいとしながら帰って行った。


「これで終わりか意外と早く終わったな」図書委員の仕事を終え翔也にメッセージを送るすると翔也から写真が送られてきた。そこには可愛らしい笑みを浮かべながら大きなパフェを食べる八千流が写っていた。


「行こうかな」帰支度をして教室を出ようとすると。


「後輩君、今日は忙しいかな?」聞き覚えのある声が聴こえた。振り向くとそこには可憐な笑みを浮かべた八重倉先輩が居た。


「先輩?成仏したんじゃないんですか?」


「冷たいな、また君の話が聴きたくて戻って来たのに嫌だったかな?」先輩が眼鏡を傾けながら上目遣いで言った。


「俺の話で良ければいくらでも聴かせてあげますよ」


「それは良かったよそれじゃあまた聴かせてくれるかな」先輩は夕日に照らされながら歩いて行く。俺は翔也に「遅れる」と一言送り、先輩の待つ机へと向かった。


第2話 完 第3話に続く。


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