巻四 登場人物および関連地図
◎草原全土
■ジョルチ部
《フドウ氏》
インジャ……本編の主人公。のちのミノウル・ハーン。数多の盟友とともに草原を統一する英雄。称して「義君」。敵人からは「亡族の小僧」と呼ばれる。
タンヤン……身の丈八尺の長身。大将旗を護持する。
ムウチ……インジャの母。のちの聖母太后。夢に天王に会う。
ハクヒ……インジャの伯父。フウの兄。テクズスの追撃からムウチを守る。ウリャンハタ部との戦でインジャの身代わりになり戦死。
《ジョンシ氏》
ナオル……インジャの最初の盟友。胆力に卓れた智勇兼備の良将。諸将の信頼厚く、山塞では副主。
シャジ……ジョンシの宿将。
ウルゲン……ナオルの兄。ミクケル・カンの援助で族長になる。
テヨナ……ウルゲンの妻ボドンチャルの侍女。
《キャラハン氏》
セイネン・アビケル……ベルダイ右派に敗れ、インジャに投じてその盟友となる。知謀衆に優れ、神算鬼謀を以てズラベレン氏を降す。隷民軍を指揮する。
《ズラベレン氏》
コヤンサン……ズラベレン三将の筆頭。勇猛にして豪放。神都では酒乱の悪癖が禍を招く。
イエテン・セイ……三将の一。寡黙で冷静。
タアバ……三将の一。
《ベルダイ左派》
トシ・チノ……「チノ」の号を持つ若き族長。ジュレン部に追われ、インジャの山塞に投じる。
チハル・アネク……キハリ家の女将軍。二条の鉄鞭を操る。かつて密偵と誤ってインジャを捕らえる。山塞の戦で勇名を馳せる。
キノフ……医道に通じた娘。「天仙娘」と称される。
サイドゥ……トシ・チノの片腕。知謀の将。
カトラ……左派の先鋒。
タミチ……左派の副先鋒。
ナハンコルジ……左派の将軍。
ノイエン……身の丈九尺の巨漢。
カナッサ……写生に長ける。称して「金写駱」。
アンチャイ……キハリ家の娘。野盗に襲われたが、ゴロに助けられる。マシゲル部のギィに嫁ぐ。アステルノに捕らえられたが、チルゲイのはたらきでギィの許に帰った。
《ベルダイ右派》
サルカキタン・ベク……右派の族長。勇猛なるも短慮にして酷薄非道。称して「大人」。敵からは「野人」と呼ばれる。
トオリル……指揮統率に卓れる良将。献策するも容れられず、出奔してインジャに投じる。
《アイヅム氏》
コニバン……テクズスの子。仁に富む好漢。サノウの計で山塞に降る。
■タロト部
マタージ・ハーン……ジェチェンの第三子。インジャの盟友。ジェチェンに代わって即位。のちの「通天君王」。ウリャンハタ部に敗れ、インジャと行をともにする。
マジカン……マタージの兄。タロト部の右王。
ゴルタ……猛将。インジャの初陣を輔ける。タロト部の左王。
ジェチェン・ハーン……「メンドゥの妖人」と称される。ウリャンハタ部の奇襲で命を落とす。
■カムトタオ(ジュレン部)
ハツチ……身の丈八尺。長髯を靡かせる好漢。「美髯公」と称される。コヤンサンの酒乱がためにインジャに投じる。
イェリ・サノウ……大興の王族の末裔。人嫌いだが知謀才略は傑出している。セイネンと同窓に学ぶ。招かれて山塞に投じる。
ゴロ・セチェン……神都一の富豪。奸計に嵌まりギィを頼る。
ヒスワ・セチェン……ゴロの家宰であったが、これを陥れる。「奸人」と称される。草原に覇を唱えるため計略を練ったが、山塞に敗れる。その後、セペート部と結んでヒィ・チノの留守を襲う。
サルチン……商人。知謀衆に優れる。山塞の役敗戦後、ホアルンに難を避け、ヒィ、チルゲイらと交わりを結ぶ。
ヘカト……商人。寡黙。コヤンサンと争った。ヒスワを諫めたあと、やはりホアルンに出奔してチルゲイと再会する。
オガサラ・ジュゾウ……身も口も軽いが、異能の主。渾名は「飛生鼠」また「五技鼠」。
トシロル・ベク……役人。ゴロたちと親しい。ヒスワに追われたがクニメイに救われ、山塞に投じる。
カノン・ジュン……長身の女丈夫。ホアルンに向かう途中、ゾンゲルに襲われたが、ヒィらに救われる。
コテカイ……能書の佳人。渾名は「嫋娜筆」。
チャオ……商人。ミヤーンとは旧知の間柄。渾名は「銀算盤」。
ワラカン・ドルチ……元首。ヒスワの甘言に乗る。
グルカシュ……カムタイ出身の将軍。渾名は「呼擾虎」。ヒスワに認められてナルモント部攻撃の大将となる。
■ウリャンハタ部
《スンワ氏》
ミクケル・カン……大カン。ヒスワと結んでメンドゥを渡り、草原制覇を目指すが、オロンテンゲル山でインジャに敗れる。
カントゥカ……のちのエルケトゥ・カン。二丁の戦斧を操る猛将。オロンテンゲル山撤退の際、その武勇を示す。
《カオエン氏》
ジュン・ヒラト……ウリャンハタきっての知将。オロンテンゲル山撤退を指揮した。
チルゲイ……弁舌巧みな「奇人」。諸方で好漢と交わり、神都でインジャに見える。その後、ヒィ・チノと旅に出る。ヤクマン部滞在中、「カラバルの同士討ち」を画策。また「チェウゲン・チラウンの盟」を斡旋。
《ウラカン氏》
カトメイ……ツォトンの子。
ツォトン……イシの知事。
イシャン……「喪神鬼」の異名を持つ猛将。オロンテンゲル山で陥穽に落ち戦死。
《カムタイ氏》
スク・ベク……勇将。長槍の使い手。
■マシゲル部
《カンダル氏》
マルナテク・ギィ……ハーンの嫡子。「獅子」と称される傑物。アンチャイを娶る。チャテク家との内戦中、ムジカに攻められ一度は退けたが、バラウンが策に嵌まり敗れる。その後、ムジカと和し、「チェウゲン・チラウンの盟」を結んだ。
《ジャルム氏》
コルブ……弓に優れる。ヤクマン部との戦で本隊と離れ、野盗になっていたが、チルゲイに会ってギィとの合流を果たす。
《クルベイ氏》
バラウンジャルガル……ヤクマン部との戦では策に嵌まって同士討ちを演じる。その後、遁走して現在は行方不明。
《キライ氏》
ハリン……アンチャイの側に仕える。渾名は「赫大虫」。
《チャング氏》
ウチン……賢婦人。
■ナルモント部
《ムヤン氏》
ヒィ・チノ……若き英傑。「神箭将」と称される弓の名手。チルゲイと交わり、不浄大虫を討って旅に出る。ホアルンの前でカノンを救い、ゾンゲルを降す。ヤクマン部滞在中、マシゲル部との戦で名を成し、その後、ギィ、ムジカと「チェウゲン・チラウンの盟」を結ぶ。父の負傷で帰還。ハーンとなり、セペート部に出征。
キセイ……日に千里を行く早足のもの。渾名は「神行公」。
ゾンゲル……ホアルン近郊の野盗。ヒィに私淑する。渾名は「病大牛」。ヒィが即位すると近衛軍の将となった。
《サトラン氏》
ツジャン・セチェン……ヒィの友人。知謀に優れる。エルゲイ・トゥグの戦で見事な采配を振るう。撤退の際は殿軍を務めた。
《タラント氏》
モゲト……ヒィの友人。膂力衆に優れる。先鋒を任される。
《アケンカム氏》
ショルコウ……名将ベルン・バアトルの娘。文武両道の女傑。留守地がジュレン部に攻められた際、迎撃する策を立案した。「司命娘子」と称される。
ゴオルチュ……ベルンの末弟。北伐の留守を預かる。
ムバイ……信頼おける老将。
イドゥルド……ベルンの遺児。北伐後、族長となる。
《オラザ氏》
ワドチャ……族長の嫡子。ギィの知己。氏族を挙げてヒィを支援する。
ミヒチ……白面の女丈夫。渾名は「白夜叉」。
《オルサ氏》
タガチャイ……ハーンの位を狙ったが、クリルタイでヒィに敗れる。
■ヤクマン部
《ヤクマン氏》
トオレベ・ウルチ・ハーン……ハーン。梁と結んでジョルチ部を分裂させた。
《ジョナン氏》
ムジカ……族長。仁義に厚い。チルゲイと出会い、これを客とする。マシゲル部を攻めてチルゲイらの力で勝利を得る。アンチャイを庇護し、のちにギィ、ヒィと「チェウゲン・チラウンの盟」を結ぶ。
タゴサ……ムジカの妻。男勝りの女丈夫。渾名は「打虎娘」。
オンヌクド……部将。渾名は「奔雷矩」。
マクベン……部将。渾名は「皁矮虎」。
アルチン……部将。渾名は「笑小鬼」。
《セント氏》
アステルノ……迅速機敏。称して「神風将軍」。マシゲル部のチャテク家を攻める。カラバルの同士討ちのあと、留守地を接収してアンチャイを捕らえる。
■セペート部
エバ・ハーン……セペート部ハーン。「鎮氷河」の異名を持つ。ケルン・カーン、ヒスワと結んでヒィ・チノを迎え撃つ。
ドブン・ベク……エバ・ハーンの寵臣。謀略家。
ズベダイ……エバ・ハーンの腹心。
■その他
エジシ……タムヤに住む学士。ムウチらを援助。
ハレルヤ……放浪部族ダルシェの若き将軍。インジャ初陣の際、言葉を交わす。チルゲイに出会う。
タルタル・チノ……放浪部族ダルシェの族長。
ドクト……オロンテンゲル山のカミタ氏族長。勇将。
オノチ……カミタ氏の将。弓に優れ、「雷霆子」と渾名される。
テムルチ……ドノル氏族長。知将。
マルケ……イタノウ氏族長。
シズハン……イタノウ氏の娘。渾名は「小白圭」。
クニメイ・ベク……カムタイの商人。「紅大郎」と称される。トシロルを救い、草原へ逃がす。
ミヤーン……イシ出身。チルゲイと旅に出る。
ナユテ……ホアルン出身。占卜に長じる。チルゲイと旅に出て、幾度もその異才をもって彼らを助ける。渾名は「神道子」。
ジュド……野党の首領。「夜雷公」と称する。
ケルン・カーン……北の異族の族長。セペート部と結ぶ。渾名は「金杭星」。
ドルベン・トルゲ……テュルクダイ氏族長と称する。「四頭豹」の渾名を持つ奸智に長けたもの。
フーチー……タムヤで私塾を開く老人。エジシの旧知。
章宗……中華を統べる梁の皇帝。