6話 魔王戦1
戦闘パート
魔王は一瞬で俺たちの前に移動し腕を突き出す。
狙いは…シャーロットだった。
「ぬぅぅぅん!」
間一髪で魔王の攻撃をタンクが大楯で防ぐ。
そこへラインが加勢し、渾身の一撃を魔王へぶつけた。
魔王はその攻撃を優雅に交わし、蹴りをラインへ放つ。
ラインはその蹴りをくらいつつも同時に後ろに飛ぶことで、衝撃を交わしていた。
「聖なる矢」
すかさず、シャーロットが頭上から無数の聖属性の矢を放つ
魔王はその場から距離を取りシャーロットの攻撃を交わした。
離れたのを好機とみた俺はすかさず行動速度を下げるデバフ魔法を魔王にかける。
「重力増加!」
魔法があたった感覚があるので効いたか!!と思ったが、魔王の動きは全く鈍ってなかった……
一応、魔大陸の魔物にも効果はあったのに……
そこに隠密を使用して上手く魔王の背後へ回り込んだソフィアが短剣で奇襲を仕掛ける。
背後をとっており完璧に死角からの攻撃だった……はずだが魔王はソフィアに振り向くこともなく片手で短剣を受け止める。
なッ!と驚くソフィアに魔王は短剣を受け止めた腕をさらに強引に振るい、ソフィアの体ごと壁に吹き飛ばした。
「あぐッッ!!!!」
「ソフィア!」
壁に亀裂が入るほどの威力で投げ出されたソフィアに俺は思わず声を出し安否を確認しようとする。
「油断は禁物だよ〜?弱い魔法使い君」
ゾクッッとして振り向くと、いつの間にか魔王が俺の目の前に移動しており、腕を振り下ろしているのが見えた。
あ、これやばっ!
回避を取る暇もなく焦っていると
「させるかぁーーー!!!!」
タンクが大楯でタックルして魔王を弾き飛ばし俺を庇うように立った。
弾き飛ばされた魔王は身を翻し優雅に着地する。
ラインはそんな俺たちの状態を見て1人魔王に突撃した。
おそらくだか、ラインはソフィアとアレンが体勢を立て直すまで時間を稼いでくれるのだろう。
すぐに俺は立て直し、悪い、助かった!!と感謝をする。
タンクは俺を一瞥した後、前に向き直り全員に聞こえるように叫ぶ。
「奴は転移魔法を使って一瞬で詰めてくる!気を抜くな!!」
なるほど、転移魔法か…
転移魔法は厄介だ……逃げても一瞬で追いつかれるし、こちらから攻撃を仕掛けても一瞬で逃げられる。
何かいい策はないか……
警戒を怠らず、策を考えているとソフィアが吹き飛ばされた方から声が聞こえた。
「あいたたたー!!わっ、血が出てるじゃん!こりゃ重傷だーー!」
ソフィアが額から血を流しへらへら笑ながら自分の状態を確認する。
良かった……生きてたか!
俺はホッとしたが、重傷を負っていたソフィアを見かねたシャーロットが彼女の元へ駆け出したので慌てて追いかける。
タンクは、魔王を視界に捉えつつシャーロットや俺をいつでも守れるように護衛する。
「ソフィー!!!死んでなくて良かった!すぐに回復魔法をかけますね!」
涙を浮かべたシャーロットは急いで回復魔法をかける
「ありがとう、シャーロット
それにしても……今はちょっとやばい感じ?」
魔王と1人で戦うラインを見ながらソフィアは俺たちに問いかける。
「うむ。少ししか戦ってないとは言え、すでに押され気味であるな…
まだ奴も俺らも本気を出してないとはいえ、このままではジリ貧でいずれは負けるだろう。
だから、ここで全力を出して魔王が本気になる前に倒すのも一つの手だが………どうする?」
タンクが現状を分析し次の手を提案する。
そう、魔王も俺たちもまだ本気で戦ってはない。
相手の出方や戦力を見極めているのだ。
ちなみにこの場で俺だけは初めから全力である。もうやだ、この化物達…
「そうね。明らかにあの魔王は手を抜いてるし…あれが本気だったらうちは死んでたいたわ。
まぁ、余裕ぶってる間にたたいちゃうのはありね!」
ソフィアがパンと手を合わせ賛同し、シャーロットも分かりましたと追随する。もちろん、俺も文句は無かった。
「よし、やるぞ!」
タンクの言葉を起点にそれぞれが全力をだすための魔法やスキルを唱えていく。
「鋼鉄体、筋力強化、痛覚無効!」
「俊敏力上昇、視覚強化、弱点特攻!」
「聖なる癒し、聖なる祝福、聖なる盾!」
シャーロットのは持続回復、回避力上昇、そして即死級の攻撃でも1度は耐えられる聖なる盾をみんなに付与していた(死なないだけで瀕死にはなる)。
「攻撃力上昇、魅了耐性、恐怖耐性!」
俺も仲間の掛け声に合わせてバフ魔法や耐性魔法を唱える
まぁ、俺の場合はすでに同じ魔法をみんなにかけていたので、効果時間が延びるだけだが………
魔王から一度、距離を取ったラインが俺たちと同じタイミングで唱える。
「勇者の限界突破!」
勇者が勇者たる所以の力
時間制限はあるが、使用中はステータスがすべて超人化し物理・魔法をほぼ無効化する。
使用後はリチャージ状態となるため1日に使える回数はたったの1回だ。
みんなここで決めるつもりだ。
「はあぁぁぁぁ!」
ラインが咆哮し魔王に肉薄する。
先程とは比べ物にならない速さで迫るラインに魔王は動揺し避けきれなかった。
ラインの剣は魔王の左腕を切り飛ばし、腕が宙を舞う。
魔王は慌てて残った右手でラインの首をへし折ろうとするが、ラインは身を翻し華麗に避け逆に首を切り飛ばそうとする。
ソフィアはラインが気を引きけている間に背後へ回り込み無防備な魔王の心臓を一突きする。
ラインの剣は防がれたが、ソフィアの攻撃は上手く入った様だ。
1回目にソフィアが攻撃したのは、おそらく魔王にバレていたのだろう……
吸血鬼は五感に優れていると聞くし、超感覚で認識されていたのかもしれない。
だが今回は、ラインが腕を切り飛ばして動揺させたり、気を引かれてる事によって気付けなかった。
手応えのあったソフィアは直ぐに離脱しようとする。
だが、ソフィアを煩わしいと感じた魔王はラインから一度身を離し、離脱しようとするソフィアへ腕を振るう。
「俺を忘れてもらっては困るぞ!!!!」
タンクが魔王の前に立ちはだかり大楯で魔王の腕を弾いて戦斧を振るう。
魔王ははじかれた事に更に苛立ちを覚えたが、その前に転移魔法で攻撃を逃れようとする。
……だが遅い!!
「氷の矢!」
「銀の矢!」
俺とシャーロットの放った2本の矢が魔王の両足を貫き地面に縫い付ける。
上手く転移できなかった魔王はついに吠える
「くっそがぁぁぁぁぁ!!!!ふざけるなよっっっ!!この僕が……この僕が家畜ごときにぃぃぃ!!!」
醜悪に顔を歪めた魔王は俺とシャーロットに振り返り魔法を放とうとする。
その隙を逃さない。
「家畜に倒されるお前はなんだ?家畜の餌か?」
タンクは渾身の一撃を魔王に放ち見事、胴体を真っ二つにした。
上半身だけになった魔王は、自分の体を再生させようと躍起になる。
だが、それを許さないラインは魔王に近づき上半身に剣を振るって首を刎ね飛ばした。
合計3つに分かれた魔王の体が僕らの前で横たわり、玉座の間に静寂が訪れる。
終わった…………のか?
俺が発した言葉はやけに反響した。
いかがだったでしょうか。
戦闘描写ってこんなに難しいんですね…
長くなりました…
またまた作家さんを尊敬する1日でした。
頭の中ではこう動かしたいって思っても、いざ言葉にすると説明が難しいですね…
ちなみに定期的に読み直して、誤字脱字や文章的におかしいところを見つけて修正しまくってます。
あれ?前読んだ内容と違うくない?ってなるかもしれませんが、どうかお許しください!