初恋〜僕は仮面を被る(短編小説)
好きな人がいた。とても可愛く、愛想のある子だ。夕日が照らす教室でいつものように彼女は、「一緒に帰ろ〜」と可愛らしい笑顔でそう言った。僕はそんな彼女がとても愛おしかった。彼女の前だと自然と笑顔になっていた。
そんな日々が続く中、ある日突然彼女と帰ることは無くなった。どうやら、ここ最近家の用事で忙しいとのこと。1人で帰るのも慣れてきたある日、その日は大雨だった。帰りに職員室に寄ろうと思い歩いてふと、隣の教室を見るとそこには目を疑うような光景があった。隣のクラスの子と彼女はキスを交わしていた。僕はその場で立ちすくんでいた。雨の音が鮮明に聞こえる。2人がこちらに来るのが見え、急いで逃げた。雨が降る中、息を切らしながら走った。
「おかしいな、目から水が、、雨のせいだ。」
雨は醜い僕の顔を隠してくれた。
ここ最近の彼女の行動を理解した。一緒に帰ることがなくなった理由が。
次の日、目は真っ赤に腫れていた。
「あっ、どうしよう」
仕方なくそのまま登校した。案の定、皆に心配されたが冗談混じりで
「感動する動画見たらこうなっちゃった」と言った。
僕は彼女の顔を見ることができなくなった。しかし、僕はせめて、本当のことを言ってほしいと思い、彼女に最近のことを聞いた。だが、「家の用事で、、、」の一点張りだ。彼女の目は泳いでいた。意を決して、喉を鳴らし彼女に彼氏のことを聞いた。彼女は黙り、少しして「ごめん」といいその場を後にした。自然と涙が止まらなかった。このままの関係が終わるのは嫌だった、そして僕は仮面を被る。そう、彼女の前ではどんな時でも笑顔でいようと決めた。彼女を追いかけ、僕は「なんで謝るんだよ〜おめでとう」と笑顔で言いうと、彼女は何か振り切れたかのように笑顔で「ありがとう」と言った。彼女は僕に後ろめたさがあったんだと思う。「じゃあね」と言うと彼女は彼氏のもとに走っていった。彼女の後ろ姿に僕は、「ありがとう、さようなら」と言った。その日から彼女とは前のようにとはいかないが、いい友達関係だ。
そして、僕は彼女の前でまた仮面を被る。
初恋とは実に虚しいものだ。
初めて小説を書きましたので、言葉が足りないことがありますがこれからたくさん書いて上手くなりたいと思います。