巻一一 登場人物および関連地図
◎草原全土
■ジョルチ部
《フドウ氏》
インジャ(ジョルチン・ハーン)【義君・赤心王】……のちのミノウル・ハーン。数多の盟友とともに草原を統一する英雄。幾多の苦難を経て、ついに部族を統一。即位してナーダムを開催した。ウリャンハタ革命後、タムヤにてこれと会盟。即位五年、ついに南征の軍を興したが敗れて退く。盤天竜と同盟する。ついに北原にて神箭将と会盟。
タンヤン【長旛竿】……身の丈八尺の長身。大将旗を護持する。
ムウチ【聖母太后】……インジャの母。夢に天王に会う。
ウル・ウマルタク・ヴァルタラ……インジャの嫡子。南征中に生まれる。
ハクヒ【神威将軍】……インジャの伯父。戦死。
《ジョンシ氏》
ナオル【胆斗公】……インジャの最初の盟友。胆力に卓れた智勇兼備の良将。インジャ即位に伴って「右王」となる。新生ウリャンハタ部に使者として赴く。南征では第一軍を率いた。奔雷矩を擒える。ウリャンハタの北伐に援軍を率いて参加、ミマンを討つ。
テヨナ【鑑子女】……小ジョンシ滅亡の際、インジャに直言して感心される。アネク・ハトンの侍女。
シャジ【往不帰・猛奮将軍】……宿将。南征中に受けた矢傷がもとで死去。
《キャラハン氏》
セイネン・アビケル【百策花】……ベルダイ右派に敗れ、インジャに投じてその盟友となる。知謀衆に優れ、神算鬼謀を以てズラベレン氏を降す。近衛軍(紅袍軍)を統轄する。
《ズラベレン氏》
コヤンサン【呑天虎】……ズラベレン三将の筆頭。勇猛にして豪放。神都では酒乱の悪癖が禍を招く。小ジョンシ戦で先鋒を願い出たが、四頭豹の策に嵌まり敗れる。南征で笑小鬼を擒える。
イエテン・セイ【霖霪駿驥】……三将の一。寡黙で冷静。南征で四頭豹の迎撃を予感する。北道の整備に従事する。
タアバ【旱乾蜥蜴】……三将の一。ひと言多い。北原の哨戒を担当。
《ベルダイ左派》
トシ・チノ【霹靂狼】……ジュレン部に追われ、インジャの山塞に投じる。インジャ即位に伴って「左王」となる。南征では第二軍を率いたが四頭豹に敗れる。
チハル・アネク・ハトン【鉄鞭】……キハリ家の女将軍。二条の鉄鞭を操る。かつて密偵と誤ってインジャを捕らえる。山塞の戦で勇名を馳せる。インジャ即位に伴って、ハトンに冊立される。懐妊のため南征は不参加。嫡子ヴァルタラを出産。
キノフ【天仙娘・天仙母】……医道に通じた女性。
サイドゥ【長韁縄】……霹靂狼の片腕。知謀の将。ベルダイ右派との戦で先知の才を見せる。
トオリル【百万元帥】……指揮統率に卓れる良将。献策するも容れられず、出奔してインジャに投じる。南征で碧水将を擒える。ウリャンハタの北伐に参加。
カトラ【隼将軍】……「双璧」の一。ウリャンハタの北伐に参加。
タミチ【鳶将軍】……「双璧」の一。ウリャンハタの北伐に参加。
ナハンコルジ【石沐猴】……部将。胆斗公らと神都に赴く。ウリャンハタの北伐に参加。
ノイエン【飛天熊】……身の丈九尺の巨漢。ナーダムの奉納相撲で隼将軍を破る。インジャの身辺を警護する。
カナッサ【金写駱】……写生に長ける。白夜叉の帰還に伴って東原へ派遣される。
《アイヅム氏》
コニバン【慈羝子】……仁に富む好漢。獬豸軍師の計で山塞に降る。山塞の守将の一人。
《カミタ氏》
ドクト【癲叫子】……九尾狐と争っていたが、インジャに仲裁されて下山。歌楽に長じる。会盟にて歌う「奔馬と戯れる」を作曲する。南征で皁矮虎を擒える。ウリャンハタの北伐に参加。
オノチ【雷霆子】……弓に優れる。ナーダムの騎射で優勝する。奇人とともに打虎娘を救出する。ウリャンハタの北伐に参加。インジャの代官として東原に派遣される。
《ドノル氏》
テムルチ【九尾狐】……オロンテンゲルの山塞を癲叫子と争った知将。山塞の守将の一人。南征で超世傑を擒える。
《イタノウ氏》
マルケ【白面鼠】……右派に追われるインジャ、アネクらを救う。山塞の守将の一人。アイルをダルシェに襲われる。南征で碧水将を欺く任を担った。
シズハン【小白圭】……連丘で敗れたインジャを迎えに行くよう白面鼠に勧めた佳人。アネク・ハトンの侍女。
■タロト部
マタージ・ハン【通天君王】……ジェチェンの第三子。インジャの盟友。祭祀儀礼に長じる。ウリャンハタ部に敗れ、インジャと行をともにする。タムヤを宰領し、広大な牧地を得る。タムヤ会盟にも参加。
ゴルタ……猛将。インジャの初陣を輔ける。左王。
マジカン【鎮山侯】……マタージの兄。連丘で火計に遭い、戦死。
ジェチェン・ハーン【メンドゥの妖人・大王】……前タロト部ハーン。ウリャンハタ部の奇襲で命を落とす。
■カムトタオ(ジュレン部)
イェリ・サノウ【獬豸軍師】……大興の王族の末裔。人嫌いだが知謀才略は傑出している。招かれて山塞に投じる。ジョルチ部統一後、大権を授けられて断事官となる。タムヤ会盟にて駅站の設置を進言する。南征失敗の責を負って下野する。
ハツチ【美髯公】……身の丈八尺。長髯を靡かせる好漢。呑天虎の酒乱がためにインジャに投じる。副使として西原に赴く。駅站の整備を委される。
オガサラ・ジュゾウ【飛生鼠・五技鼠】……身も口も軽いが、異能の主。小ジョンシとの戦では四頭豹の策に嵌まり捕らえられた。ジョルチ部にて諜報を司る。ウリャンハタの北伐に参加。刺客に襲われた王大母を助けるべく聖医を呼ぶ。神道子らと光都に潜入して楚腰公を救出。
トシロル・ベク【豬児吏】……元役人。蓋天才たちと親しい。奸人に追われたが紅大郎に救われ、山塞に投じる。タムヤの民政を司る。
ゴロ・セチェン【蓋天才】……神都一の富豪。奸計に嵌まり獅子を頼る。ダマンの命が危ういことを予言する。
サルチン【楚腰公】……商人。知謀衆に優れる。山塞の役敗戦後、光都に難を避け、神箭将、奇人らと交わりを結ぶ。北伐中危機に陥った神箭将に舟を調達してこれを救う。東原にて「楚腰道」と呼ばれる駅站を敷く。南伯造反により光都に囚われたが救出される。
ヘカト【鉄面牌】……商人。寡黙。呑天虎と争った。奸人を諫めたあと、やはり光都に出奔。北伐より撤退する神箭将に神都を囲む計略を示唆する。また神都へ潜入し、数多の計略を成す。長者とともに鍾都を建設する。
カノン・ジュン【一丈姐】……長身の女丈夫。光都に向かう途中、病大牛に襲われたが、神箭将らに救われる。白夜叉とともに中原に赴く。
コテカイ【嫋娜筆】……能書の佳人。笑面獺の怪しい行動を目撃する。南伯造反により光都に囚われたが救出される。
チャオ【銀算盤】……商人。ミヤーンとは旧知の間柄。奸人即位の報を携えて山塞を訪れる。イシで衛天王の叛乱を助ける。
■ジュレン帝国
ヒスワ・セチェン【奸人】……蓋天才の家宰であったが、これを陥れる。草原に覇を唱えるため計略を練ったが、山塞に敗れる。セペート部と結んで神箭将の留守を襲ったが失敗。大院を廃して自ら皇帝を僭称した。楚腰道を断ち、光都を囲むも失敗。鉄面牌の策により全部族に向けて勅使を派遣したのちドブン・ベクを処刑、孤立する。
スブデイ・ベク……奸人の従弟。閣卿の筆頭。強欲。「鄭王丞相大元帥」。
グルカシュ【呼擾虎】……カムタイ出身の将軍。奸人に認められてナルモント部攻撃の大将となったが敗れる。奸人即位後、復権。光都攻略を指揮するが敗れる。軍制改編後は「神都公大将軍」。
ダルチムカ【金毛狗】……ジャラート氏族長。呼擾虎とともに光都を囲む。「呉公前将軍」。
ヒムガイ【青面鼬】……顔一面に青痣を持つ。近衛大将。
ムンヂウン……征東将軍。以下三将と同じく呼擾虎と反目する。
ハラ・ドゥイド……征西将軍。
ブギ・スベチ……征南将軍。
タイラント……征北将軍。
アルビン……呼擾虎に仕える謎の男。
■ウリャンハタ部
《スンワ氏》
カントゥカ(エルケトゥ・カン)【衛天王】……二丁の戦斧を操る猛将。オロンテンゲル山撤退の際、その武勇を示す。ミクケルに叛旗を翻し、ドゥルガド台地でこれを破って即位。タムヤにてインジャと会盟する。ともに南征軍を興したが、クル・ジョルチ部の侵攻により撤退した。その後、北伐を決して親征する。
ボッチギン【渾沌郎君】……衛天王を叛乱に踏みきらせる。「上屋抽梯の計」をもってウラカン氏を陥れるなど、卓抜した戦略の才を見せる。北伐ではシャガイ氏の開明派に戦術を授ける。
エミル・ガネイ【妖豹姫】……不思議な魅力を持つ娘。
ヂュルチダイ……ミクケルの遺児。
シャギチ……フワヨウの甥。ミクケルの侍臣。亜喪神とともに去る。ウヘル山で奇人らに翻弄されてジョナン氏の人衆を逃がす。
ミクケル・カン……旧の大カン。衛天王に敗れて処刑される。
《カオエン氏》
ジュン・ヒラト【潤治卿】……オロンテンゲル山撤退を指揮。その後、政務を委されていたが、衛天王とともに叛乱。執政となる。
チルゲイ【奇人】……諸方で好漢と交わる。「カラバルの同士討ち」を画策、また「チェウゲン・チラウンの盟」を斡旋。山塞ではタムヤを落とす計略を出す。西原に帰って叛乱に参加、双城を得る。外交を担って「タムヤ会盟」を実現。また黒鉄牛の記憶回復に貢献。南征ではウヘル山に赤軍を破って打虎娘を救出する。北伐では王大母のクリエンに潜入して回天を佐ける。
アサン・セチェン【聖医】……衆望を集める聖君子。ミクケルに囚われ、好漢をして蜂起させる契機となる。医療のみならず軍民両政に秀でる。黒鉄牛の記憶喪失について助言する。北伐では王大母の傷を治療して会盟を実現させる。
サチ【花貌豹】……男装の麗人。槍の使い手。ミクケルの冬営を焼いたほか、ドゥルガドの役で「寡をもって衆を囲む」奇跡的な用兵を駆使、自軍を勝利に導いた。神道子の妻となる。南征では第二軍を率いた。北伐ではタクネイを一蹴、のちに奇人の計に順って擬戦にて志士を驚かす。
カコ・コバル【|雪花姫《ツァサン・ツェツェク】……高潔有徳をもって知られる賢婦人。カオエンのアイルを守り、イシで「カンの猟犬」を退ける。ジョルチ部に使者として赴く。
タケチャク・ヂェベ【矮狻猊】……慧敏にして敏捷。常に斥候として軍の先を駆ける。
ササカ【蒼鷹娘】……知勇兼備の美しい女丈夫。鷹を調教する天才。ドゥルガドの役で醜面亀を射る。
ジュチ・クミフ【娃白貂】……異能ある佳人。
クメン【笑破鼓】……常に笑みを絶やさぬ好漢。
ナユテ【神道子】……光都出身。占卜に長じる。奇人と旅に出て、幾度もその異才をもって彼らを助ける。インジャの下に留まり信頼を得る。使者として西原に赴き、花貌豹と結婚する。
《ウラカン氏》
カトメイ【竜騎士】……「竜騎兵」を率いる勇将。小ジョンシを守るタムヤへ物資を輸送していたが、奇人の説得で密かに寝返る。叛乱に加わってイシを奪取する。
ムカリ【亜喪神】……喪神鬼の長子。戦斧の使い手。醜面亀とともに「カンの猟犬」と称される。ミクケルの遺児を奉じてヤクマン部に投じる。四頭豹と組んで赫彗星を陥れる。八旗軍の一、赤軍の大将となりジョルチ軍を破る。
《ネサク氏》
シン・セク【麒麟児】……弓射を能くし、軍馬に劣らぬ速さで駆ける異能を持つ。叛乱において随所で活躍し、ドゥルガドの役ではミクケルの後方を衝いて勝利を決した。南征では全軍の先鋒となったが、超世傑の用兵に翻弄される。北伐では先鋒としてタイクン氏、ハヤクムなどを破る。
タクカ【知世郎】……奇策を得意とする麒麟児の参謀。地理物産に詳しく、戦場にドゥルガド台地を推す。酒に弱い。駅站の整備に貢献する。
《カムタイ氏》
スク・ベク【一角虎・小虎公】……勇将。長槍の使い手。父を殺され、叛乱に参加。紅大郎の援助によってカムタイに入城。ドゥルガドの役でミクケルを捕らえる。クル・ジョルチ部の猛将ササウェイを屠る。南征では第三軍を率いた。
クニメイ・ベク【紅大郎】……商人。豬児吏を救い、草原へ逃がす。タムヤ攻略の際、火薬を調達する。一角虎のカムタイ入城を「紅火砲」をもって助ける。西原の駅站を整備。
イェスゲイ……工人。兵器製造に長ける。紅火砲を生みだす。タムヤに渡し場を設け、イシの城壁を改良する。
《チダ氏》
カムカ・チノ【牙狼将軍】……北辺を守る。北伐ではハヤクムを討つ。
《ダマン氏》
ヨツチ【急火箭・矮豹子】……直情径行。
《イシ氏》
ミヤーン……奇人と旅に出る。衛天王の叛乱を助ける。イシの民政を司る。黒鉄牛の記憶回復にも貢献。
イェシノル【瑞典官】……イシの文官。西原の駅站整備に従事。
ヤムルノイ【鉄将軍】……イシの武官。
■マシゲル部
《カンダル氏》
マルナテク・ギィ(アルスラン・ハン)【獅子】……瓊朱雀を娶る。内戦中、超世傑に攻められ一度は退けたが、黒鉄牛が策に嵌まり敗れる。その後、超世傑と和して、「チェウゲン・チラウンの盟」を結ぶ。かつてのタロト部の牧地を収めて即位。赫彗星を受け容れる。盤天竜と親交を結ぶ。インジャの危機を救って幕下に投じる。盤天竜とインジャの同盟にひと役買う。
アンチャイ・ハトン【瓊朱雀】……キハリ家の娘。野盗に襲われたが、蓋天才に助けられる。獅子に嫁ぐ。神風将軍に捕らえられたが、奇人のはたらきで獅子のもとに帰った。獅子即位に伴って、ハトンとなる。嫡子を出産。
ベルグタイ【双角鼠】野盗。額にふたつの瘤を持つ。白夜叉とともに東原へ赴く。
《ジャルム氏》
コルブ【迅矢鏃】……弓に優れる。ヤクマン部との戦で本隊と離れ、野盗になっていたが、奇人に会って獅子との合流を果たす。獅子即位に伴って族長となる。
《クルベイ氏》
バラウンジャルガル【黒鉄牛】……ヤクマン部との戦では策に嵌まって同士討ちを演じる。その後、逃走中に崖から転落したところを盤天竜に救われる。記憶を失っていたが、奇人らにより回復、帰還した。白夜叉とともに東原へ赴く。
《キライ氏》
ハリン【赫大虫】……瓊朱雀の側に仕える。インジャと盤天竜の同盟に尽力。白夜叉と意気投合して、ともに東原へ赴く。
《チャング氏》
ウチン【賢夫人】……獅子即位後、族長を説いてこれに帰順させる。瓊朱雀の側に仕える。盤天竜にインジャとの同盟を勧める。
■新ヤクマン部
《ジョナン氏》
ムジカ(クルゥド・ハン)【超世傑】……仁義に厚い。マシゲル部を攻めて、奇人らの力で勝利を得る。瓊朱雀を庇護し、のちに神箭将、獅子と「チェウゲン・チラウンの盟」を結ぶ。赫彗星をマシゲル部に逃がす。北軍を率いてインジャの南征軍を最前線で迎撃するも敗退、これに投じる。ジャンクイ即位後、諸氏の推戴を受けて即位する。
タゴサ【打虎娘】……超世傑の妻。男勝りの女丈夫。クルチア・スルデルを出産する。超世傑即位に伴ってハトンに冊立される。
オンヌクド【奔雷矩】……部将。インジャの即位を視察。
マクベン【皁矮虎】……部将。直情径行。
アルチン【笑小鬼】……部将。人を笑わせる術に長ける。
クルチア・スルデル……超世傑と打虎娘の子。
《セント氏》
アステルノ【神風将軍】……迅速機敏。マシゲル部のチャテク家を攻める。カラバルの同士討ちのあと、留守地を接収して瓊朱雀を捕らえる。梁公主を憎み、赫彗星の亡命を援助。東軍の将。オロンテンゲルの山塞急襲を命じられたが、転じてインジャに投じる。超世傑即位を提案する。
《ジョシ氏》
カンシジ・ソラ【赫彗星・赫飛猴】……礫を得物とする赤髪の好漢。亡きハトンの族子。「赤流星」と称する精強な軍勢を率いる。梁公主に睨まれ、ダルシェと戦う。叛賊の汚名を着せられてマシゲル部に投じる。インジャにより牧地を与えられる。ウリャンハタの北伐に参加。靖難将軍を保護したことが北伐を成功に導くことになる。
ゾルハン……軽騎部隊「紅き隷民」の帥将。
《ガダラン氏》
キレカ・オトハン【紅火将軍】……飛刀を操り、火攻を得意とする。和を尊ぶ仁者。叛賊となった赫彗星を匿う。西軍を率いていたが、碧水将の説得に応じてインジャに投じる。
《イレキ氏》
オラル・タイハン【碧水将軍】……礫と叉を得物とし、水攻に長ずる。赫彗星を発見するも、これを見逃して亡命を勧める。南軍の将だったが、ハラ・アビドに敗れてインジャに投じる。
■ナルモント部
《ムヤン氏》
ヒィ・チノ・ハーン【神箭将・飛虎将】……奇人と交わり、旅に出る。光都の前で一丈姐を救い、病大牛を降す。獅子、超世傑と「チェウゲン・チラウンの盟」を結ぶ。父の負傷で帰還。ハーンとなり、セペート部に出征するも失敗する。神都軍に囲まれた光都を救い、隻眼傑を南伯に任命する。また北伐してセペート部を滅ぼし、金杭星を北伯に任命、司命娘子を嫁がせる。白夜叉を中原に派遣。北原に鍾都の建設を命じる。またついにインジャと会盟を果たす。隻眼傑の諫言を退けて造反を招く。
キセイ【神行公】……日に千里を行く早足のもの。
ゾンゲル【病大牛】……光都近郊の野盗。神箭将に私淑する。近衛軍の将。白夜叉を慕って、その中原行に随う。
《サトラン氏》
ツジャン・セチェン……知謀に優れる。エルゲイ・トゥグの戦で見事な采配を振るう。撤退の際は殿軍を務めた。隻眼傑を警戒する。北伐では蕃民八旗を調略して勝利を呼ぶ。光都へ向かう途上、消息を絶つ。
《タラント氏》
モゲト【小金剛】……膂力衆に優れる。先鋒を任される。北原叛乱を受けて渡河、北伯と兵を併せる。
《アケンカム氏》
ショルコウ【司命娘子】……名将ベルン・バアトルの娘。文武両道の女傑。留守地がジュレン部に攻められた際、迎撃する策を立案した。北伐後、金杭星と結婚、北原に移る。鍾都の建設、および北道の開拓を進言する。
ゴオルチュ……ベルンの末弟。北伐の留守を預かる。イドゥルド罷免後、族長となる。
ムバイ……信頼おける老将。
イドゥルド……ベルンの遺児。北伐後、族長となる。天導教を調査していたが、すっかり教説に毒される。隻眼傑に投じて叛乱に加担。
《オラザ氏》
ワドチャ……族長の嫡子。獅子の知己。氏族を挙げて神箭将を支援する。家畜の病に詳しい。鉄面牌とともに鍾都を建設。その後、北道の整備に携わる。
ミヒチ【白夜叉】……白面の女丈夫。命を受けて光都、中原を歴訪。隻眼傑を観察して楚腰公に伝える。諸方で好漢と交わり、特に赫大虫と意気投合する。神箭将の代官として中原に派遣される。
《ムルヤム氏》
シノン・コムト【隻眼傑】……イルシュ平原にて鼎目蛇を討ち、楚腰道を復す。神箭将の信頼を得て「南伯」となる。黒袍軍と称される精兵を率いる。鳳毛麟角に警戒され、四頭豹により種々の計略をしかけられる。インジャを警戒するよう神箭将に説く。ついに青袍教徒と結んで造反する。オハザフ平原で勝利して「ダルハン・バイン・ハーン」と称した。
ヤマサン・マシャ【笑面獺】……隻眼傑の僚友で軍略に長じる。光都の守備を委される。書庫に侵入したところを嫋娜筆に見つかる。隻眼傑の造反に呼応して光都を占領する。
《セトゥ氏》
ブルドゥン・エベ【覚真導師】……バヤリクトゥの長子。ヒィ即位後、追放。四頭豹に育てられ、東原にて天導教(青袍教)を興す。神箭将を誹謗し、隻眼傑を推す。
ジェジュ……ヒィ・チノとハーン位を争ったバヤリクトゥの近臣。四頭豹に拾われて計略の駒となる。
■ヤクマン部
《ヤクマン氏》
ジャンクイ・ハーン(キタド・ハーン、カラ・ウナス・ハーン)……梁公主の産んだ男子。中華名は「江魁」または「張魁」。諸王粛清後、皇太子に立てられた。トオレベ・ウルチ弑殺後、即位。実は四頭豹の子。
スーホ……財政に通暁し、税制を司る。
ウルイシュ……牧畜に詳しい色目人。
チンラウト……後宮に仕える宦官の長。
大スイシ……もとは西域の商人。四頭豹の計に従ってクル・ジョルチ部を動かす。また命じられて神都へ赴く。
小スイシ……大スイシの長子。讒言を好む。赫彗星のダルシェ征伐に軍監として参加、おおいに軍を惑わす。また大君を欺いてこれを侮辱。北原にて調略に従事する。
トオレベ・ウルチ・ハーン【英王】……梁と結んでジョルチ部を分裂させた。梁公主に惑わされて、ついに四頭豹に弑逆される。
《ウルハンク氏》
ゴルバン・ヂスン【三色道人】……東方守護の宿将。
チャダ……部将。
■ボギノ・ジョルチ部
《インガル氏》
ハヤスン・コイマル・カン……カン。超然として俗事に無関心。上卿の傀儡と化している。上卿会議により廃されたが、王大母に庇護される。新生クル・ジョルチ部の大カンとしてジョルチ部などと会盟。
オグハン……族長。元ハヤスンの側近。
《シュガク氏》
モルトゥ・バアトル【武神】……族長。名将。武勇に優れる。奇人の説得に応じて王大母に投じる。上卿会議を討つべく軍を興してこれを追う。回天後、大将軍となる。
《ブリカガク氏》
カンバル【黥大夫】……族長。太師の旧友。部族の将来を憂えて献策するも黥罪を得て放逐される。その後、王大母に投じてカンの師傅となる。癲叫子たちの出自を看破し、これと連携して回天を進める。回天後は司法官となる。
エジシ【太師】……タムヤに住む学士。ムウチらを援助。小ジョンシ来襲の報を携えて山塞へ来る。中途より北伐に合流。靖難将の蒙を啓く。以後の戦略を示して、西原に安寧をもたらす。胆斗公の勧めによって帰郷、太師となる。
《ゴコク市》
ガラコ【王大母】……族長。大刀を得物とする女丈夫。禿頭虎に抗って独立、廃帝となったハヤスンを庇護。志士などを受け容れてクリエンを形成。これが回天の原動力となる。刺客に襲われたが聖医の治療により恢復、これが会盟実現の輿論を導いた。回天後は断事官に任命される。部族盟の改称をインジャに伝えるべく、中原を訪れる。
モルテ・ユムカ【賢婀嬌】……賢明なる麗人。上卿と対立した王大母に、廃帝ハヤスンを迎えるよう進言。これが尊王の気運を招いて回天に繋がる。回天後は監察官となる。王大母とともに中原を訪れる。
《シャガイ氏》
イトゥク【靖難将軍】……上卿に反発して、義勇軍たる「靖難救国社」を結成する。敗走して行き倒れていたところを赫彗星に救われる。太師の教導によって、北伐軍と会盟して上卿会議を打倒する方針に転向。回天後は近衛大将。
チラウン……開明派の首魁。回天後、族長となる。
《ヒズトゥ氏》
チャウン……ハヤスンに代わってカンに立てられた老人。回天後、「忠順公」に封ぜられて余生を全うする。
■森の民
ケルン・カン【金杭星】……北の異族の族長。鎮氷河の女婿として奮戦。敗戦したあと、神箭将の招撫に応じて帰投。司命娘子と再婚して「北伯」に任命される。
ザシン・カーン【悟天将軍】……蕃王の一人。天導教の信徒。東軍動乱において最初に蜂起する。
チャクバル・カーン【護教将軍】……ザシンの盟友。蕃王の一人。ともに蜂起する。
■放浪部族ダルシェ
タルタル・チノ【大君】……族長。四頭豹に騙されて部族の自由と精兵を奪われる。
ハレルヤ【盤天竜・太極柱】……インジャ初陣の際、言葉を交わす。奇人に出会う。赫彗星を迎撃し、これをあしらう。イタノウ氏を襲ったあと、トオレベ・ウルチの次子オルカクを討ち取る。記憶のない黒鉄牛を助けたが、獅子と交わりこれを返す。大君に逆らって出奔、マシゲルに投じたのちにインジャと同盟する。
メサタゲ【活寸鉄】……盤天竜の幕僚。寸鉄人を殺す弁口の主。囚われた盤天竜を救出して、ともに出奔する。
シャイカ【黒曜姫】……黒衣の婦人。刺客。白夜叉たちに遇ってこれを救う。大君暗殺を画すも失敗、盤天竜たちと出奔する。インジャのオルドに仕える。
ガリド……新たに大将に任命される佞者。四頭豹に寝返る。
トゥクトゥク……新たに副将に任命される佞者。四頭豹に寝返る。
■梁帝国(中華)
章宗……中華を統べる梁の皇帝。トオレベ・ウルチを英王に封じる。江魁即位を受けて、裴景国を遣わす。
英宗……梁の皇帝。章宗の子。
裴景国……章宗の勅使としてヤクマン部を訪れる。
魏登雲【鬼頭児】……征慮将軍。青龍刀を操る猛将。
江奇成……平北将軍。七尺足らずの短躯。
卞泰岳【黒蟾蜍】……部将。
拓羅木公【矮飛燕】……部将。
秦元敏……文官。
江秀之……文官。
林孟辰【尸解道士】……怪しげな長身の道士。
■その他
ドルベン・トルゲ【四頭豹】……テュルクダイ氏族長と称する。奸智に長けている。小ジョンシにあってインジャらを苦しめる。撤退の際にはインジャを射て去る。ヤクマン部に現れて梁公主を籠絡、赫彗星を陥れる。丞相となり強大な権力を掌握。八旗軍を設置して、自ら白軍を率いる。実はジャンクイの父。ジョルチ軍に勝利を収めたあと、反転してトオレベ・ウルチを弑逆。ジャンクイを即位させて相国となる。大君を欺いてダルシェの力を奪う。また南伯をはじめ東原へ謀計をしかける。
梁公主……梁よりトオレベ・ウルチに下賜された夫人。四頭豹、亜喪神らと謀り、権勢を振るう。皇太子ジャンクイを産む。
ムライ・セクル【混血児】……クル・ジョルチ部タイクン氏の出自。デゲイの下にあったが、これを見放す。南原にて四頭豹に仕える。隻眼傑の麾下に埋伏して、ついにこれを叛乱に導く。
エバ・ハーン【鎮氷河】……セペート部の元ハーン。神箭将の北伐に対するが敗戦、逃走中に娘の死を知って憤死。