3話 最後の晩餐
かなり短いです。
ペンダントに魔法を注ぎ込んでいると、入り口の天幕が揺れた。
「あの、何をされているのですか?夕飯なのでシチューを持ってきたのですが…」
「ん?シャーロットか。ありがとう」
お礼を言いながら、シャーロットからシチューを受け取る。量が多いな…
まぁ、せっかく持ってきてくれたんだし食べるか。
「いえ。それで…何をされていたのですか?随分と集中されていたようですが」
首をかしげながら、シャーロットは机の上に置かれたペンダントに目を向ける。
「あー…これは魔道具だ。これを身に着けて発動させると簡易障壁を張れてな。…正直、シャーロットたちには必要ない代物かもしれないが、一応できることは全てやっとこうかなって」
「そうですか。私たちのために頑張っていたのですね……ありがとうございます。
ですがあまり無理はしないでください。今日だって、身体強化をしながら歩いていたでしょう?」
シャーロットが心配そうな表情をする。
どうして身体強化していたこと知っているんだ?…ラインか?
「ラインから聞いたのか?」
「いえ…何も聞いてませんが。歩いているときに見ていたので」
「見ていた?」
「…忘れてください」
そう言ってシャーロットはそっぽを向いてしまった。
ぐぅぅ……
「……お腹減ったし、さっそく頂こうかな」
「今回は良くできましたので美味しいと思いますよ」
どれどれ…
俺はシチューを口に入れて味わう。
「あ、うまいなこれ!肉が柔らかい!」
「でしょう?しっかりと時間をかけて煮込んだので、猪の肉もかなり柔らかくなりました」
かなり出来が良かったのかシャーロットも自慢げだ。
彼女の態度にも納得できるほど、このシチューはよく出来ていた。
王都に帰還したらまた食べよう。
アレンは内心でそう考えながら、ゆっくりとシチューを咀嚼した。
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「ごちそうさまでした!美味しかった!」
手を合わせる感謝する俺に、シャーロットはくすくす笑いながら、どういたしまして、と言う。
「よし、腹も膨れたし作業を再開するか」
食器を机の端に置いてペンダントを持つ。
すると、シャーロットがおずおずと言ったように質問してきた。
「あの…もしよろしければ、アレンの作業の様子をこのまま見ててもいいですか?私のシチューはまだ向こうに置きっぱなしなので、一度取りに行ってからですけど。邪魔になるようでしたら、諦めますが……」
「いや、構わないけど。自分の食事を中断してまで持ってきてくれたのか。それは悪いことをしたな…」
「いえ、問題ありません!ではすぐに私の分を持ってきますね」
シャーロットはトトトッと小走りでテントから出て行った。