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3話 oblivion

「──はぁ…はぁ…」

 講談高校の一角の教室。

現在、この時間は放課後で生徒はそれぞれ部活に行っている為、誰もいないはずだった。

 だが教室の角には腹から血を流し、目はもう一人の存在を見つめている少年。そして、その前には血塗られた包丁を持つ少女がいた。その目は黒く染まり、また何もしゃべらず肩で息をするのみ。

 周りの壁は生徒の血によって汚され、またその周りには紅い池が広がる。

「うぃーっす、WAWAWA忘れ物…うぉわっ!?」

 忘れ物を取りに来た生徒は見てしまった。殺人の行われていた現場を。

 生徒はネクタイを締めなおし、自分も殺されると感じたか逃げようとするも少女の殺気が凄まじく足を動かすことができない。

 生徒がそこで最後に見た光景は少女が目の前で左手をかざし、得体の知れない光が起こり、閃光の覚めた先には壁にもたれかかる遺体のみが生徒の目の前に広がっていた。




「…それ、ホンマかいな?」

「本当です! 犯人の容姿は忘れましたが俺、見たんです!」

「…また犯人忘却かいな。この手の事件は勘弁してほしいわ」

 それから1日後、エイジ、美優、影月、小神は講談高校で現場検証をかねての取調べを行っていた。

 唯一事件現場を目撃していた生徒は見たとおりのことを話したがエイジはいまいち信用できずにいた。

 他の県での殺人事件はしっかり目撃者が犯人を見て逮捕に踏み切っていたがここに限り、一部を除いた殺人事件は犯人の姿を覚えていないという奇妙な状況だったのだ。

 エイジ、影月は取調べを行い、小神は座る椅子がないので壁にもたれかかり、美優は数分前から誰もいないはずの方向を向いて小さく呟くような声で話をしていた。

「ミュー、どうだ、何か掴めそうか?」

「…この人は犯人じゃないって言ってます」

「ほら、だから言ったじゃないですか! 俺はやってないって!」

「…ですが被害者のほうも犯人は覚えてないといってます」

「な、んなアホな!」

 エイジは落胆した。

 それに限らずその場にいた全員も同じ状態だった。

「霊の方ですら犯人を覚えて無いやて!? んな馬鹿な話があるか!」

「…その犯人の周辺にいたのならその何かしらの能力が霊にも影響を受けたのではないかと思います」

「まさしく、見えない殺人者インビジブルキラーってわけか…」

「どこぞのスペルカードにありそうだな、それ」

「くっ、こんな時こそ美優の出番や思ってたのに…あぁ…俺の首が飛びそうや…」

「先輩、しっかり!」

「… くっ…」

 瞬間、小神の体は震えていた。

 真っ先に見優が気にかけたが小神は「大丈夫」と言い、取り調べていた教室を後にする。

エイジはそれを不思議とは思わず、影月と美優にこの先どうすればいいかを涙目になりながら話していた。

「うぅぅぅぅ…俺の面目がぁ…」

「せんぱぁーい…」



 数分後、小神は頭に「?」を浮かべたような顔をして戻ってきた。

 エイジはもはや絶望したような感じでうな垂れたままでサングラス越しにもわかるほど涙を流していた。

「どうした、小神君? 変な顔をして」

「あ…ありのまま今起こったことを話すぜ! 俺はみんなの後ろで壁にもたれかかっていたと思ったらいつの間にか部屋を出ていた…。」

「はぁ?」

「何を言ってるかわからないだろうが俺も何がなんだか…」

「…さっき教室を出てませんでしたか?」

「いや…全然記憶にないんだけど…。何分前に出た?」

「5分前に出ましたね …!」

「5分前か…。…… !」

 瞬間、小神の目が変わり、鷹のような鋭い目となる。美優も同じく、恐ろしいものを見たかのように体を震わせる。

「…な、何かが来る…」

「な、何かって何や?」

「…美優を超える強大な力のようなものが来てるようですね。…あ? 消えた…?」

「まさか以前の芝浦みたいな人がいるとか…」

「…まぁそれはえぇやろ。とりあえずこいつは無実のようやし解放することにした」

「では、失礼…うぉわっ!」

「ん、どうし… 真崎さん、事件のようです」

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