巻九 登場人物および関連地図
◎草原全土
■ジョルチ部
《フドウ氏》
インジャ(ジョルチン・ハーン)【義君・赤心王】……のちのミノウル・ハーン。数多の盟友とともに草原を統一する英雄。オロンテンゲルの山塞を出て、ついに部族を統一。即位してナーダムを開催した。ウリャンハタ革命後、タムヤにてこれと会盟。即位五年、ついに南征の軍を興したが敗れて退く。
タンヤン【長旛竿】……身の丈八尺の長身。大将旗を護持する。
ムウチ……インジャの母。のちの聖母太后。夢に天王に会う。
ウル・ウマルタク・ヴァルタラ……インジャの嫡子。南征中に生まれる。
ハクヒ【神威将軍】……インジャの伯父。戦死。
《ジョンシ氏》
ナオル【胆斗公】……インジャの最初の盟友。胆力に卓れた智勇兼備の良将。インジャ即位に伴って「右王」となる。新生ウリャンハタ部に使者として赴く。南征では第一軍を率いた。奔雷矩を擒える。
テヨナ【鑑子女】……小ジョンシ滅亡の際、インジャに直言して感心される。アネク・ハトンの侍女。
シャジ【往不帰・猛奮将軍】……宿将。南征中に受けた矢傷がもとで死去。
《キャラハン氏》
セイネン・アビケル【百策花】……ベルダイ右派に敗れ、インジャに投じてその盟友となる。知謀衆に優れ、神算鬼謀を以てズラベレン氏を降す。近衛軍(紅袍軍)を統轄する。
《ズラベレン氏》
コヤンサン【呑天虎】……ズラベレン三将の筆頭。勇猛にして豪放。神都では酒乱の悪癖が禍を招く。小ジョンシ戦で先鋒を願い出たが、四頭豹の策に嵌まり敗れる。南征で笑小鬼を擒える。
イエテン・セイ【霖霪駿驥】……三将の一。寡黙で冷静。南征で四頭豹の迎撃を予感する。
タアバ【旱乾蜥蜴】……三将の一。ひと言多い。
《ベルダイ左派》
トシ・チノ【霹靂狼】……ジュレン部に追われ、インジャの山塞に投じる。インジャ即位に伴って「左王」となる。南征では第二軍を率いたが四頭豹に敗れる。
チハル・アネク・ハトン【鉄鞭】……キハリ家の女将軍。二条の鉄鞭を操る。かつて密偵と誤ってインジャを捕らえる。山塞の戦で勇名を馳せる。インジャ即位に伴って、ハトンに冊立される。懐妊のため南征は不参加。嫡子ヴァルタラを出産。
キノフ【天仙娘】……医道に通じた娘。
サイドゥ【長韁縄】……霹靂狼の片腕。知謀の将。ベルダイ右派との戦で先知の才を見せる。
トオリル【百万元帥】……指揮統率に卓れる良将。献策するも容れられず、出奔してインジャに投じる。南征で碧水将を擒える。
カトラ【隼将軍】……「双璧」の一。
タミチ【鳶将軍】……「双璧」の一。
ナハンコルジ【石沐猴】……部将。胆斗公らと神都に赴く。
ノイエン【飛天熊】……身の丈九尺の巨漢。ナーダムの奉納相撲で隼将軍を破る。インジャの身辺を警護する。
カナッサ【金写駱】……写生に長ける。
《アイヅム氏》
コニバン【慈羝子】……仁に富む好漢。獬豸軍師の計で山塞に降る。山塞の守将の一人。
《カミタ氏》
ドクト【癲叫子】……九尾狐と争っていたが、インジャに仲裁されて下山。歌楽に長じる。会盟にて歌う「奔馬と戯れる」を作曲する。南征で皁矮虎を擒える。
オノチ【雷霆子】……弓に優れる。ナーダムの騎射で優勝する。奇人とともに打虎娘を救出する。
《ドノル氏》
テムルチ【九尾狐】……オロンテンゲルの山塞を癲叫子と争った知将。山塞の守将の一人。南征で超世傑を擒える。
《イタノウ氏》
マルケ【白面鼠】……右派に追われるインジャ、アネクらを救う。山塞の守将の一人。アイルをダルシェに襲われる。南征で碧水将を欺く任を担った。
シズハン【小白圭】……連丘で敗れたインジャを迎えに行くよう白面鼠に勧めた佳人。アネク・ハトンの侍女。
■タロト部
マタージ・ハン【通天君王】……ジェチェンの第三子。インジャの盟友。祭祀儀礼に長じる。ウリャンハタ部に敗れ、インジャと行をともにする。タムヤを宰領し、広大な牧地を得る。タムヤ会盟にも参加。
ゴルタ……猛将。インジャの初陣を輔ける。左王。
マジカン【鎮山侯】……マタージの兄。連丘で火計に遭い、戦死。
ジェチェン・ハーン【メンドゥの妖人・大王】……前タロト部ハーン。ウリャンハタ部の奇襲で命を落とす。
■カムトタオ(ジュレン部)
イェリ・サノウ【獬豸軍師】……大興の王族の末裔。人嫌いだが知謀才略は傑出している。招かれて山塞に投じる。ジョルチ部統一後、大権を授けられて断事官となる。タムヤ会盟にて駅站の設置を進言する。南征失敗の責を負って下野する。
ハツチ【美髯公】……身の丈八尺。長髯を靡かせる好漢。呑天虎の酒乱がためにインジャに投じる。副使として西原に赴く。駅站の整備を委される。
オガサラ・ジュゾウ【飛生鼠・五技鼠】……身も口も軽いが、異能の主。小ジョンシとの戦では四頭豹の策に嵌まり捕らえられた。ジョルチ部にて諜報を司る。
トシロル・ベク【豬児吏】……役人。蓋天才たちと親しい。奸人に追われたが紅大郎に救われ、山塞に投じる。タムヤの民政を司る。
ゴロ・セチェン【蓋天才】……神都一の富豪。奸計に嵌まり獅子を頼る。ダマンの命が危ういことを予言する。
サルチン【楚腰公】……商人。知謀衆に優れる。山塞の役敗戦後、光都に難を避け、神箭将、奇人らと交わりを結ぶ。北伐中危機に陥った神箭将に舟を調達してこれを救う。東原にて「楚腰道」と呼ばれる駅站を敷く。
ヘカト【鉄面牌】……商人。寡黙。呑天虎と争った。奸人を諫めたあと、やはり光都に出奔。北伐より撤退する神箭将に神都を囲む計略を示唆する。また神都へ潜入し、数多の計略を成す。
カノン・ジュン【一丈姐】……長身の女丈夫。光都に向かう途中、病大牛に襲われたが、神箭将らに救われる。
コテカイ【嫋娜筆】……能書の佳人。
チャオ【銀算盤】……商人。ミヤーンとは旧知の間柄。奸人即位の報を携えて山塞を訪れる。イシで衛天王の叛乱を助ける。
■ジュレン帝国
ヒスワ・セチェン【奸人】……蓋天才の家宰であったが、これを陥れる。草原に覇を唱えるため計略を練ったが、山塞に敗れる。セペート部と結んで神箭将の留守を襲ったが失敗。大院を廃して自ら皇帝を僭称した。楚腰道を断ち、光都を囲むも失敗。鉄面牌の策により全部族に向けて勅使を派遣したのちドブン・ベクを処刑、孤立する。
スブデイ・ベク……奸人の従弟。閣卿の筆頭。強欲。「鄭王丞相大元帥」。
グルカシュ【呼擾虎】……カムタイ出身の将軍。奸人に認められてナルモント部攻撃の大将となったが敗れる。奸人即位後、復権。光都攻略を指揮するが敗れる。軍制改編後は「神都公大将軍」。
ダルチムカ【金毛狗】……ジャラート氏族長。呼擾虎とともに光都を囲む。「呉公前将軍」。
ヒムガイ【青面鼬】……顔一面に青痣を持つ。近衛大将。
ムンヂウン……征東将軍。以下三将と同じく呼擾虎と反目する。
ハラ・ドゥイド……征西将軍。
ブギ・スベチ……征南将軍。
タイラント……征北将軍。
■ウリャンハタ部
《スンワ氏》
カントゥカ(エルケトゥ・カン)【衛天王】……二丁の戦斧を操る猛将。オロンテンゲル山撤退の際、その武勇を示す。ミクケルに叛旗を翻し、ドゥルガド台地でこれを破って即位。タムヤにてインジャと会盟する。ともに南征軍を興したが、クル・ジョルチ部の侵攻により撤退した。その後、北伐を決して親征する。
ボッチギン【渾沌郎君】……衛天王を叛乱に踏みきらせる。「上屋抽梯の計」をもってウラカン氏を陥れるなど、卓抜した戦略の才を見せる。
エミル・ガネイ【妖豹姫】……不思議な魅力を持つ娘。
ヂュルチダイ……ミクケルの遺児。
シャギチ……フワヨウの甥。ミクケルの侍臣。亜喪神とともに去る。ウヘル山で奇人らに翻弄されてジョナン氏の人衆を逃がす。
ミクケル・カン……旧の大カン。衛天王に敗れて処刑される。
《カオエン氏》
ジュン・ヒラト【潤治卿】……オロンテンゲル山撤退を指揮。その後、政務を委されていたが、衛天王とともに叛乱。執政となる。
チルゲイ【奇人】……諸方で好漢と交わる。「カラバルの同士討ち」を画策したあと、「チェウゲン・チラウンの盟」を斡旋。山塞ではタムヤを落とす計略を出す。西原に帰って叛乱に参加、双城を得る。外交を担って「タムヤ会盟」を実現。また黒鉄牛の記憶回復に貢献。南征ではウヘル山に赤軍を破って打虎娘を救出する。
アサン・セチェン【聖医】……衆望を集める聖君子。ミクケルに囚われ、好漢をして蜂起させる契機となる。医療のみならず軍民両政に秀でる。黒鉄牛の記憶喪失について助言する。
サチ【花貌豹】……男装の麗人。槍の使い手。ミクケルの冬営を焼いたほか、ドゥルガドの役で「寡をもって衆を囲む」奇跡的な用兵を駆使、自軍を勝利に導いた。神道子の妻となる。南征では第二軍を率いる。
カコ・コバル【|雪花姫《ツァサン・ツェツェク】……高潔有徳をもって知られる賢婦人。カオエンのアイルを守り、イシで「カンの猟犬」を退ける。ジョルチ部に使者として赴く。
タケチャク・ヂェベ【矮狻猊】……慧敏にして敏捷。常に斥候として軍の先を駆ける。
ササカ【蒼鷹娘】……知勇兼備の美しい女丈夫。鷹を調教する天才。ドゥルガドの役で醜面亀を射る。
ジュチ・クミフ【娃白貂】……異能ある佳人。
クメン【笑破鼓】……常に笑みを絶やさぬ好漢。
ナユテ【神道子】……光都出身。占卜に長じる。奇人と旅に出て、幾度もその異才をもって彼らを助ける。インジャの下に留まり信頼を得る。使者として西原に赴き、花貌豹と結婚する。
《ウラカン氏》
カトメイ【竜騎士】……「竜騎兵」を率いる勇将。小ジョンシを守るタムヤへ物資を輸送していたが、奇人の説得で密かに寝返る。叛乱に加わってイシを奪取する。
ムカリ【亜喪神】……喪神鬼の長子。戦斧の使い手。醜面亀とともに「カンの猟犬」と称される。ミクケルの遺児を奉じてヤクマン部に投じる。四頭豹と組んで赫彗星を陥れる。八旗軍の一、赤軍の大将となりジョルチ軍を破る。
《ネサク氏》
シン・セク【麒麟児】……弓射を能くし、軍馬に劣らぬ速さで駆ける異能を持つ。叛乱において随所で活躍し、ドゥルガドの役ではミクケルの後方を衝いて勝利を決した。南征では全軍の先鋒となったが、超世傑の用兵に翻弄される。
タクカ【知世郎】……奇策を得意とする麒麟児の参謀。地理物産に詳しく、戦場にドゥルガド台地を推す。酒に弱い。駅站の整備に貢献する。
《カムタイ氏》
スク・ベク【一角虎・小虎公】……勇将。長槍の使い手。父を殺され、叛乱に参加。紅大郎の援助によってカムタイに入城。ドゥルガドの役でミクケルを捕らえる。クル・ジョルチ部の猛将ササウェイを屠る。南征では第三軍を率いた。
クニメイ・ベク【紅大郎】……商人。豬児吏を救い、草原へ逃がす。タムヤ攻略の際、火薬を調達する。一角虎のカムタイ入城を「紅火砲」をもって助ける。西原の駅站を整備。
イェスゲイ……工人。兵器製造に長ける。紅火砲を生みだす。タムヤに渡し場を設け、イシの城壁を改良する。
ハヤスン……医人。民政の才を持つ。
オクドゥ……商人。文武に秀でる。
《チダ氏》
カムカ・チノ【牙狼将軍】……北辺を守る。
《ダマン氏》
ヨツチ【急火箭・矮豹子】……直情径行。
《イシ氏》
ミヤーン……奇人と旅に出る。衛天王の叛乱を助ける。イシの民政を司る。黒鉄牛の記憶回復にも貢献。
イェシノル【瑞典官】……イシの文官。
ヤムルノイ【鉄将軍】……イシの武官。
■マシゲル部
《カンダル氏》
マルナテク・ギィ(アルスラン・ハン)【獅子】……瓊朱雀を娶る。内戦中、超世傑に攻められ一度は退けたが、黒鉄牛が策に嵌まり敗れる。その後、超世傑と和して、「チェウゲン・チラウンの盟」を結ぶ。かつてのタロト部の牧地を収めて即位。赫彗星を受け容れる。盤天竜と親交を結ぶ。インジャの危機を救って幕下に投じる。
アンチャイ・ハトン【瓊朱雀】……キハリ家の娘。野盗に襲われたが、蓋天才に助けられる。獅子に嫁ぐ。神風将軍に捕らえられたが、奇人のはたらきで獅子のもとに帰った。獅子即位に伴って、ハトンとなる。嫡子を出産。
ベルグタイ【双角鼠】野盗。額にふたつの瘤を持つ。
《ジャルム氏》
コルブ【迅矢鏃】……弓に優れる。ヤクマン部との戦で本隊と離れ、野盗になっていたが、奇人に会って獅子との合流を果たす。獅子即位に伴って族長となる。
《クルベイ氏》
バラウンジャルガル【黒鉄牛】……ヤクマン部との戦では策に嵌まって同士討ちを演じる。その後、逃走中に崖から転落したところを盤天竜に救われる。記憶を失っていたが、奇人らにより回復、帰還した。
《キライ氏》
ハリン【赫大虫】……瓊朱雀の側に仕える。
《チャング氏》
ウチン【賢夫人】……獅子即位後、族長を説いてこれに帰順させる。瓊朱雀の側に仕える。
■ナルモント部
《ムヤン氏》
ヒィ・チノ・ハーン【神箭将・飛虎将】……奇人と交わり、旅に出る。光都の前で一丈姐を救い、病大牛を降す。獅子、超世傑と「チェウゲン・チラウンの盟」を結ぶ。父の負傷で帰還。ハーンとなり、セペート部に出征するも失敗する。神都軍に囲まれた光都を救い、隻眼傑を南伯に任命する。
キセイ【神行公】……日に千里を行く早足のもの。
ゾンゲル【病大牛】……光都近郊の野盗。神箭将に私淑する。近衛軍の将。
《サトラン氏》
ツジャン・セチェン……知謀に優れる。エルゲイ・トゥグの戦で見事な采配を振るう。撤退の際は殿軍を務めた。隻眼傑を警戒する。
《タラント氏》
モゲト【小金剛】……膂力衆に優れる。先鋒を任される。
《アケンカム氏》
ショルコウ【司命娘子】……名将ベルン・バアトルの娘。文武両道の女傑。留守地がジュレン部に攻められた際、迎撃する策を立案した。
ゴオルチュ……ベルンの末弟。北伐の留守を預かる。
ムバイ……信頼おける老将。
イドゥルド……ベルンの遺児。北伐後、族長となる。
《オラザ氏》
ワドチャ……族長の嫡子。獅子の知己。氏族を挙げて神箭将を支援する。
ミヒチ【白夜叉】……白面の女丈夫。
《ムルヤム氏》
シノン・コムト【隻眼傑】……イルシュ平原にて鼎目蛇を討ち、楚腰道を復す。神箭将の信頼を得て「南伯」となる。黒袍軍と称される精兵を率いる。
ヤマサン・マシャ【笑面獺】……隻眼傑の僚友で軍略に長じる。光都の守備を委される。
■ヤクマン部
《ヤクマン氏》
ジャンクイ・ハーン(キタド・ハーン、カラ・ウナス・ハーン)……梁公主の産んだ男子。中華名は「江魁」または「張魁」。諸王粛清後、皇太子に立てられた。トオレベ・ウルチ弑殺後、即位。実は四頭豹の子。
スーホ……財政に通暁し、税制を司る。
ウルイシュ……牧畜に詳しい色目人。
チンラウト……後宮に仕える宦官の長。
大スイシ……もとは西域の商人。四頭豹の計に従ってクル・ジョルチ部を動かす。
小スイシ……大スイシの長子。讒言を好む。赫彗星のダルシェ征伐に軍監として参加、おおいに軍を惑わす。
トオレベ・ウルチ・ハーン……梁と結んでジョルチ部を分裂させた。梁公主に惑わされて、ついに四頭豹に弑逆される。
ダサンエン……緑軍の大将。紅火、碧水両将に敗れて斬られる。
コルスムス……侍衛軍の帥将。トオレベ・ウルチ弑逆後、誅戮される。
《ジョナン氏》
ムジカ(クルゥド・ハン)【超世傑】……仁義に厚い。マシゲル部を攻めて、奇人らの力で勝利を得る。瓊朱雀を庇護し、のちに神箭将、獅子と「チェウゲン・チラウンの盟」を結ぶ。赫彗星をマシゲル部に逃がす。北軍を率いてインジャの南征軍を最前線で迎撃するも敗退、これに投じる。ジャンクイ即位後、諸氏の推戴を受けて即位する。
タゴサ【打虎娘】……超世傑の妻。男勝りの女丈夫。クルチア・スルデルを出産する。超世傑即位に伴ってハトンに冊立される。
オンヌクド【奔雷矩】……部将。インジャの即位を視察。
マクベン【皁矮虎】……部将。直情径行。
アルチン【笑小鬼】……部将。人を笑わせる術に長ける。
クルチア・スルデル……超世傑と打虎娘の子。
《セント氏》
アステルノ【神風将軍】……迅速機敏。マシゲル部のチャテク家を攻める。カラバルの同士討ちのあと、留守地を接収して瓊朱雀を捕らえる。梁公主を憎み、赫彗星の亡命を援助。東軍の将。オロンテンゲルの山塞急襲を命じられたが、転じてインジャに投じる。超世傑即位を提案する。
《ジョシ氏》
カンシジ・ソラ【赫彗星・赫飛猴】……礫を得物とする赤髪の好漢。亡きハトンの族子。「赤流星」と称する精強な軍勢を率いる。梁公主に睨まれ、ダルシェと戦う。叛賊の汚名を着せられてマシゲル部に投じる。インジャにより牧地を与えられる。
ゾルハン……軽騎部隊「紅き隷民」の帥将。
《ガダラン氏》
キレカ・オトハン【紅火将軍】……飛刀を操り、火攻を得意とする。和を尊ぶ仁者。叛賊となった赫彗星を匿う。西軍を率いていたが、碧水将の説得に応じてインジャに投じる。
《イレキ氏》
オラル・タイハン【碧水将軍】……礫と叉を得物とし、水攻に長ずる。赫彗星を発見するも、これを見逃して亡命を勧める。南軍の将だったが、ハラ・アビドに敗れてインジャに投じる。
■クル・ジョルチ部
《インガル氏》
ハヤスン・コイマル・カン……カン。超然として俗事に無関心。上卿の傀儡と化している。
ハヤクム……三傑の一。緩やかな軍律をもって兵を掌握。
タクネイ……三傑の一。厳しい軍律をもって兵を管理。
ミマン……三傑の一。知謀に長ける。
《シュガク氏》
デゲイ……族長にして上卿。奸智に長けた巨漢。
イウト……上卿。性、豪放。
ムアラカム・クシ【冥王使】……凡庸な老将。
モルトゥ・バアトル【武神】……名将。武勇に優れる。
オウタン……短慮にして権に阿る凡夫。
《タイクン氏》
セイヂュク……族長。齢六十なるも猛将として前線に立つ。
ムライ・セクル【混血児】……族長の位を狙う謀略家。
カヌン……無欲恬淡な老将。
コンゴル……カヌンの副将。
《ブリカガク氏》
トデチ……氏族の長老にして上卿。
オクドゥ……族長にして上卿。
ホルスカ……新たに任命される上卿。
コヤン……新たに任命される上卿。
カンバル【黥大夫】……太師の旧友。部族の将来を憂えている。
エジシ【太師】……タムヤに住む学士。ムウチらを援助。小ジョンシ来襲の報を携えて山塞へ来る。
《ゴコク市》
バルゲイ【禿頭虎】……族長にして上卿。「尽忠社」を組織して人衆を弾圧する。
チンガイ【姦兇僕】……「尽忠社」の首魁。
ムラマン・オロン……部将。
イズム……部将。ムラマンの盟友。
ガラコ【王大母】……大刀を得物とする女丈夫。
モルテ・ユムカ【賢婀嬌】……賢明なる麗人。
《シャガイ氏》
ハル……族長にして上卿。
オガチ……氏族の長老にして上卿。
イトゥク【靖難将軍】……上卿に反発して、義勇軍たる「靖難救国社」を結成する。
オスクダル……ハルの長子。ハル失脚後に族長となる。
《オカク氏》
ソドム【狂癲婆】……上卿において唯一の女性。
《ヒズトゥ氏》
チャウン……ハヤスンに代わってカンとなる老人。
■セペート部
エバ・ハーン【鎮氷河】……金杭星、奸人と結んで神箭将を迎え撃つ。神都よりの勅使に怒り、ついに同盟は決裂する。
ズベダイ……エバ・ハーンの腹心。
ケルン・カーン【金杭星】……北の異族の族長。エバの女婿。「蕃民八旗」を率いる。
■放浪部族ダルシェ
タルタル・チノ【大君】……族長。
ハレルヤ【盤天竜・太極柱】……インジャ初陣の際、言葉を交わす。奇人に出会う。赫彗星を迎撃し、これをあしらう。イタノウ氏を襲ったあと、トオレベ・ウルチの次子オルカクを討ち取る。記憶のない黒鉄牛を助けたが、獅子と交わりこれを返す。
■その他
ドルベン・トルゲ【四頭豹】……テュルクダイ氏族長と称する。奸智に長けている。小ジョンシにあってインジャらを苦しめる。撤退の際にはインジャを射て去る。ヤクマン部に現れて梁公主を籠絡、赫彗星を陥れる。丞相となり強大な権力を掌握。八旗軍を設置して、自ら白軍を率いる。実はジャンクイの父。ジョルチ軍に勝利を収めたあと、反転してトオレベ・ウルチを弑逆。ジャンクイを即位させて相国となる。
梁公主……梁よりトオレベ・ウルチに下賜された夫人。四頭豹、亜喪神らと謀り、権勢を振るう。皇太子ジャンクイを産む。
章宗……中華を統べる梁の皇帝。トオレベ・ウルチを英王に封じる。江魁即位を受けて、裴景国を遣わす。
裴景国……章宗の勅使としてヤクマン部を訪れる。