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『神級クエスト デミゴットソウル 発生を通達』
頭の中で低い鐘の音がした後、重々しい声が響いた。
突然の事に意味も分からず黄越得 高都は呆然とする。
が、声はそんな高都の様子には構わず、クエストの内容、達成の際に得られる報酬などを告げていく。
続けて、
『受諾しますか?』
と、再び頭の中に声が響き『はい』『いいえ』と記された丸いアイコンが現れる。
「いったい何が……」
言いかけたところで「……夢?」と、フッと頭の中に答えが浮かぶ。
自分の夢であると自覚しながら見る夢。
明晰夢。
初めての事ではあるが、分かってしまえば戸惑いは消える。
同時に興味がわいてくる。
最初は呆然と戸惑いながらも、夢と知れれば現実ではない事を若干残念にも思う。
三十歳を過ぎてもそんな非現実的な事に憧れを抱くのか? と言われてしまえば耳の痛いところである。
が、高都は昔からこの手の物語に憧れに近い想いを抱いていた。
それは、高都の育った環境なども影響する話であるのだが、
「いまさらだな……」
と、おもいが言葉となって零れ落ちる。
一年ほど前の高都であれば非現実的な出来事に飛び込むことに、否やはなかっただろう。