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6話 the jack


 エイジと影月は事件の調査のために聞き込みを行っていた。

 だが学校の周辺で出入りしていたのは警官のみだった上調査を行ってもそれらしい証言は見当たらず、その前に出口などにはしっかり警官がいた上に野次馬が多くいた為に脱出は不可能なのではという結論になってしまった。

「…不可解すぎるで、この一連の事件は…」

「そうですね…」

「美優の能力も役に立たず…。この先俺等はどうすれば…」

「すみません、遅れました」

 2人の後を追い、小神が合流する。

 小神の聞き込みの結果、2人の入らなかった情報が入ったことに2人は失望しながらまた期待をしていた。

「で、その内容ですが… 犯人の外見は恐らく少女であると思われます」

「…ホンマか? …そういや犯人の外見は覚えてないと口をそろえて言った…」

「…まさか」

「…くそっ、俺らも犯人の妙な能力に巻き込まれた犠牲者やったという事か!」

「所でどこに向かってるんですか? さっきからずいぶん長い距離車で走ってますが」

「…美優の所や。また変な事件色々押し付けられてしもうてな」




「……」

 美優の入院する病院の一室。

 美優は数枚の写真を選別し、霊視をしていた。

 その前にエイジと影月が並び、茶などを啜っている。美優は数分前から顔をあげず喋らずに写真を見つめていた。

「これは自殺ですね。これも自殺で… こっちは心中です」

 エイジと影月は一言も喋らず美優の言うことに耳を傾けていた。

 さらに美優は一枚の写真を手に取る。

「あ、これはごく最近やな」

「確か…2週間前ですね。密室で不可解な死を遂げたという指名手配犯ですね」

 

 美優の脳裏に広がり、その先に見えるのは薄暗い部屋。

 周辺に血を撒き散らし、倒れこむ男の近くにいるのは少年で何かの動作を行っていた。

 その動作の意味は美優には理解できない。少年は顔を上げて振り向く。目は猫のように鋭くなり、不適に微笑んでいた。


「っ!」

「どないした?」

「……」

「美優?」

「気づかれちゃったか」

 いつの間にか美優の後ろには白いコートを着た少年の姿があった。

 美優は言葉を一言も発さず震えている。

「……?」

「どうも、こんにちわ」

「お前、誰だ? バースト通信じゃないな」

「先輩、ネタがちょっと古」

 無言でエイジは影月を殴り飛ばす。

 バキッと清清しい音がした後は見事影月の鼻に命中し、影月はしばらくの間鼻を抱えて悶えていた。

「…名前も名乗らず厚かましいやっちゃな…」

「あ、失礼。海斗と呼んでください。」

 海斗と名乗った少年は美優の耳元で何かをささやいていた。

 何かはエイジたちにはわからなかった。気にはなったがどういうわけか2人の体は動かない。

 美優の震えは収まらないままで流石のエイジも美優が心配になってきていた。

 だが海斗が美優から離れると美優の震えはぴったり収まる。

「美優ちゃん… それくらいにしておきな」

「え?」

「これは真崎さんの問題。それに霊視は危険だ」

「お前… 何を言って… あれ?」

 エイジが目をやった先に海斗の存在はなかった。

 しばらく3人はあっけにとられたような顔をしていたが数分たった後に小神が入ってきた。小神は3人に何があったのかいまいち理解できずにいた。

「あれ、3人ともどうかしたんですか?」

「いや、なんでもない。それより美優」

「…なんですか?」

「…あんな胡散臭い奴のことなんか気にせんでえぇと俺は思うで。…続き、やってくれるか」

「…はい」

 美優はその後、霊視を続ける。

 被害者の死因がさまざまなことに小神は驚いていた。

 エイジは一言も喋らず美優の言う言葉に耳を傾ける。

「これは?」

「…あぁ、それは確か半年以上前の事件やな」

「僕達が今扱っているのと同じような連続殺人事件の主犯でしたね」

「あぁ、あれか。あの当時は傍観しながら面白いなぁと感じてましたよ」

「…笑い事ちゃうねん。犯人の匿名情報流れるまでまったく手がかりがなかったんやで」

 エイジはいつも以上にまじめな顔となり、力説する

「…自殺?」

「詳細はわからんが警官隊が踏み込んだら写真のこの子が写真の状態でおったそうや」

「…どこぞのロリキャラもそんな死にかたしてたっけ」

 写真には窓際に少女がもたれ掛かり、左手に包丁を持っている。その包丁にも血がべったり付き、少女の左の頭からは血だけではなく別のものが飛び出ていた。周りに荒らされた後はない。そしてもたれ掛かっている窓には少女のであろう血が散乱し、かなりの回数刺したことが伺えた。

「う、悪ぃ、ちょっとトイレ行かせて貰うわ」

「…僕もです。小神君、後任せるよ」

「わかりました」

 美優は写真を手に取り、霊視を開始する。

「やめなさい」

「…?」

「その写真の内容は知ってはいけない。」

「…どういう、こと?」

「霊視は危険だ」

「……」

 小神の様子が変だと美優は思った。

 目は赤くなり、口調も普段の彼ではない。

「…いいえ、あなたは小神君じゃない。あなたは一体誰なんですか!?」

「…この写真は私が預かる」

「ちょ、ちょっと待」

 瞬間、小神''らしき人物''は美優に対して右手を構える。

「…わかりました。でも、どうする気ですか?」

「……」

「はぁ、やれやれ」

 病室の扉が開き、エイジと影月が入ってくる。

 それだけでなく美優の担当医が病室に入ってきた。検診の時間ということで3人は追い出され、外に待機となる。

「で、あの写真はどんなビジョンが見えたんや?」

「…あぁ、どういうわけか何も見えなかったらしいですよ」

「何も? 妙な話やな…」

「…ま、そんなこともあるんでしょう。それよりもういい時間なので…」

 時計を見ると現在夜の7時半。

「けど事件のおかげで学校も休みやろ? 捜査手伝えや」

「…はぁ、わかりましたよ」

「検診終わりましたよー」

「おう。…影月、どないした」

「実はちょっと、約束が」

 エイジはあきれた目で影月を見る。

「…また女と夜遊びか?」

「…借金55万に増えてますよ」

「ひいぃぃ!」

 影月は美優に指摘されて涙目となり、エイジと小神は呆れた感じでため息を吐いていた

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