光の剣聖VSアブソリュート
「待っていた! 待っていたぞ! ヴィラン・アーク‼︎」
レオーネ王女を待っているはずの剣聖が襲い掛かったのはなんの因縁もない人物。その場に同行という形で居合わせていたアブソリュート・アークだった。
「あの時の借りを今返そう! 俺と闘え! ヴィラン・アーク‼︎」
「――人違いだ」
剣聖の凄まじい剣戟を咄嗟に抜剣し受け止める。暫しの間ジリジリと鍔迫り合いが続く。
(彼奴、今ヴィラン・アークって言ったか⁈ 私の父が剣聖と因縁があったのか。それに借りを返すって一体どれほどの恨みを買っているんだ?)
アブソリュートは内心でここにいない父に毒づく。
ヴィラン・アーク――アーク公爵家当主にして、ライナナ国の闇組織を束ねる悪の長。
今は落ち着いているが若い頃は近づく者すべてを傷つけるような残虐な振る舞いで大層恐れられたそうだ。
アブソリュートが知る限りでもいくつかそう言った話がある。
――訪れた戦場で敵味方問わず殺し尽くし、最後に立っていたのはヴィラン一人だけだった。
――ある貴族の家を襲撃、屋敷を破壊し尽くしたあと令嬢を攫って手籠にした。
――敵対する貴族の当主だけに収まらず、その後継まで虐殺した。
などとエピソードに事欠かない男なのだ。
恨まれているのは慣れているが、父の業が息子であるアブソリュートに振ってくることを理不尽だと感じる。だが剣聖がアブソリュートを標的にするのは好都合だ。
これでレオーネを守ることができるからだ。
アブソリュートは鍔迫り合いをしている剣聖の刃を自身の剣で受け流した。一瞬力のいき場をなくし体幹が揺らいだところをアブソリュートが蹴りで身体を吹き飛ばす。
「ぬぅっ!」
剣聖は吹き飛ばされるも空中で体勢を整えて着地した。
「剣聖ともあろう者が不意打ちとはな。一度死んでプライドもなくしたか?」
「さすがだヴィラン・アーク。さぁ、次はお前からこい!」
「……やはり会話は成り立たないか」
光の剣聖は既に死んでいる。
目の前の男は奴の妄執の塊が死体に宿ったに過ぎない。
(哀れだな……)
アブソリュートはただ己の未練だけが残った妄執の化身となった剣聖を哀れに思う。
相手はかつての救国の英雄。
生前には多くの民を救い人々に希望を与えた偉大な人物だ。
その死後がこうして穢されていいのか?
誰よりも矜持を大切にするアブソリュートには、今の剣聖の姿は見るに耐えなかった。
原作では勇者の聖魔法によって浄化できたが今はそれほどの使い手はいない。
ならば――
私が彼の未練を晴らして解放してやらねばならない。
アブソリュートは剣聖をアンデッドに変え、誇りを穢した敵を絶対に許さないと誓う。
(『カラミティ・ノワール』決して楽には死ねんぞ)
「私が地獄に送り返してやる、いくぞ! 剣聖アイディール・ホワイト!」
「ヴィラン・アークゥゥゥゥ」
両者が一斉に駆け出し再び闘いが幕を開けた。
◇
火花が飛び散るほどの激しい剣戟の応酬。
厳しい研鑽と苦悩の末に磨き抜いた師から繰り出される大技の数々。剣聖はかつてレオーネが憧れたソレを出し惜しみなく披露していく。
周りにいる騎士達はこの攻撃が街に被害を及ばさないように内側からの攻撃を防ぐ風属性魔法【障壁】を貼りながらこの闘いを見守る。
同じ剣を使う者ならば彼が使う技がどれほど凄いか理解できるからだ。
打ち込んだ剣を一瞬で反転させて二回切ったように錯覚させる剣技【暗転】。
繋ぎ目が分からないほどに完成された二十連撃【二重】。
刃に魔力を乗せて斬撃を飛ばす【染め尽くす白】
繰り出される達人技の数々に騎士達は魅せられた。
レオーネはその姿を見て涙が流れた。
「本当に……先生が待っていた相手は私ではなかったんですね」
レオーネの心の中に僅かに嫉妬の炎が灯る。
どうして私じゃないのか――
私の先生なのに――
だが、レオーネは己の醜い感情に蓋をした。
弟子なら二人の戦いを見届けよう。
先生の最後を目に焼き付けよう。
そう思ったからだ。何より、気持ちを抑えた理由もある。
アブソリュート・アークは剣聖の技をすべて見事に受け切ってみせている。
いくらアンデッドになって繊細さが欠けていても先生のあの剣技は脅威だ。レオーネであってもあれを受け切るのは難しいだろう。
それをアブソリュート・アークは初見にも関わらず無傷で受け切っているのだ。
驚くべき反応速度。
アブソリュート・アーク。やはり彼はかなりの実力者だと再確認する。
疑問なのが、彼が一向に反撃しないことだ。ただ受けるだけで一度も攻撃せずまるで剣聖のすべてを引き出そうとするかのような戦い方だった。
自身ではこうもできないだろう。
レオーネは二人の戦いを剣士として羨ましく思いつつも、やはり最後は私が相手をしたかったとわずかに嫉妬した。
♢
アブソリュートは相手からすべてを引き出すように闘っている。なぜならこれは単純な勝負ではなく言うなれば心の戦いだからだ。
剣聖の身体はアンデッド、破壊しても再生し体力の概念がないゆえ際限なく動き続ける。
つまり、今の剣聖は殺せないのだ。
アブソリュートがとった行動は相手のすべてを受け切り、格の違いを示したのちに必殺の一撃を喰らわす。そうすることで相手の心を負かすのだ。
「さすがだ……ヴィラン・アーク」
繰り出す剣技を次々と受けられる剣聖の賛辞は嬉しくも、どこか悲しげだった。
よく見れば彼の身体が徐々にひび割れていっているのが分かる。
それは勝負の決着が近いことを表していた。
「もう他に手がないのなら次で決めるぞ?」
そう言って剣を構える。
恐らく次の一撃ですべてが決まる、そんな気がした。
すると――
コツンッ!
アブソリュートの頭に何か硬い物がぶつけられた。
頭にぶつかり地面に落ちた硬い物をみると、それは五センチほど満たない道端に落ちているような小さな石だった。
「石?」
アブソリュートは石の投げられたであろう方角を見る。犯人は住宅の二階からこちらを見ていた、少年と呼べる年頃の子供だった。
「け、けんせいさまを……けんせいしゃまをいじめるな!」
少年は震える身体を抑えながらアブソリュートに向かって叫んだ。
アブソリュートは知らないがこの少年は剣聖がイヴィルから助けた少年である。少年には剣聖がまだ生きていてアブソリュートにいじめられているように見え、勇気を持って介入してきたのだ。
少年はコチラをジッと見つめるアブソリュートに恐怖しながらも、自分を助けてくれた剣聖を守るために叫んだ。
「けんせいさまはぼくを助けてくれたんだ! だから虐めるなあぁぁぁぁぁ!」
耐えきれず泣き出してしまった少年。
声が裏返りながらも必死に叫ぶその姿を見てレオーネや騎士達は心を痛めた。
すると――
「そうだ! 剣聖様は彼奴らに操られてるだけなんだ! だから殺さないでくれ‼︎」
「お願い剣聖様を助けて!」
「やるなら俺をやれ!」
閉じこもっていた家から若い男、妙齢の女性、中年の男がでてくる。
それだけで終わらない。
家に閉じこもっていた民衆が次々と出てきて剣聖にエールを送った。大人も子供も関係なく声を張り上げ一心に剣聖を応援する。
「剣聖様ぁー! 頑張れぇ‼︎」
「負けるな剣聖! そんなすかしたクソガキやっちまえー!」
「頑張ってー!」
「剣聖頼む! 勝ってくれ!」
まるで街にいる皆の心が一つになったかのように感じた。
小さな火の粉がいつの間にか街全体を飲み込み大きな空気を作ったのだ。
アブソリュートが悪で剣聖が被害者という空気を。
子供の健気な訴えをきっかけに周りの人間の心を動かしたのだ。
この空気を作ったのは剣聖がこれまで民衆のために貢献してきた実績、民衆の思いを少年が代弁したことで全員の心に火がついたこと。そして、アブソリュート・アークのスキル『絶対悪』によって印象が操作され全員の敵として認識されたことによって作られたのだ。
加えて、民衆を混乱させないために剣聖の現状についての情報を知らせなかったのが裏目にでてしまった。
結果街全体が剣聖の味方になりアブソリュートが完全にアウェーになってしまった。
アブソリュートは街全体から放たれる罵声や敵意を浴びながら剣聖に語りかける。
「……これは凄いな、この街全員がお前の味方だ。死してなおこれだけ慕われるとは――きっとそれだけのことをお前は民衆にしてきたのだろうな」
アブソリュートは冷静に辺りを見渡しながらそう呟く。
民に認められてこそ英雄。
明らかに異様な今の彼の為に声をあげる民衆の姿をみれば、まさしく光の剣聖は英雄に足り得たのだろう。
そしてアブソリュートはその敵。
だが嫌われ者の彼は罵声を浴びるのは慣れている。
アブソリュート・アークはこれくらいで取り乱すような柔な精神の持ち主ではない。
同じような環境で彼は十五年も生きてきたのだから。
(剣聖を倒せば、きっと私はスイロク王国の敵として認識されるだろう。原作のレオーネ王女のように……。だが、それでも私がやるべきことは変わらない。私は己を貫く――私は"悪"だ)
すべてを敵に回す覚悟でアブソリュートは剣を上段に構える。その動作に全く躊躇いはなかった。
改めて互いに剣を上段に構えて闘いを再開する。
「いくぞ、剣聖アイディール・ホワイト」
「ヴィラン・アークゥゥゥゥ‼︎」
アブソリュートは駆け出した。
待ち構えている剣聖の間合いへと――
♢
闘いのさなか、剣聖の意識はまるで夢を見ているようだった。
朽ちた身体に心はなく、ただ己の欲のまま闘う人形のようだ。だがその人形の内にある思い出のような、心の残穢は待ち望んでいた相手との死闘に感謝していた。
イヴィルとの闘いに敗れた剣聖は暗闇の中にいた。
上も下も分からないただ黒く染まった世界。
どこまでも続く果てしない闇の中に一人。
だが気分は悪くない。
まるで永遠に寝ているかのように、穏やかな空間だったのは覚えている。何も考えず、ただ無を享受し、まどろみに身を任せていた。
「…………………」
自分の声すらも聞こえない無音の世界。
不思議と寂しさも感じなかった。
永遠に続くかと思われた時間。
だがそれは呆気なく終わりを迎えた。
(なんだ…………あれは?)
光すらない闇の中で青白い肌の細い手が突如として現れ、剣聖の魂を優しく包んだ。
「目覚めなさい。固有魔法【死者の世界】」
闇の中にいた自分を誰かが引っ張り上げ、気付けば自分は元の身体へと戻っていた。
生前の意識に霞がかかっているような曖昧なものだが、意識は僅かにある。
まどろみの意識の中で初めに目に映ったのは見覚えのない、まるで地下室のような光の閉ざされた部屋と、背筋が凍りそうになるほど冷たい目つきをした赤い瞳の女だった。
二十代くらいの見た目で、腰くらいまである長い黒髪に喪服のようなドレスを着ているその女は、どこか不吉さを感じさせるが、その美貌は息を呑むほど美しかった。
そこで意識は再び途切れる。
眠っていた魂の一部を一度離れた肉体に戻し無理矢理封じこめ、結果アンデッドとして再びこの世に舞い戻った。
しかし、アンデッドになり精神を封じられた、剣聖は結果本能のままに動く死体となったのだ。
死体となった剣聖はブラックフェアリーの手先として動くはずだった。
だがちょっとした手違いで剣聖は制御不能になり攻撃するもの全てを破壊するものとなった。
だがそれは一人の男との出会いによってそれは打ち砕かれる。
ヴィラン・アーク。
生前、剣聖の魂にもっとも強く刻まれた彼との再会。
それにより僅かに心を取り戻すことができたのだ。
やはり彼は強かった。
剣聖の称号を持つ自身の技を次々と防いでいく。
(あぁ、今一番幸せだ)
何かが満たされていくと同時に自身の身体から力が抜けていく。
恐らくこれで最後になるだろうと感じていた。
彼は最後の一撃に全てを込めた。
――どうか、強くなった自身を見て欲しい。
――そして打ち破り、証明してくれ
――ヴィラン・アークが英雄だと。
「【染め尽くす白】《ホワイトアウト》」
彼が光の剣聖と呼ばれる所以となった眩い一撃が目の前の男を襲う。
だが――
(あぁ、やはり強いなぁ。ヴィラン・アーク)
「……見事だ」
そんな剣聖の渾身を打ち破る黒炎を纏った斬撃が剣聖の一撃を打ち破り彼の体を切り裂いた。
◇
「【染め尽くす白】《ホワイトアウト》」
剣聖の持つ宝剣の魔力が刀身を振り下ろすと同時に放たれる。
宝剣に蓄えられた膨大な魔力が剣聖の斬撃に乗せられ、より強力な一撃となってアブソリュートを襲う。
間違いなく剣聖の一番の必殺技だ。
だが、アブソリュートはこれを待っていた。
相手の自信のある必殺技を撃ち破り格の違いを示すことのできるこの時を――。
アブソリュートの上段に構えた剣に黒い炎が纏われる。その黒い炎は刀身の体積よりも大きく燃え上がる。
これから繰り出すのは我が父の剣技。
剣聖が待ち望んでいるヴィラン・アークの剣技だ。
それは――
「黒炎斬」
剣聖の放たれた魔力が黒い炎を纏った斬撃によって切り裂かれる。まるで二つに割るように黒炎の斬撃は魔力を突き破る。
「……見事だ」
その斬撃は剣聖の技を切り裂くに留まらず剣聖の身体をも切り裂いた。身体を深く切り裂かれた剣聖の身体から黒い血が飛び散る。
「感謝する……ヴィラン・アーク。そしてすまない」
その言葉を最後に剣聖の身体がぷつりと糸が切れたかのようにばたりと倒れた。
倒れゆくなか、申し訳なさそうな顔でアブソリュートを見ていた。
これで借りは返せただろうか。
あの時の英雄の称号を、賞賛を与えられるべきは其方だった。
剣聖を倒したことで称号は無理でも、その実力は皆に認められ賞賛されるだろう。自分にはそれぐらいしかできない。それしか其方に返せない。
意識が薄れていく。
アンデットになった身体が灰となって徐々に崩れて行く。
崩れて行く自分の身体を見て、今度こそ自分は死ぬのだと実感できた。
――ヴィラン・アーク。
私を倒した彼が後に賞賛されることを心から願う。
あの戦争で得た英雄の称号は私には重いものだった。故に私は必死だった。
この称号に見合う男にならねばと。
本当の英雄に成らねばと。
そうして己を磨いていくうちに私は剣聖となった。
本来なら空間の勇者を退けたヴィラン・アークこそ、その称号に相応しい。
そのなかでこれまで出会った人々との記憶が走馬灯となって脳裏に蘇る。
スイロク王国の民の顔、イモトに隊長……王女様、そして妻に娘。
ほとんど他人のために費やしてきた人生だった……。
「だが、いい人生だった」
剣聖の身体が燃え尽き灰となって消えた。
今度こそ剣聖は本当の死を迎えることができたのだった。
♢
民衆や王女が見守るなか、剣聖とアブソリュート・アークの闘いはアブソリュートの勝利で決着がついた。
アブソリュートによって切られた剣聖の身体は灰になって消えていく。最後剣聖はまるで人の心が戻ったかのように穏やかな顔を見せ消えていった。
光の剣聖の死亡。
その現実を皆は受け入れることが出来なかった。街は暫しの静寂に包まれる。
そして――
「け、剣聖様………………うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「なんてことを…………」
「剣聖様を……剣聖様を返せ!」
「殺せっ! 誰かアイツを殺してくれ‼︎」
慟哭、呪詛のような恨み節、罵声すべてがアブソリュートに降り注ぐ。
先程とは比べ物にならないほどの数の民衆からの罵声が大気を揺らす。
誰もアブソリュートがスイロク王国の為に戦ったことを知らない。いや、今言ったとしても誰も信じないだろう。
今のアブソリュートは民衆の愛する英雄を殺した敵と認識され、その恨みを一身に受けていた。
剣聖を打ち破った瞬間、アブソリュートは民衆の敵となったのだ。
彼らの罵声を浴びながら、この状況に似つかわしくない安心した表情を彼は浮かべていた。
そうアブソリュートは安堵していた。
――ああ、この罵声を浴びるのが自分で良かったと。
原作のレオーネ王女は自らの師を死に追いやった罪悪感とこの民衆からの罵声を浴び、心が壊れた。
幸い、街に被害がいかないよう近くに待機していたレオーネには民衆は頭が回らないようだ。これなら自分が恨まれるだけで済む。アブソリュート・アークとして彼女《レオーネ王女》に何ができるかずっと考えていたのだ。
その結果が民衆の恨みを――
彼女の痛みを代わりに引き受けることだ。
不意に光の剣聖の最後の言葉を思い出す。
『感謝する……ヴィラン・アーク。そしてすまない』
感謝は剣士として終わらせてくれた自身へのお礼。
謝罪はきっと光の剣聖が死んだことで降りかかるこの惨状を意味していたのだろう。
そうアブソリュートは感じた。
(この程度どうってことない。もう慣れたことだ……安心して眠れ――光の剣聖)
止まない罵声の嵐を浴びながらアブソリュートは剣聖の使っていた宝剣を回収し、レオーネの元へ歩いていく。
レオーネ王女は複雑そうな表情でアブソリュートを迎えた。
彼女はこの罵声を止めるために声をあげようとした。
だが、それは膨大な罵声にかき消されると共に騎士の一人から止められる。
今、貴女が動けばこの民衆の矛先はレオーネ王女に、そして王族や貴族にも向くと。
自分だけならいざ知らず兄や他の貴族まで被害を受けると言われどうすればいいのか分からなかった。
結果全てを押し付ける形になってしまった。
師を失った悲しみにアブソリュートへすべて押しつけてしまった罪悪感が彼女を苦しめる。
(私はなにも出来ずに結局……全てを押し付けてしまった)
「ごめんなさい……貴方に押しつけてしまった」
「お前が気にすることではない。私が勝手にやったことだ、すべての罪は私が背負う」
アブソリュート・アークは気にする素振りを見せなかった。だが逆にそれが強がっているように思えてレオーネの心を強く締めつけた。
……平気なはずがない。
民を救うために戦った彼がこのような扱いを受けて平気なはずがないのだ。
人の口に戸は立てられない。
光の剣聖という、各国に名を知らしめる強者を彼は打ち破ったのだ。
これからアブソリュート・アークの名前は各国に広まることになる――英雄を殺した者として。
(だけど……貴方は平気なの? 少なくとも貴方はすべてのスイロク王国の民を敵に回した。いくら他国の人間であってもこれだけの人間から恨まれるなんて、私は耐えられない……)
アブソリュートは何も言わずにその場を去っていく。
第二都市の住民の罵声は都市を離れてからも聞こえていた。
この日、世界は偉大な英雄を一人亡くした。
そして、その英雄を殺した男の名前は後世にまで伝わったという。
光の剣聖を殺した男――
『剣聖殺し』アブソリュート・アークとして。
改めまして明けましておめでとうございます。
この1年が皆様にとって良き年になりますようまさこりんも願っております。
この話について作者から一言。
アブソリュート様は痛みに慣れすぎてしまったのです。
誰か彼を救ってくれ!
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是非よろしくお願いします!
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