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7話 魔王戦2

 終わった…………のか?


 俺の言葉が玉座の間で反響する。

 転がった魔王の死体を一瞥してラインが答える。


「わかんねーな……シャーロット様の目では確認できませんか?」


「そうですね…この部屋に入った時も使ったのですが、はじめから生命の反応はありませんでした。

 おそらく彼にも魂はあるのでしょうが、私では確認できません…

 私が確認できるのは生者の魂のみで、死んだ方の魂を知覚するとなると大聖女様クラスでして……」

 お役に立てず申し訳ありませんと、シャーロットは謝る。

 

 いえ、大丈夫です……とラインは呟き、「勇者の限界突破(オーバーブレイブ)」を維持することにする。


 まだ死んだかどうか分からない状態では迂闊に気を抜けないのだ。

 

 

 

 俺は待機している間、吸血鬼の文献について考えていた。

 実はこの世界に吸血鬼を倒す方法を記した文献はあまり残っていない。

 過去に吸血鬼に滅ぼされた国の記録なら幾らでもあるが……

 幸いな事に数少ない現存している文献の中で、一冊だけ500年前に吸血鬼王が出てきた時の対処と討伐を記録した文献が残っていた。





 それは………魔法使い200人を生贄にし天使を召喚することだった。

 天使とはこの世界を管理する神の御使いであり、魂の管理を行う存在…と書いてあった気がする。

 いわば、生贄を捧げて対象の魂を奪い取ったという事だ。

 もちろんだが対象が強ければ強いほど、代償も大きい。

 今回もこれが出来るのなら行ったのだろうが、500年前の魔法使いは、今の世界で言う大魔道士に該当する。

 大魔道士とは一般の魔法使いに比べて100倍ほどの魔力を保有しており、現在の世界に100人といない希少な存在だ。

 そんな人たちを生贄にすることなどできないし、一般の魔法使いを集めて生贄の魔法を行えば、魔法使いが枯渇して国が滅亡する危険性がある。


 国の存亡の危機だが、貴族は揃って反対した。

 まぁ、魔法使いの多くは貴族であるため保身に走るのもわかるが………

 


 視線を魔王の死体に移し、醜悪な表情で首だけの顔を見る。

 …こいつが大魔道士200人分の生贄を捧げてかけてようやっと倒せる存在なのか?

 

 たしかに俺よりは圧倒的に格上だ、そこは間違いない。

 だが大魔道士200人分と考えて比較すると、いささか疑問が残る…


 ……こいつは明らかに俺たちに対して油断していた…そしてライン達が500年前の魔法使い200人より強かった……?

 それで…良いのか?ぐるぐると思考が迷走して抜け出せない……


 

 まぁ、疑問は尽きないが実際に倒せたんだ。

 今は勝利を噛み締めよう…


 アレンは一度考えるのをやめ、仲間達に目を向けようとすると、ラインがちょうど話し始めた。


「そろそろ俺の勇者の限界突破(オーバーブレイブ)が終わりそうだ……」


 そうか……もうそんな時間か…

 実はラインの「勇者の限界突破」は15分間しか使えない。今まではその間に全部倒してきたため問題は無かったのだが、今回に至っては不安だ…


「もう大丈夫だろう…かなり失血しているし、これだけ動かないとなれば死んだも同然だ」


 タンクはそう結論付けこの部屋の出口は歩き出す。

 俺たちもタンクに追従しこの部屋を出ようとするが………

 それは突然聞こえた。








「何処に行くんだ?人間…」








 俺たち以外誰もいないはずの玉座の間。

 その声には聞き覚えが…無かった。

 俺たちに5人は慌てて後ろを振り向く、そこには……




 魔王と瓜二つの人物が転がる魔王の死体の前に立っていた。


「もう一度問おう。

 何処に行こうとするのだ?矮小な人間よ」



 恐る恐るラインが口を開く。

「お、お前は誰なんだ!!?」


「ふむ…お前は勇者ではないのか?我を討伐しにきたのではなかったのか?」


「でも、魔王はそこで死んでいる!!」


「あー…こいつか。……弟が世話になったな。

 曲がりなりにも俺の弟なんだから、そこそこの強さであるはずなのだが……大方油断でもしていたのであろうな」

 そう言いながら、転がってる魔王の顔を粉砕した。

 そこら中に血が飛び散る。


「お、弟じゃないのか!!お前は何をしてるんだ!?」


「キィキィ騒ぐな人間。ゴミを片付けただけだ。

そもそもこいつを殺したのはお前らであろう?

 せっかく人間の街を滅ぼして愉悦に浸っていたのに…帰ってみればこれだ。

 そこら中に転がってる魔族もお前達が殺したのか?」

 周りを見渡し、俺たちを一瞥しながら質問する。


「い、いや…ここにきた時から既にこうなっていた」


「…そうか、ゴミがやったのか。ふっ、まぁいい。あいつは少々暴走気味で俺に嫉妬していたからな。お前らにもこいつは自分が魔王だとか語っていたのだろう?」


 吸血鬼でありながら矮小な人間に負けるなど…とぶつぶつ語る魔王兄。

 こいつもこいつで狂ってる。吸血鬼は皆こうなのか?


 警戒心を高めながら魔王兄を見ていると、魔王兄は結論付けた。




「まぁ、お前らを帰す気などもともと無いのだし、憂さ晴らしとなってもらおうか」

 

 

 きみの悪い笑みを浮かべた魔王兄はその言葉を起点にして、唐突に俺たちは接近する。


 こうして、俺たちは本日2回目の魔王戦に挑むのだった。





 





 

 いかがだったでしょうか。

 この展開はよくある事なんでしょうか?

 自分で懸命に考えたつもりですが、よくある展開だったらなんか恥ずかしいですね。

 まぁ、自分でも思いつくぐらいだから沢山あるのでしょう。


 それではまた次回に!

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